今回は、AIのプロンプトは『あなた設定』より『わたし設定』が決め手になる、という内容です。
前回のブログ『【AI活用】間違った認識を正す|これが仕事で使える創造性UPプロンプト術』では、AIに役割を与える必要はないことを書きました。
そして、自分の立場を明確にする(ユーザー自身の設定)がポイントになることを書きました。
以下に、その理由を述べ、実際に検証しました。
役割設定は役に立つのか?
雑誌、プレジデント 2025年10月3日号『AI活用術』では、複数の筆者がプロンプトを書くときのポイントに「役割設定」をあげています。
しかし、私KenUは、それに対して異論があります。
まずは、前出プレジデントのコンテンツ「『億り人』がAIにきいていること」から引用します。
まず最初が「役割設定」。プロンプトの冒頭で、ユーザーが求める返答にマッチした役割をAIに与えます。役割を与えることでAIの思考の方向性が定まって、言葉遣いや説明の方法もよりユーザーの要求に沿ったものになります。
与える役割は、現実的かつ具体的なものがいいでしょう。投資用のプロンプトであれば、 「あなたはプロの証券アナリストです」と設定します。ニーズに合わせて、「あなたは投資初心者向けの説明が得意な証券アナリストです」「あなたは日本株が専門の証券アナリストです」などと専門性の範囲を指定すると、よりユーザーの要求に即した答えが得られます。

確かに「プロの証券アナリスト」と指定すれば、専門的な分析寄りの答えが返りやすくなります。
しかし、AIがそのキャラをどのように演じて答えるかに焦点が移るため、ユーザーの理解度やニーズに合った回答になるとは限りません。
有効なのはユーザー設定
より有益なプロンプトは、ユーザー自身がどういったバックグラウンドを有するのかをAIに理解させることです。
AIの「役割設定」よりも「ユーザー設定」が重要で、つまり、「あなた設定」ではなく「わたし設定」を書きましょうということです。
そうすることで、AIはユーザーにどのように理解させるかに焦点がいくため、より役立つ回答を与えてくれます。
プロンプトの比較検証
上記引用の証券アナリストの役割設定に対して、その対比となるユーザー設定のプロンプトを書き、ChatGPT-5の回答を比べてみました。
【役割設定のプロンプト】
A: 「あなたはプロの証券アナリストです。資生堂の株価の今後の動向を100字以内で教えてください。」
B: 「あなたは投資初心者向けの説明が得意な証券アナリストです。資生堂の株価の今後の動向を100字以内で教えてください。」
C: 「あなたは日本株が専門の証券アナリストです。資生堂の株価の今後の動向を100字以内で教えてください。」
【ユーザー設定のプロンプト】
D: 「私は投資歴が長く専門的知識があります。資生堂の株価の今後の動向を100字以内で教えてください。」
E: 「私はまだ投資の初心者で専門用語などもあまりよくわかりません。資生堂の株価の今後の動向を100字以内で教えてください。」
F: 「私は日本株だけを専門に投資をしたいと考えています。資生堂の株価の今後の動向を100字以内で教えてください。」
【ChatGPT-5の回答】
A: 役割設定=プロの証券アナリスト
資生堂は業績回復基調だが、中国需要の不透明感が重し。短期的な変動に注意しつつ、中長期で緩やかな上昇を期待。
B: 役割設定=投資初心者向けに説明する証券アナリスト
資生堂の株は少しずつ回復しています。ただ、中国での売れ行きが心配で、株価は上がったり下がったりを繰り返す見込みです。
C: 役割設定=日本株専門の証券アナリスト
国内消費の持ち直しが下支え。ただし中国事業の先行き次第で変動幅大。中期的にはブランド力を背景に堅調さを維持しやすい。
D: ユーザー設定=投資歴が長く専門的知識あり
インバウンド需要回復は追い風だが、中国依存リスクと円相場の影響大。EPS回復を見極めつつポジション調整が肝要。
E: ユーザー設定=投資初心者
資生堂は売上が少しずつ戻っていますが、中国での売れ行きが心配です。株価はしばらく上下をくり返すかもしれません。
F: ユーザー設定=日本株投資を専門にしたい人
国内消費回復とブランド力で安定性あり。ただし海外事業のリスクは残るため、日本市場全体との比較で注視が必要です。
ChatGPT-5の回答概要
- A~C(役割設定)では、 出力の「雰囲気・キャラ」が変わる(プロ風/初心者向け/日本株特化)
- D~F(ユーザー設定) では、 出力の「難易度・粒度」が変わる(専門用語あり/やさしい説明/比較視点)
どれがしっくりくる答えになっていますか?
「ユーザー自身の立場を示す」だけでも十分に調整できることが明白です。
まとめ
- 役割設定は、AIに演技させているだけなので、答えの見栄えはよい
- ユーザー設定は、AIがユーザーのバックグラウンドに合わせて、答えの粒度を自然に調整する
- より実用的なのは、後者のユーザー設定
人間同士の会話でも「専門家として答えて」より「私は初心者なので分かりやすく説明して」とお願いする方が自然ですよね。
AIも同じで、自分の立場を示すだけで得られる答えの質が上がります。
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