国内未発売かっこいいソルツヘルスケアの黒いストーマ装具

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英国 Salts Healthcare社(ソルツ ヘルスケア)のConfidence BE(コンフィデンス ビー)というストーマ装具。
パウチのカラーラインナップとして、黒、白、ストーンの3色があります。
ソルツ製品の日本でのディストリビューターはSOLVE(ソルブ株式会社)ですが、コンフィデンス ビーは国内未発売。
今回、アイルランドの販売者から購入することができたので、製品の詳細を紹介します。

水着に着替えた女子オストメイトの人工肛門装具とスキンバリアーのイラスト

はじめに

ソルツ ヘルスケア(以下、「ソルツ」という。)のホームページに、サンプル注文のサイトがありますが、英国のみとなっています。
今から2年前の2019年7月に、コンフィデンス ビー(以下、「BE」という。)の入手方法についてソルツに問い合わせたことがあります。
その回答では、「英国で製品を発売して以来、前例のない需要があり、アイルランドとノルウェー以外の他の国際市場への供給の継続性を保証することができない。」ということでした。

それから年月が経ち、今回、たまたまアイルランドの販売者からBEを購入することができました。
なお、ストーマ装具は日本国内では医療機器ではありません(【※1】参照)。なので、輸入確認証の取得(個人使用のために輸入(ワード:203KB))などの面倒な手続きは不要です。

【※1】 医療機器の高度管理医療機器、管理医療機器又は一般医療機器の区分等については、「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律第二条第五項から第七項までの規定により厚生労働大臣が指定する高度管理医療機器、管理医療機器及び一般医療機器」(平成16年厚生労働省告示第298号。以下「クラス分類告示」という。)等において定められており・・・以下省略。

出典: 薬生発1019第1号 平成30年10月19日 厚生労働省医薬・生活衛生局長

ヨーロッパでは、ストーマ装具は欧州医療機器規則Medical Device Regulation(MDR)のRULE 1にあり、CLASS1の非侵襲的医療機器に該当します(【※2】参照)。
そのため、ヨーロッパでストーマ装具を販売するには、CEマークの取得が必要になります。
なお、欧州連合(EU)指令93/42/EEC(別名、医療機器指令(MDD))はMDRに移行しました。

【※2】 人工膀胱、人工肛門造設術、回腸瘻造設術、または永久気管切開術で使用される外科的に作成されたストーマは、体の開口部と見なされます。 したがって、そのようなストーマに導入されたデバイスは、外科的に侵襲的ではありません。

出典: EUROPEAN COMMISSION MEDICAL DEVICES: Guidance document Classification of medical devices

【参考関連記事】国内未承認体温計の販売は違法・輸入品購入注意 ←参照リンク

BEの詳細

BEは一箱30枚入り。この点は、大変うれしいと思います。
なぜなら、私KenUが普段使用しているツーピース装具は、面板が一箱5枚入り、パウチが一箱10枚入りなので、読まずに捨てるだけの説明書、使わないメジャーリングガイド、分厚い紙の箱のゴミが多くなり、いつも「地球環境にやさしくない、何とかならないのかなぁ?」と思っているからです。
30枚入りの場合、ひと月に10枚使用するとして、3か月間は装具以外のゴミがでません。

なお、パッケージのどこにも使用期限(Exp)表示がありません。
メーカーに問い合わせたところ、製品の使用期限は設定していないということです。


今回、購入したのは、標準サイズのブラックのドレナブルパウチ。
セラーさんが、ホワイトとミニパウチをおまけに付けてくれました。

パウチ外側の素材は、コロプラストのセンシュラミオ1と同様で、感触も似ています。

消臭ガス抜きフィルターの上に貼るシールは付属していません。
そのままお風呂に入れるようです。

便排出口の上面は曲面になっていて、口を広げるためのツマミが付いています。
便排出口のプラスチックプレートに折り目を付ける必要がなく、これまで使用したことがあるどのパウチよりも口を広げやすかったです。

プラスチックプレートは硬めでしっかりしていて安心感があります。
便排出口の閉じ方は、3回折り曲げながらロールアップして、マジックテープで固定します。

面板は、ソルツ製品の特長である切れ目を設けたフレキシフィット加工。
KenUは、2017年1月に「世界の人工肛門オストミー製品を調べてみた。」(←参照リンク)という記事を書いています。
そこに、ソルツオフィシャルのフレキシフィット加工面板の特性を説明している3DCG動画を貼り付けているので、是非見てください。

面板サイズは、ダンサック NONA1と比較してもとくに大きいということはなく、普通サイズです。
ちなみに、KenUは、フレキシフィットからヒントを得て、ノバ1を使用するときに面板を加工しています。
【関連記事参照リンク】→ ストーマ装具面板カスタマイズムービー(字幕あり)

フィルムドレッシング製品のカテリープラスカーブ、ムーバルを使う場合も、面板の大きさは丁度良いです。

パウチのサイズは、ダンサック NONA1よりも、ちょっと小さ目。
なので、BEの容量はやや少ないです。

パウチの内部を観察すると、ガス抜き用に成形されたフィルム構造があります。
パウチの両側には、魚のヒレ形状に融着された部分があり、何か意図がありそうです。逆流防止でしょうか?
外側生地の内側には、フィルムが貼ってあります。防水のため?

BEの試用

面板をはさみで切るときの感覚は、センシュラミオ1に似ています。また、貼ったときの感じも、センシュラミオ1に似ています。そして、フレキシフィットのためセンシュラミオ1よりも装着感は良好な気がします。

貼りつけてすぐの接着力はやや弱い感じです。
そのためでしょうか、説明書には、面板を両手で45秒間押さえることが書かれています。
私は、面板周囲にカテリープラスカーブを貼りました。

ユニクロUの厚手の白いTシャツを着たときには、黒いパウチは透けませんでした。

入浴後は、ロールアップした部分にお湯が溜まりやすいので、よく水切りして上がるとよいです。
ティッシュペーパーを「シュシュッ!」と取り出して、パウチ外側の水気を吸わせ、外側生地の内側にもティッシュペーパーをくぐらせれば、簡単に乾かすことができます。この点は、ほぼセンシュラミオ1と同じです。

【装着可能期間の考察】
メーカー推奨の使用目安期間はわかりません。
ただ、KenU使用時の面板の溶け具合(吸液した輪っかの幅)から考察すると、使用期間は、イレオストミーで1日、コロストミーで1~2日が適当ではないか思いました。
恐らく、コロストミーで3日間の使用は限界でしょう。
なので、BEは、毎日交換を前提として使用する製品と考えておけば安心。
毎日交換する装具に、シール製品、面板周囲防水フィルムを併用して使用することは、コスト的に無駄です。
KenUがお勧めするBEの使い方は・・・
(1)皮膚被膜剤スプレーを使ってから、バリケアパウダーをストーマ周囲にふりかけ、BEを装着。
(2)毎日の入浴前または入浴後に交換。
装具交換の頻度は高くなり面倒ですが、低価格の装具であれば、このような使い方のほうがコスト的に有利なことがあります。
それは、各個人のお好みで選択すれば良いと思います。


以上、日本国内未発売のストーマ装具、ソルツヘルスケアのコンフィデンスBEを紹介しました。
とにかく、黒がかっこいい。
どうしても実物を見てみたいという理由だけで入手しました。
「ソルツ以外のストーマ装具メーカーも、パウチのカラーナインナップを考えてみたら面白いのに。」と思いました。

オストメイトの方からは、「日本で買えない製品を紹介してどうするんだ?」といったお叱りの声も聞こえてきそうです。
でも、KenUがストーマ関連のブログを書いている目的の一つとして、いろいろな製品レビューの情報を発信することで、日本国内のストーマ関連メーカーを触発して、新製品開発意欲を引き出すという狙いがあります。
現にKenUが発信した情報に基づいて、メーカーからたくさんの新製品が生まれたと自負しています。
つぎつぎに新製品が開発されれば、自分を含めてオストメイトの方々のQOLが向上するに違いありません。

お詫び

日本国内では医療機器扱いにならないこと、30枚も必要ないことから、当初、KenUのブログ、YouTubeを応援してくださっている方を対象に、BEを20枚程度、複数名の方にプレゼントすることを考えていました。
しかし、次の理由により、いったん保留とさせていただきます。
 ・製品情報が不足している
 ・使用期限が不明
 ・装着目安期間が不明
 ・KenUやプレゼント当選者に対する誹謗中傷の不安がある

BEを使用しないことを同意していただいた上でプレゼントすることも考えられますが、万が一使用して問題、不具合、危害を生じても、KenUは一切の責任を負うことはできません。
なので、改めて考え直したいと思った次第です。
申し訳ありません。

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