装具面板の部分的拡張可能なアダプト外周シールを試用

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ホリスター社(Hollister)のアダプト外周シールという製品のサンプルをいただきました。
今回は、その製品とストーマ装具面板のめくれ上がりについて、経験を基礎にコメントします。

水着に着替えた女子オストメイトの人工肛門装具とスキンバリアーのイラスト

英語の製品名は、Adapt Barrier Extenders。
Barrierとはスキンバリアー(皮膚保護剤)のこと。
つまり、アダプト外周シールは、面板を部分的に拡張する製品(フランジエクステンダー)です。
そして、 コロプラスト社 ブラバ伸縮性皮膚保護テープと同様のハイドロコロイド粘着剤を使った製品です。

サイズ感

まずは、アダプト外周シールがどのようなサイズ感なのか、色々なストーマ装具に合わせてみました。

ダンサック ノバ1ホールドアップ(下写真)では、面板とパウチのつなぎ目、一番奥まで外周シールを差し込むと、面板全体を覆うのにピッタリな大きさ。
しかし実際には、このように面板全面に隙間なく貼付することは難しいと思います。

ダンサック ノバライフ1(下写真)では、面板に被さる面積がかなり少なくなります。
また、面板全体に隙間なく貼ることはできません。

ホリスター ニューイメージ ツーピース装具面板(下写真)では、フランジ外周に沿わせて貼ると、面板全体を覆うことができます。

しかし、アダプト外周シールの使用目的は、面板全面を覆うように隙間なく貼ることを意図していません。
便が漏れるかも知れないと予想される箇所にだけ、ピンポイントで貼って使います。

めくれ上がりについて

さて、以下に、KenUの何度か便漏れした経験に基づき、私見を述べます。

ハイドロコロイド粘着剤による面板エクステンダー製品では、次のような説明があります。
・コロプラスト社 ブラバ伸縮性皮膚保護テープ:「面板の辺縁部がめくれ上がるのを防ぎ、安定した装着を可能にします。」
・ホリスター社 アダプト外周シール:「面板のめくれ上がりに」「はがれが気になる場所「だけ」に貼れる。」

上記の面板外周部の ” めくれ上がり ” については、そうなったからといって便が漏れるわけではありません。
ただ、ちょっと気になるだけで、面板性能には何ら問題ありません。
ストーマホールから1cm外側面板の下に便が潜り込んだとしても、それより外側がしっかりと貼りついているので、面板外周にめくれがあってもなんともありません。

ただし、面板外周がめくれたまま入浴すると、そこからハイドロコロイド成分が溶けて、どんどんと面板が剝がれることになります。

面板のめくれ上がりを防ぎたいのであれば、面板エクステンダー製品よりも、フィルムドレッシング製品や、それらを加工した ” カテリープラス カーブ ” や ” ムーバル(moval )” のほうが、「防水性+面板めくれ防止の持続性+低価格+高装着感」の点で有利です。

ハイドロコロイドに適した用途

上記から、「じゃあ、面板エクステンダー製品不要でしょ?」と思われるかも知れませんね。
しかし、ハイドロコロイド粘着剤製品とフィルムドレッシング製品とでは、適する用途・シーンが異なります。

じつは、フィルムドレッシング製品は、面板下からの便汁の漏れにはめっぽう弱いです。
水分を吸収する能力がない粘着剤を使用しているので、面板下から漏れた便汁に触れると簡単に剥がれてしまいます。

一方、ハイドロコロイド粘着剤製品は、漏れた便汁を吸液しながら皮膚への接着を維持することができます。
なので、アダプト外周シールが活躍する場面は、面板外周から便汁が漏れてきてしまうときなんです。
例えば、今日1日はなんとか便漏れを防ぎたいと思うとき、外で身体を使う仕事、登山など、便が漏れてもすぐに装具を交換できないことが予想されるシーンなど。
「今日は、激しく動いて汗をかく予定だから、面板下側または臍側から便漏れしやすいし、今日は念のため2箇所に貼っておこうかな」というように、予防的に使います。

アダプト外周シールを貼っておけば、装具面板だけよりも、便汁が漏れだすまでの時間を延長できるかも知れません。

ちなみに、水着キャラが装着している二品系ストーマ装具は、ホリスター ニューイメージ ロックンロール。面板にアダプト外周シールを2枚貼付しました。

試用

アダプト外周シールを実際に使って見ました。
便漏れしやすい箇所ではなく、写真撮影の関係上、上側に1枚だけ貼りました。

製品の素材がソフトなこともあり、貼付時の違和感はとくにありません。

入浴するとハイドロコロイドが溶けて、アダプト外周シールのまわりの皮膚がぬるぬるしました。
製品は、へそ部分に入り込んだお湯を吸収して膨潤し、へそ付近に剝がれが生じました。
全体的にはよく接着していますが、入浴時の面板周囲の防水用途には不向きです。

一つの提案として、アダプト外周シールを貼ったあと、その上にムーバルを貼るという方法があります。
両製品の大さの比率的にバランスが良いです。

入浴後の状態は、入浴前とあまり変わりません。
肌はぬるぬるしませんし、アダプト外周シールの剝がれもありません。

コストは、アダプト外周シールが1枚93.5円(税込み)、ムーバルが1枚82.5円(税込み)で、合計176円。

便が漏れやすい場所がほぼ一定しているのであれば、ピンポイントで使えるアダプト外周シールを、一度試してみる価値はあるかも知れません。

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2件のコメント 追加

  1. レモンパパ(ビーグル好きの旅人) より:

    KenUさん。こんにちは。インプレを参考にしてアダプトとブラバの製品の試供品を貰って、実際にお臍側に使用してみました。私の様なイレオストミーの保有者はどうしても水様の排出物になるのですが、上手く漏れを抑えられれますね。運動量の大きさに応じて両者を使い分けています。ムーバルはイレオストミーには不適合ながしています。今後ともインプレ参考にします。ありがとうございました。

    1. KenU より:

      レモンパパさん、コメントありがとう御座います。
      ここ数年、新製品の発売が活発になっているような気がします。

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