前回『【実例】GLA220新車装着タイヤの寿命・走行距離は15,000km』という記事を書きました。
今回は、5シーズン使用した実績から、スタッドレスタイヤの寿命の推定を行いました。
※前回記事から分離したリブログ記事です
BRIDGESTONE BLIZZAK VRX2 235/50R18 97Q(以下「ブリザック」という)を5シーズン使用しました。
装着実績は、2019年10月26日~2024年3月21日の間の775日間。
夏タイヤを除くブリザックだけの走行距離は、11,115kmでした(詳細は前回ブログ参照)。
スタッドレスタイヤには、夏タイヤと同様の残り溝1.6mmを知らせるスリップサインの他に、50%摩耗の目安を知らせるプラットホームと呼ばれる突起があります。
そこまで摩耗したときがスタッドレス性能の寿命です。
ブリザックの実測では、プラットフォームからの溝の深さが4mmだったので、新品時の溝の深さは8mmということになります。
ちなみに、新品の夏タイヤADVAN dB V553の溝深さも8mmでした。
5シーズン使用したブリザックの溝の残りは、4本中2本が7.0mm、もう2本が6.5mmだったので、11,115kmの走行使用で1mm~1.5mm 摩耗したことになります。
したがって、
4mm/1mm×11,115km=44,460km
4mm/1.5mm×11,115km=29,640km
なので、プラットフォームまで摩耗する走行距離寿命は3万km程度と推定できます。
ただし、プラットフォームまで摩耗したタイヤで、雪上・氷上を安全走行が可能かどうかということとは別の話です。
路面がアイスバーンになりやすい地域、タイヤメーカーの違いなどで、性能は大きく変わってきます。
筆者が車通勤をしていたときは、ブリザックを長くても4シーズン使用したら新品に交換していました。
走行距離でいうと、1シーズン3,750km程度だったので、15,000km前後で交換していた計算です。
林間で日陰になり路面凍結しやすい坂道が通勤経路上にあったので、体感で判断して交換基準をこのように決めていました。
32シーズンの車通勤での経験中には、ブリザック以外のスタッドレスタイヤを装着したこともあります。
タイヤメーカーによる氷上停止性能差は明らかで、危険を感じて2シーズン、3シーズンで交換したスタッドレスタイヤもあります。
なお、本記事走行距離が少ない理由は、コロナ禍によりリモートが増え通勤が減ったこと、その後退職し通勤がなくなったためです。
さてここで、5シーズン使用しても十分に溝が残っているブリザックは、「6シーズン目も使用できるでしょうか?」ということについて考えていきます。
見てのとおり、サイドウォールは非常に良好な状態を保っています。
製造年月表示は5118で、2018年の51週(12月16日~12月22日)を示しているので、2024年12月で製造後6年になります。
使用開始後では、2024年10月26日で5年になります。
一般社団法人 日本自動車タイヤ協会 JATMAやタイヤメーカー各社では、使用開始後 5 年以上経過したタイヤについては、継続使用に適しているかどうかタイヤ販売店等での点検を受けることを奨めています。
しかし、タイヤメーカーも販売店もタイヤを売りたいでしょうし、性能を保証できない、万が一事故が起こったときの責任が持てないので、「継続使用しても大丈夫ですよ」とは100%言わないでしょう。
その他に、スタッドレスタイヤのトレッド面のゴム硬度を測定して交換する・しないを判断するといった情報があります。
ショアA硬度が55までは交換不要、55~60では要注意、60以上では交換が必要とのこと。
しかし、このようなガイドラインや業界標準は存在せず、スタッドレスタイヤの交換目安となる硬度基準値を規定したものはありません。
また、タイヤメーカーごとに設計は異なり、硬度だけでなく、トレッドの表面粗さ、サイプの状態、コンパウンドの違い、接地圧なども氷上摩擦特性に影響します。
ちなみに、ゴム硬度測定はショアA硬度デュロメーターを用い、ASTM2240規格の標準試験方法において試験温度23±2°C、試験湿度50±5% の条件で行うことが規定されています。
ゴムの硬度は温度の影響を大きく受けるので測定には注意が必要です。
タイヤ販売店等において、温湿度条件を満たしてタイヤ硬度を測定できるとは考えにくいです。
ところで、ブリヂストンのブリザックは発泡ゴムを採用し、摩耗しても新たな気泡が現れるため、3シーズン目、4シーズン目も氷上性能が低下しにくいという特徴があります。
そこで、ASTM2240に準拠した温度条件下でブリザックの硬度を測定してみました。
トレッド面の様々な箇所を測定した結果、最小35~最大44でした。
しかし、ブリザックのトレッド面は発泡ゴムのため見掛け密度が低く、測定値はゴム単体の硬度を示していません。
そこで、発泡していないサイドウォールのSTUDLESSの文字部分の硬度を測り直してみました。

外気温は5℃で、硬度は最小52~最大55でした。
ちなみに、新品のADVAN dB V553の硬度も55でした。
ブリザックの場合、タイヤトレッド面の硬度を測定しても意味がなく、交換時期の目安としては適切ではありません。
参照リンク⇒『新品ブリザックおよび劣化品のゴム硬度比較|温度と測定部位の影響』
ブリザックが6シーズン目でも比較的低い硬度を維持しているのは、窒素ガスを入れていること、タイヤカバーをかけて遮光してガレージ内で保管していることから、酸化劣化や紫外線劣化が抑えられたことが影響していると思います。
現在のブリザックは6シーズン目になるけれども15,000kmに達していないこと、外観に大きな劣化が見られないこと、低い硬度を維持していることから、今冬シーズンはこのままブリザックを継続使用できると判断しました。
[その後]
2025年1月の凍結路面でも、相変わらず性能を発揮しているといった実感です。
以下、余談です。
BRIDGESTONEのロゴが入った硬度計は、メモリ数値の範囲で色分けされています。
硬度30-56が緑、56-60が黄色、60-80が赤に。

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この色分けの意図が不明で、そのためスタッドレスタイヤ交換の基準値と間違われているのではないでしょうか?
- 緑色(30-56):低い硬度を示し、一般的により柔らかいタイヤ。グリップ力が高く、トラクションが向上することを意味する。
- 黄色(56-60):中間の硬度を示し、バランスの取れた性能のタイヤ。柔軟性と耐久性のバランスが良いことを意味する。
- 赤色(60-80):高い硬度を示し、耐久性が高いタイヤ。タイヤの寿命が延びるが、グリップ力が低下する傾向がある。
別にショア硬度Aの範囲には次のような分類があります。
- Extra Soft (非常に柔らかい): 0-35
- Medium Soft (やや柔らかい): 35-60
- Medium Hard (やや硬い): 60-80
- Hard (硬い): 80-100
*
ブリヂストンに問い合わせて回答を得たので、次にその概略を記載します。
- ブリヂストンでは硬度計を販売していない。
- ブリヂストンのサイトにBRIDGESTONEのロゴが入った硬度計の写真が掲載されていることについては、それはブリヂストンが関連するタイヤ販売店(タイヤ館、ミスタータイヤマン)で使用するために配布している非売品。
- ネットで販売されている硬度計が、ブリヂストンの非売品と同じものなのか、数値の互換性があるものなのかは分からない。
- タイヤ販売店では、タイヤの無料点検を行なっている。
- その中でタイヤ硬度も計測しながら、使用年数や溝深さ、ひび割れ等のタイヤの状態なども勘案の上で継続使用可否を案内している。
- 個人での硬度計測によるスタッドレスタイヤ交換の判断基準をブリヂストンは回答することはできない。
- 硬度60を超えると交換の目安と言われたりするが、店舗では、硬度の数値のみでの交換の判断・提案はしていない。
とのこと。
*
BRIDGESTONEロゴが入った硬度計は値段が高いので、購入するのであればASTM2240に適合していて安価なProneseの硬度計でよいと思います。

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最後に。
スタッドレスタイヤ硬度の測定をサイトで紹介しているショップやメーカーをインターネットで見つけることができます。
硬度計を商用使用するのであれば定期的に校正することが望ましいです。
計量法(平成四年法律第五十一号)
第三章 適正な計量の実施
第一節 正確な計量
第十条 物象の状態の量について、法定計量単位により取引又は証明における計量をする者は、正確にその物象の状態の量の計量をするように努めなければならない。
タイヤの溝測定にはシンワノギス(09162・廃番)を使用。
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