以前の記事に、5年目の車検をアフターマーケットアルミホイールに装着した冬タイヤで通さざるを得なかったことを書きました。
過去記事リンク⇒『メルセデス・ベンツ タイヤ残溝スリップサイン以上でも車検に通せず YOKOHAMA ADVAN dB V553に交換』
重要なのは、アルミホイールが堅牢(けんろう)であること。
では、堅牢とは何か?
以下、法令等の要求事項について説明していきます。
目次
保安基準
車検に合格するには、道路運送車両法に基づく道路運送車両の保安基準に適合している必要があります。
そして、アルミホイールは、堅ろうで『軽合金性ディクスホイールの技術基準』に適合すること、となっています。
道路運送車両の保安基準
第9条(走行装置)
第1項 自動車の走行装置(空気入ゴムタイヤを除く。)は、堅ろうで、安全な運行を確保できるものとして、強度等に関し告示で定める基準に適合するものでなければならない。
道路運送車両の保安基準の細目を定める告示
第11条(走行装置)
第1項 自動車の走行装置の強度等に関し、保安基準第9条第1項の告示で定める基準は、別添2「軽合金製ディスクホイールの技術基準」に定める基準及び並びに次項及び第5項に掲げる基準とする。
では、車検において、アルミホイールが堅ろうかどうかは、どうやって判断するのでしょうか?
それは、『軽合金製ディスクホイールの技術基準』にある表示があれば堅ろうとみなされる、となっています。
道路運送車両の保安基準の細目を定める告示
第89条(走行装置)
第3項 軽合金製ディスクホイールであって、別添2「軽合金製ディスクホイールの技術基準」に基づき鋳出し又は刻印によりマークが表示されており、かつ、損傷がないものは、前項の「堅ろう」とされるものとする。
別添2『軽合金製ディスクホイールの技術基準』の表示規程は次のとおりです。
4. その他
4.1. 表示
この基準に適合することが保証された製品に対してはホイールを車両に取り付けた状態で容易に確認できる箇所に下記に定める内容を表示する。ただし(2)、(3)及び(4)の事項を表示する箇所についてはこの限りではない。
(1) 図(5、7)に示す寸法を最小とする相似形のマーク又は別途通知するマーク
(2) ホイールサイズ及びインセット、ゼロセット又はアウトセット
(3) 車両若しくはホイールの製造者名又は商標
(4) 限定使用の場合はそれらの車両を代表する記号
表示方法は鋳出し又は刻印によるものとする。
(1)の相似形のマークとは、「Japan Light alloy Wheel」の文字をモチーフにした、JWL(乗用車、二輪車用)またはJWL-T(トラック、バス用)マークです。
では、「ホイールを車両に取り付けた状態で容易に確認できる箇所」とは具体的にどこなのでしょうか?
後述するJWTCは、ホイールの表側と回答しています。
| Q8 | JWL・JWL-TやVIAのマークがホイールのデザイン上、表側に表示できない場合には裏側に表示してもよいですか。 |
| A8 | 規程のとおり軽合金製ディスクホイールの表側に表示しなければなりません。車両に取付けた状態で誰でも容易に確認できるように表側の表示が必要です。軽合金製ディスクホイールの設計段階から表示位置に配慮してください。 |
筆者のアルミホイールには、エアバルブの横に鋳出し ” JWL ” マークがあります。
その他に、第三者機関の自動車用軽合金製ホイール試験協議会(JWTC ; The Japan light alloy Wheel Testing Council)が基準適合性の実証試験、審査・評価を行ったことを示す ” VIA ” マークがあります。
VIAマークは必須ではありませんが、製造者による自主評価のJWLマークと違って、安全性と性能に関する業界標準を満たしていることが保証されます。
その他の表示(サイズ、インセット、製造者)は、ホイール裏側にあります。
審査事務規程
ところで、独立行政法人自動車技術総合機構(旧自動車検査独立行政法人~2016年3月31日)の「審査事務規程」というのがあります。
2014年(平成26年3月6日)改正より前のアルミホイールの規程は次のとおりで、2014年以前は輸入車のアルミホイールのリコールが数件ありました。
【改正前】自動車検査独立行政法人 審査事務規程
第4章 新規検査及び予備検査
4-11 走行装置
4-11-1 性能要件(視認等による審査)
(1) (略)
(2) 軽合金製ディスクホイールであって、細目告示別添2「軽合金製ディスクホイールの技術基準」に基づくJWLマーク若しくはJWL-Tマーク又は自動車製作者を表すマークがホイールを車両に取り付けた状態で容易に確認できる箇所に鋳出し又は刻印により表示されており、かつ、損傷がないものは、(1)の「堅ろう」であるものとする。(細目告示第11 条第1項、細目告示第89 条第3項関係)
| 対象 | 不具合の内容 | |
| 平成24年4月5日 ルノー・ジャポン株式会社による自主改善の実施について | ALTAIR, NYMPHEA | 後付け部品のアルミホイールについて、「軽合金製ディスクホイールの技術基準」に規定されている当該技術基準に適合することを保証された製品に対して行う表示(JWL マーク及び車両若しくはホイールの製造者名又は商標)がされていないため、保安基準の適合性が確認できない。 |
| 平成24年5月22日 (株)ホットスタッフコーポレーションによる自主改善の実施について | ラフィットSK9, エクシーダーEX9 | 後付け部品のアルミホイールについて「軽合金製ディスクホイールの技術基準」に規定されている当該技術基準に適合することを保証された製品に対して行う表示(JWL)がされていないため、保安基準の適合性が確認できない。 |
| 平成25年5月10日 ビー・エム・ダブリュー株式会社による自主改善の実施について | BMW アロイ ホイール | 走行装置(ホイール)において、「軽合金製ディスクホイールの技術基準」に規定されている当該技術基準に適合することを保証された製品に対して行う表示(車両の製造者名又は商標)がされていないため、保安基準の適合性が確認できない。 |
平成26年3月6日に、国土交通省における道路運送車両の保安基準等の改正に合わせた審査事務規程の一部改正が行われました。
それと同時に、審査事務規程の明確化に伴う一部改正も行われ、平成26 年4月1日から施行されています。
現在(令和6年)の規程(下表)では、堅ろうと認められる表示が①~⑤に示されています。
なお、平成26年の一部改正後から内容は変わっていません。
| 独立行政法人自動車技術総合機構 審査事務規程(令和6年6月27日 規程第2号)第57次改正 |
| 第7章 新規検査、予備検査、継続検査又は構造等変更検査 7-11 走行装置 7-11-1 性能要件(視認等による審査) (1) 自動車の走行装置(空気入ゴムタイヤを除く。)は、強度等に関し、視認等その他適切な方法により審査したときに、堅ろうで、安全な運行を確保できるものでなければならない。(以下、略) (2) 軽合金製ディスクホイールであって、次に掲げるマークが鋳出し又は刻印により表示されており、かつ、損傷がないものは、(1)の「堅ろう」であるものとする。(細目告示第 11 条第 1 項、第 89 条第 3 項関係) ① 専ら乗用の用に供する自動車(乗車定員 11 人以上の自動車、二輪自動車及び側車付二輪自動車を除く。)、二輪自動車、側車付二輪自動車又は車両総重量3.5t 以下であり、かつ、最大積載量が 500kg 以下の普通自動車、小型自動車及び軽自動車(専ら乗用の用に供する乗車定員 10 人以下の自動車、二輪自動車及び側車付二輪自動車を除く。)である場合、細目告示別添 2「軽合金製ディスクホイールの技術基準」に基づく JWL マーク ② 専ら乗用の用に供する自動車(二輪自動車及び側車付二輪自動車を除く。)又は普通自動車、小型自動車及び軽自動車(専ら乗用の用に供する自動車、二輪自動車及び側車付二輪自動車を除く。)である場合、細目告示別添 2「軽合金製ディスクホイールの技術基準」に基づく JWL-T マーク ③ 自動車製作者を表すマーク(自動車製作者が当該自動車を製作する際に設定したホイールに限る。) ④ 専ら乗用の用に供する自動車(乗車定員 11 人以上の自動車、二輪自動車及び側車付二輪自動車を除く。)又は車両総重量 4.54t 以下の普通自動車、小型自動車及び軽自動車(専ら乗用の用に供する乗車定員 10 人以下の自動車、二輪自動車及び側車付二輪自動車を除 く。)である場合、米国自動車技術協会が定める SAEマーク(SAE J 2530 の鋳出し又は刻印等) ⑤ 自動車製作者が当該自動車を製作する際に設定したホイールであり資料等により自動車製作者が付したことが明らかな記号等 |
上記①~⑤のマークうち、③、④、⑤が『軽合金製ディスクホイールの技術基準』の4.1項(1)にある「別途通知するマーク」に該当します。
④に、SAEマークのあるホイールも堅ろうとされました。
SAEの機関名はSAE Internationalで、以前はSociety of Automotive Engineers(自動車技術者協会)でしたが、活動範囲の拡大を反映して2006年に現在の名称が採用されました。
拠点は、米国ペンシルベニア州ウォーレンデールにあります。
J2530の規程は、Aftermarket Wheels – Passenger Cars and Light Truck – Performance Requirements and Test Procedures (アフターマーケットホイール-乗用車および小型トラック-性能要件とテスト手順)というもの。
ただし、米国では、SAE J2530認証を取得することを連邦が義務付けているわけではなく、車検において特定のホイール認証は要求されていないようです。
筆者のメルセデス・ベンツ GLA 220 販売時装着純正アルミホイールには、表側に表示は何もありません。
ホイール内面を鏡を使って映してみると、規程①、③、⑤の表示が確認できます。

購入時の注意
アフターマーケットアルミホイールを購入する際には、『軽合金製ディスクホイールの技術基準』に規程されている表示の不備がないことを確かめてから購入するとよいでしょう。
乗用車の場合、JWLマーク表示だけでなく、偽装表示を避けるためにVIAマーク表示もあると安心です。
なお、『軽合金製ディスクホイールの技術基準』にある性能評価試験方法は、『日本産業規格 JIS D4103 : 2015 自動車部品-ホイール-性能及び表示』と同じです。
この規格は、2005年に第4版として発行された ISO3006、2005年に第3版として発行された ISO3894 及び 2005年に第3版として発行された ISO7141 を基にして、技術的内容を変更して作成されたものです。
一方、SAE J2530のアルミホイールを購入する場合は、規程されている表示が次のとおりなので、確認してみてください。
| 4. ホイールのマーキング |
| この仕様に準拠するホイールは、以下の情報を恒久的ににマーキングする必要があります。 文字は完全に加工されたホイールとして判読可能であり、文字のサイズは高さ3.0mm以上でなければなりません。 文字が表面に刻印されている場合、ホイール表面からの深さが少なくとも0.125mmであるか、ホイールメーカーの選択でホイール表面からの高さが0.125mm以上であるように浮き彫りにする必要があります。 4.1 ホイール供給者の名前、商標、シンボル、またはブランド 4.2 製造年月日(月と年を示し、コード化されているか特定して示されている) 4.3 ホイール供給者の部品番号またはコード 4.4 製造国 4.5 リムサイズの指定(リム径、幅、オフセット、およびリムプロファイル、例:16 x 7J IS44は、直径16、幅7、Jプロファイル、インセット44のホイールを示します) 4.6 この仕様に基づく設計検証試験によって確立された製造者のホイール負荷定格(ポンドまたはキログラムで表記) 4.7 「DOT」のシンボル(製造業者がそのリムがすべての適用される自動車安全基準に適合していることを証明するもの) 「DOT」のシンボルの後に続いて、リムの公表された名目寸法の出所を示す記号を記載し示します。 – 「T」The Tire and Rim Association, Inc.(タイヤとリム協会) – 「E」The European Tyre and Rim Technical Organisation(欧州タイヤとリム技術機構) – 「J」Japan Automobile Tyre Manufacturers Association, Inc.(日本自動車タイヤ協会) |
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JWL表示について、「ホイールを車両に取り付けた状態で容易に確認できる箇所」というのが引っかかっています。
JWTCは「軽合金製ディスクホイールの表側」と解釈していますが、そうであればほとんどの輸入車の純正アルミホイールはアウトです。ネットの画像で表側に表示がないことを確認しました。
HONDAの純正アルミホイールでは、JWLがなく、裏側に「J DOT」の表示があるものもありました。
新車装着純正アルミホイールは、それでもいいという運用なのか?