10年ほど前の記事『高齢化と国際化によりオストメイトトイレが使えない』で、いくつかのトイレ検索アプリを紹介しました。
当時、私が実際に試したのは次の4つのアプリです:
- Google Maps / グーグル
- オストメイトJP / ディーエスケープロダクション合同会社
- オストメイトなび / NPO エムアクト(m-akt)
- Check A Toilet / NPO Check (チェック)
この中で「オストメイトJP」は日本オストミー協会(JOA)の公式HPでも紹介されています。
当時、私自身は全てのアプリを試してみたものの、地方では登録情報が少なく、実用性は今ひとつと感じました。
私の場合、オストメイトトイレでないと「むずかしい」「だめ」ということはありません。
そして、通常の様式トイレで対応できる備えをしているので、あらかじめGoogle Maps で行先予定近辺の公衆トイレ、トイレ使用可能な施設や店舗を調べておくのが確実で、オストメイトトイレ検索アプリは削除しました。
さて、あれから10年。
アプリは、今もオストメイトに活用されているのでしょうか?
「オストメイトなび」や「Check A Toilet」はNPO法人によって開発・運営されており、現在も会員制度への入会や寄付による支援を募っています。
果たして、その活動は支援に値するものなのでしょうか?
その手がかりとして、各法人が公開している会計報告(活動計算書)をもとに、財務状況を確認してみました。
NPO法人 エムアクト(m-akt)
2016年(平成28年度)~2022年(令和4年度)の収支状況をグラフにまとめました(下図)。
その結果、以下の点が見えてきました。
– 受取会費(青)
平成29年度のみで、それ以降はゼロ。
現在、会員は実質的に存在しないと見られる。
– 事業収益(橙)
平成30年度に小さな収益があるものも、それ以外はゼロ。
自立した事業収益基盤は構築されていない。
– 受取助成金等(灰)
全期間においてゼロ。
助成制度を活用する体制が整っていない可能性がある。
– 受取寄付金(黄)
年によって大きな変動あり。
令和2年度には90万円超と突出した寄付があったが、低迷している。
– 経常支出(緑)
年間30〜60万円程度と一定水準で推移。
支出は比較的コントロールされているが、収益が追いつかない。
– 収支差額(紺)
黒字は一部の年度のみで、複数年にわたって赤字が続く。
慢性的な赤字体質が懸念される。
といった状況で、総評としては、活動意義は感じられるが、資金調達力や組織の持続性には大きな課題があると言わざるを得ないでしょう。
NPO法人 Check
2008年(平成20年度)〜2024年(令和6年度)の収支状況をグラフにまとめました(下図)。
以下、エムアクトと同様に財務データを分析しました。
– 受取会費(青)
平成21年度を最後にゼロ。
会員制度自体が停止状態にある可能性がある。
– 事業収益(橙)
平成22年度以降は毎年安定的に計上。
収益の自立性が一定程度確保されている。
– 受取助成金(灰)
平成23年度に1,170万円超の大型助成があるが、その後はほぼゼロ。
現在の運営は助成金に依存していない。
– 受取寄付金(黄)
平成25年度を除き、寄付はほぼゼロ。
継続的な寄付者の確保に成功していない。
– 経常支出(緑)
平成23年度の支出ピーク(1,600万円超)以降は縮小し、現在は1,000万円以下の運営。
支出管理は比較的良好。
– 収支差額(紺)
赤字の年もあるが、黒字の年が多い。
全体としては財務的に比較的健全な運営状況が維持されている。
といった状況で、総評としては、規模は縮小傾向にあるが、収支のバランスは取れており、組織としての持続性は見込めるのではないでしょうか?
◆ 比較まとめ表
| 項目 | NPO法人 エムアクト | NPO法人 Check |
|---|---|---|
| 受取会費 | 平成29年度のみ | 平成21年度以降ゼロ |
| 事業収益 | ほぼゼロ | 毎年安定的に発生 |
| 助成金等 | 活用実績なし | 一部年度で大型助成 |
| 寄付金 | 単年依存で大きな波がある | 単年度のみ。基本的にゼロ水準 |
| 支出 | 年30〜60万円で一定だが収入不足 | 支出を縮小し運営コントロール中 |
| 収支差額 | 赤字年が大半 | 黒字年が多く、比較的安定 |
会員になる? 寄付する?
組織の理念や活動そのものは尊いものです。
ただし、財務状況を見ると、継続的な支援が機能しているとは言いがたいです。
特にエムアクトは組織の持続可能性に懸念があります。
もちろん、財務だけで全てを判断できるわけではありませんが、支援を考える方にとっては、ひとつの判断材料になると思います。
みなさんは、どう思われますか?
あなたなら支援を検討しますか?
IKINARI LARCをもっと見る
購読すると最新の投稿がメールで送信されます。

