雑誌、プレジデント 2025年10月3日号 のタイトルは『AI活用術』。
読んでいて、これは誤りを指摘しておきたいと考え、本記事を書くことにしました。
取り上げるのは、コンテンツの一つ「最強プロンプト&究極AI文書術徹底ガイド」のStep2「的外れな回答をなくす『プロンプト神構文7』」。
正直、この構文は「発想を狭めてしまう」と感じました。
ここでは、その理由を整理するとともに、私KenUが実際に試している、創造性を広げるAIとの対話方法を紹介していきます。

プレジデントのプロンプト
まずは、プレジデントの「7つの構文プロンプト」を引用します。
- あなたは大学の経済学部でSNSマーケティングについて学生に教えている教授です。
- 私は菓子メーカーで商品開発の仕事をしていて、クライアント先のコンビニに置いてもらうフルーツグミの商品POP作成をあなたに手伝ってほしいです。
- このフルーツグミの色はクラブのパーティーをイメージしたネオンカラーで、かじると中から真っ赤なジュレがあふれ出して舌の色が変わります。
- 商品POPは、10代の女性がTikTokに商品パッケージを投稿したくなるようなものを作りたいです。
- キャッチコピー案を10個上げてください。キャッチコピーには、2020年から2025年までTikTokでバズったフレーズを盛り込むようにしてください。
- たとえば、「それしか勝たん」「尊すぎる」といったフレーズです。
- キャッチコピー案と一緒に、どのようなキャラクターのイラストを入れると効果的か、アイデアを提案してください。
これのどこがだめなのか、その理由を次に挙げます。
- 役割設定は必要ない
AIに役割を与える必要はありません。不適切な役割を与えてしまうと、欲しい発想に直結しません。
この場合、「経済学部でSNSマーケティングを教える教授」よりも、むしろ「広告代理店のコピーライター」のほうが適切。
※役割設定が不要な理由はこちら(リンク)⇒ 【AI活用】的確さをアップするプロンプトの書き方|コツはユーザー設定にあり! - 制約が多すぎる
「TikTokのバズったフレーズを必ず使う」など条件を細かく縛ると、独自性よりも条件消化が優先されてしまい、結果的に凡庸なコピーばかりが生成されます。 - AIユーザーの思考が止まってしまう
いきなりAIに丸投げすることは、ユーザー自身の思考が止まり、想像力も育ちません。まずは自分で考えてからAIにぶつけてブラッシュアップするやり方が、アウトプットの幅も深みも出ます。 - プロンプトが冗長
本質的にやりたいのは「ティーンがSNSに上げたくなるPOPコピーとイラスト案を考える」こと。であれば、もっとシンプルな構文で十分です。
端的にいうと、AIにやらせすぎて人間の思考が飛んでしまっていること、そして設定が不自然に過剰なことです。
実際にこのプロンプトをChatGPT-5で実行すると……
キャッチコピー案
- 「ジュレあふれ出して、尊すぎる…!」
- 「これ食べなきゃ人生損しか勝たん」
- 「ネオン映え、舌までバズる」
- 「グミの新時代、始まったよね?」
- 「クラブで踊るよりアガる味!」
- 「食べてみ?飛ぶぞ(※2021年流行)」
- 「舌が変わるとか、もはや事件!」
- 「キュンです♥ グミなのに」
- 「エモすぎジュレで心まで染まる」
- 「脳内リピ確定、バズるしか勝たん」
イラスト提案
- ネオンカラーのクラブ風背景
- アニメ風の10代女性キャラがグミをかじって舌を見せている
- TikTok風の縦型フレーム・ハッシュタグ風の装飾
- サイリウムやスピーカーのイラスト
どうですか?
なんとなく「それっぽい」回答は返ってきますが、流行語を無理に盛り込みすぎて安直。
教授設定の効果が不明で、まったく寄与していない。
バリエーションは出るけど、新規性や独自性も弱く、型にはまってる感じ。
そんな印象です。
KenUのプロンプト
では、どうすれば上手くAIの発想を引出せるのか?
プレジデントのプロンプトを、私が使うシンプルなプロンプトに変えてみました。
①今、僕はお菓子メーカーの営業担当なんだけど、②こんど新商品のフルーツグミをコンビニに置いてもらうときのPOPを考えているところ。
それで、フルーツグミは、クラブパーティーのネオンカラーで、かじると中から真っ赤なジュレがあふれ出てきて舌の色も染まる商品なんだけど、③こんなPOPはどうかな?
「あふれだすジュレで舌がカメレオン!」とか。
④10代女性がターゲットだから、SNSで映えるようなイラストも加えたいんだよね。
キャッチコピーを5つくらい考えて、あわせてイラスト案も添えてほしいな。
ポイントは……
① 自分の立場を明確にする(ユーザー自身の設定)。
②状況や考えていることを説明する。
③自分のアイデアを提示する。
④欲しい方向性を示す。
余計な縛りがないのでAIが自由にアイデアを広げやすく、「10代女性がターゲット」「SNS映え」といった最低限の軸はあるので、方向性は外れにくい。
なお、プロンプトでは、ユーザー自身も頭を柔軟に働かせるために、友達と会話するような気軽なトークで大丈夫。
ブレーンストーミングにおいて形式ばった対話は発想を広げるのには効果的ではありません。
実際に、このプロンプトを実行すると……
キャッチコピー案(10代女性がSNSにあげたくなるイメージで)
- 「かじった瞬間、パリピなジュレ爆誕!」
👉 クラブっぽさ強調。
イラスト:サングラスかけたフルーツキャラがクラブで踊ってる。 - 「舌までカラフル。これぞ映えグミ!」
👉 SNSで「舌見せ写真」を撮りたくなる狙い。
イラスト:女の子が舌を出してピースしてるシルエット。 - 「ジュレあふれて、気分アガる↑↑」
👉 ネオン×ハイテンションのパーティー感。
イラスト:クラブのライトみたいに光るグミの擬人化キャラ。 - 「#ジュレ映え #グミしか勝たん」
👉 流行タグを混ぜて投稿を誘う。
イラスト:スマホでグミを撮ってる手元イラスト。 - 「キラキラ×ドロリ。二度楽しめる罪なグミ。」
👉 見た目と食感のギャップを打ち出す。
イラスト:かわいいのにちょっとダークな赤いジュレが滴る。
どうでしょう?
自分の案を投げてからAIに広げさせると、ちょっとバカっぽい(いい意味で)方向まで出せるのが面白いと思うんですよね。
さらに、AI案と自分の案の単語の組み合わせを変えたり、ハイブリッドした案を提示して、「じゃあ、これどう?」を繰り返していくと、最高のPOPが生まれるでしょう!
最後に
AIを活用して新しいものを想像したいのであれば、「まずは自分で素案を考えてAIに見せて、それをAIにブラッシュアップさせる」、「AIを思考の拡張ツールとして捉える」ことが大切です。
そして、AIとアイデアを共有しながら壁打ちの対話を続けることで、より洗練されたアイデアが生まれます。
プレジデントの「神構文」みたいに、AIを “ 指示通りに動く機械 ” 扱いするんじゃなくて、一緒に考える相棒にするといった姿勢が大事です。
AIを使いこなすカギは、指示の巧みさではなく、人間側がどれだけ柔軟に対話を楽しめるかだと思います。
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