以前の記事のおまけで、ガソリンスタンドでタイヤに空気を補充する際の注意点についても追記しました。
リンク⇒『タイヤに窒素を入れる効果のウソ・ホントと科学的根拠』
でも、無責任でした。
あとあとよく考えてみると、自分で思ったわけです。
「冷えてるときって、何℃だよっ!?」と。
なので、今回あらためて考えてみました。
最初に、各タイヤメーカーの空気圧点検の説明を確認しました。
【次のメーカーによる説明は読み飛ばしてもOKです】
BRIDGESTONEホームページ タイヤの空気圧についてより
2. 定期的点検・補充
タイヤの空気圧は、走行前の冷えている時に、エアゲージを使用して定期的(最低1ヶ月に1度)に適正空気圧かどうかを点検してください。
YOKOHAMAホームページ よくあるご質問 Q適正空気圧についてより
<空気圧の調整>
空気圧の調整は、必ずタイヤが冷えた状態で行ってください。
DUNLOPホームページ タイヤの空気圧についてより
タイヤが冷えている状態で点検しましょう。
空気圧の点検の仕方 空気圧の測定は、走行によりタイヤが温まっていない冷えた時に実施しましょう。
TOYO TIRESホームページ タイヤを安全にお使いいただくためにより
2.適正使用と日常点検
タイヤの空気圧は、走行前の冷えている時に、エアゲージにより定期的(最低1ヶ月に1度)に点検し、自動車製作者又はタイヤ製作者の指定空気圧を下回ることがないように調整してください。
FALKENホームページ 安全走行のために 適正使用と日常点検より
警告1. タイヤの空気圧は、走行前の冷えている時に、エアゲージにより定期的(最低1ヶ月に1度)に点検し、自動車製作者またはタイヤ製作者の指定空気圧を下回ることがないように調整してください。
MICHELINホームページ タイヤの空気圧のチェック時期は?より
冷間時、走行距離が2km未満の時に空気圧をチェックすることが推奨されています。
Continentalホームページ タイヤ空気圧の確認方法より
タイヤの空気圧は外気温や走行によるタイヤ自体の発熱などによって変わります。そこでタイヤの空気圧点検は、タイヤが冷えている時に行う、また毎月1回こまめに点検することが重要になります。
GOOD YEARホームページ 空気圧の点検・調整より
ポイント2 空気圧点検・調整はタイヤが冷えている時に!
タイヤが暖まると熱膨張で空気圧も高くなっていますので、正確な点検・調整のためにタイヤが冷えているときに行いましょう。
どのメーカーも、空気圧の点検・調整は「タイヤが冷えているとき」となっています。
では、そのときのタイヤの温度は何℃でしょうか?
通常の条件下では、タイヤの温度が一日の最低気温に達することはほとんどありません。
その理由は次のとおりです。
- 熱容量: タイヤは比較的大きな熱容量を持つため、一度加熱されたタイヤが冷却されるのには時間がかかります。特に夜間、気温が急激に下がっても、タイヤ内部の熱はゆっくりと放散されます。
- 断熱特性:タイヤのゴムや内部の空気は熱伝導率が低いため、外気温に応じた温度変化が遅くなります。
- 地面との接触: タイヤは地面と接触しており、地面は大気よりも温度の変動が小さいため、タイヤの冷却速度がさらに遅くなります。
- わずかな冷却要因: アルミホイールは熱伝導率が高いですが、タイヤとの接触面積が限られ、影響は限定的です。
これらの要因を考慮すると、たとえ夜間に気温が大幅に下がったとしても、タイヤの温度がその最低気温に達するとは考えにくいです。
例えば、タイヤが走行後に加熱された場合、次の日の朝までに冷却される温度は、日中の平均気温や夜間の冷却速度に依存します。
仮に一日の平均気温が20℃で、一日の最低気温が10℃であった場合、平均気温に近い温度がタイヤが冷えている状態なのではないでしょうか?
ということで、” タイヤが冷えているとき=日平均気温 ” と仮定して、以下にシミュレーションしました。
まず、気象庁のホームページから2023年の月ごとの日平均気温を調べました。
その結果、季節ごとの日平均気温の差が20℃以上あることがわかります。
次に、指定空気圧を220kPaとして、タイヤ温度が5℃~25℃のときに、それぞれ調整した場合を仮定し、気温の変化に伴う空気圧の変化をシミュレーションしました。
なお、気温データの地域は、仙台を採用しました。
ここで、図の見かたを説明します。
青色の縦棒は、2023年の各月の日平均気温で、これがおよそタイヤが冷えた状態の温度と仮定します。
折れ線は、各温度で調整したタイヤの空気圧が、日平均温度になったときの空気圧を示します。
【ここは読み飛ばしてもよいです】
シミュレーションは、理想気体の状態方程式を用いて計算します。
PV = nRT
ただし、タイヤの容積は一定と仮定しているので、温度(T)と圧力(P)の関係は次のように表されます。
P1 / T1 = P2 / T2 ⇒ P2 = P1 / T1 × T2
温度は絶対温度、圧力は絶対圧を用います。
・絶対温度(K) = 摂氏温度(℃) + 273.15
・絶対圧(kPa) = ゲージ圧(kPa) + 大気圧(101.325kPa)
絶対圧で計算後、ゲージ圧に換算し直します。
さて、上の図を見てどう考えるか?
例えば、7月、8月、9月にタイヤが冷えたとき(25℃付近)に指定空気圧に調整すると、冬に向かって空気圧が低下し続けるので(緑色の折れ線)、毎月空気圧の点検と空気補充が必要になります。
一方、12月、1月、2月にタイヤが冷えたとき(5℃付近)に指定空気圧に調整すると、夏に向かって空気圧は上昇し続けます(橙色の折れ線)。
ただし、空気は少しずつタイヤから抜けていくので、空気圧上昇分と相殺されて、空気圧の変動は少なくなっているかもしれません。
筆者の場合は、これまで自分でタイヤの空気圧点検と調整をしてきませんでした。
11月にディーラーで窒素ガスを入れた冬タイヤに交換&空気圧調整し、4月にディーラーで窒素ガスを入れた夏タイヤに交換&空気圧調整するだけでした。
図の灰色の折れ線と山吹色の折れ線を見ると、それでもおおよそ指定空気圧付近を維持しているようなので、問題なかったのでしょう。
窒素だからといってタイヤから自然に抜けない訳ではありませんが、ガスの抜けやすさには温度依存性があるので、気温が上昇する夏場には空気圧が低下しやすく、気温が低下する冬場は空気圧が低下しにくくなり、筆者の場合はいい塩梅になっていたことも一考に値します。
参考までに、天然ゴム(NR)に対する酸素と窒素の透過係数と温度の関係を下図に示します。
タイヤに空気を入れている人は、冬から春、春から夏にかけて毎月少しずつエアー抜き、夏から秋、秋から冬にかけて毎月少しずつエアー補充が必要になるでしょう。
ということで、タイヤが冷えたときの温度というのは季節ごとに異なるので、ほとんどのタイヤメーカーは最低1ヶ月に1度の空気圧点検を推奨しています。
そして、日中の気温が高いときではなく、朝方の気温が低い時間帯に空気圧点検をするのがよいです。
点検には、市販のエアゲージを使用すればよいです。
過去記事リンク ⇒ 『おすすめエアゲージ精度比較 タイヤゲージはどれを買えばいいのか?』
参考までに、温度変化とタイヤ空気圧の変化を計算した結果を下図に示します。

「気温が10℃上昇すると、タイヤの空気圧は約10kPa(0.1kgf/㎠)上昇する。」と言われているそうですが、あまり正しいとは言えないですね。
気温以外にも、日当たり具合や路面温度の影響も受けますから。
しかも、上昇する圧力は充填圧力に影響するので約10kPaとは限りません。
トラックの空気圧は600kPaなので、10℃上昇すると626kPaになります。
なので、「タイヤ内の温度が10℃上昇すると、空気圧は約5%上昇します」といったほうがより正確でしょう。
ところで、タイヤの温度は何度まで上がるのでしょうか?
モータースポーツでは、ほとんどの高性能ストリートタイヤ~レーシングスリックタイヤの場合、華氏160℉〜220℉(71~104℃)にもなります。
ただし、タイヤの特性に応じて、コーナリンググリップが最大化する適切な温度範囲に収めるために空気圧をセッティングします。
例えば、あるレーシングチームにおいて、RX-8に265/35R18のブリヂストンPOTENZA RE-11を装着した場合、華氏180℉~190℉(82℃~88℃)でアンダーステア傾向になるので、通常はタイヤ温度が華氏160℉~170℉(71℃~77℃)の範囲になるように、空気圧をフロント約39psi(269kPa)、リア約37psi(255kPa)にセッティングしていました。
一般的な車の市街地走行ではどれくらいの温度まで上昇するのでしょうか?
モータースポーツと異なり、市街地では高速走行をすることはありません。
なので、上昇する温度はせいぜい路面温度になります。
気温35℃付近のときのアスファルト路面温度は55℃前後であり、温まったタイヤの最高温度はそれくらいになると予想されます。
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