私KenUは、永久人工肛門になって11年になりました。
毎日使うストーマケア製品はQOLを支える、まさに “ 命綱 ” のような存在です。
そんな製品の世界市場は、5,000億円を超える規模ですが、そのほとんどを大手メーカー3社が占有しています。
そして、自分が使っている製品のメーカーが、世界の中でどのような立ち位置にあるのかが気になりました。
そこで今回は、最新のアニュアルレポートをもとに、ストーマケア製品のマーケットサイズと主要メーカーのシェアをグローバルな視点から解説します。
世界ストーマケア製品の市場規模
数社の公開情報によれば、ストーマケア市場の世界規模は 32億~35億ドル(4,800億円~5,300億円) とされています。
その中には、ストーマ装具だけでなく、ストーマケアに欠かせないアクセサリーなども含まれます。
コロプラスト、ホリスター、コンバテックは3大グローバルメーカーとされ、多数のストーマケアメーカーが存在するなか、市場のほとんどを占めています。
次の表に、コロプラストおよびコンバテックのアニュアルレポートから抜粋した数値をまとめました。
コロプラストはシェア35~40%で、マーケットリーダーの位置にあります。
コンバテックはシェアを示していませんが、売上から計算してシェア約20%と推定されます。
ホリスターは非上場企業のため正確な財務情報は開示されていませんが、コロプラストに次ぐ大手メーカーであり、過去の業界レポートにおけるコロプラストとのシェアの差から、現在のシェア30~35%と推定されます。
推定を含め、各メーカーのシェアをまとめ直したのが下表です。
| メーカー名 | 年間売上 (ストーマケア) | 日本円換算 (概算) | 世界市場シェア (推定) |
| コロプラスト | 13.8億USD | 2,100億円 | 35~40% |
| コンバテック | 6.34億USD | 約960億円 | 約20% |
| ホリスター(推定) | 約12億USD | 約1,800億円 | 30~35% |
| その他の地域メーカー(推定) | 約2億USD | 約300億円 | 5~10% |
ここで使用している市場規模やメーカー別売上高の数値は、各社の最新のアニュアルレポートに基づいています。
市場調査会社による推計データは、しばしば過大または過小な場合がありますが、アニュアルレポートは、実際にメーカーが有する売上実績に基づいた公的な開示情報であり、信頼性の高いデータといえます。
なお、日本のオストメイトの方の中には、「アルケアのシェアは?」と気になった方もいるかもしれません。
アルケアの2024年6月期の売上は161億円と公表されていますが、事業として「整形外科」、「看護」、「褥瘡・創傷」、「ストーマ」といった複数の領域を手がけており、ストーマケア製品の売上はその一部にとどまります。
そのことから、アルケアのストーマ領域におけるグローバル市場でのシェアは小さく、上表の「その他の地域メーカー」に含まれる数多くのメーカーのひとつと位置づけられます。
成長する市場と競争の行方
ストーマケア市場は、毎年 4~5% の成長が見込まれています。
主な要因は以下のとおり:
- 世界的な高齢化の進行
- 大腸がん・膀胱がんなどの増加(約280万人の患者)
- 新興国における医療アクセスの向上
成長率だけを見れば有望な分野に見えますが、実際には市場規模はそれほど大きくなく、医療分野の中では比較的ニッチな領域です。
それでも、メーカー間の競争は激化しています。
市場の成熟とともに、より高度な製品やサポート製品への需要が拡大しつつあり、高機能製品への切り替えや、製品選びのサポート・相談体制などの “ 継続的ケア ” の充実によって、患者の生活を支える「サービスと安心」が競争の焦点になってきています。
世界シェアの構造
世界のストーマケア市場は、大手グローバルメーカー3社(コロプラスト、ホリスター、コンバテック)によって9割以上が占められていると見られます。
特に、コロプラストはヨーロッパ市場、コンバテックはアメリカ市場、ホリスターは北米・アジアを含む広範囲で存在感を発揮しています。
補足
では、ここで紹介した大手メーカー以外には、どのような企業が存在するのでしょうか?
私は過去に、次の記事を書いています。
『世界の人工肛門オストミー製品を調べてみた。』(←参照リンク)
数多くのメーカーがストーマケア製品市場に参入していることがわかります。
また、日本のオストメイトの人口の増加に関しては、次の2つの記事を書いています。
『オストメイト人口の現在と将来・人工肛門保有者数の推計方法』(←参照リンク)
『婦人科がんで人工肛門になる人口はどれくらいか?』(←参照リンク)
2021年から2023年の実績ベースでは、日本の永久オストメイトの増加率は1パーセント程度です。
本記事の毎年 4~5% といったグローバル市場の成長率とは、かなりの差があります。
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