ストーマケアアクセサリーのブラバ プロテクティブシールってどんな製品?

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先日、めずらしくColoplast(コロプラスト)から郵送のダイレクトメールが届きました。
ブラバ プロテクティブシール(以下、「ブラバ」という。)のサンプルを請求してみませんか?という趣旨のもの。
せっかくなので、サンプルをいただきレビューすることにしました。
試用した結果、他メーカーのストーマシール製品同様、ストーマケアアクセサリーの選択肢の一つとなり得るものでした。

【注意!】記事の一部に、モザイクをかけたストーマ(人工肛門)の写真を掲載しています。
 閲覧の際には、ご気分を害されぬように気を付けていただくことをお願い致します。


私KenUは通常、ホリスター、イーキン、ダンサックのシール製品のいずれかを使用しています。
これまで、ブラバを一度も使ったことがありません。
サンプル請求はがき返送後にコロプラストから電話があったので、製品ラインナップのうち、外径48mm、内径18mm、厚さ2.5mmサイズをリクエストしました。


送られてきたサンプルは、製造ロット(10)8668127が2個。
使用期限が製造後2年で、他社製品よりも短め。
KenUの場合、このサイズの製品では1/3の大きさに切断して使用するので、1箱10枚入りで30回分。
ひと月の装具交換が8回として、4か月弱で使い切れる計算です。


まず、ブリスターケースの開封フィルムを剥がします。
これがじつにいいんです。
粘着性があり、開封フィルムの再密閉が可能です。
つまり、使い残しも容器に戻して置いておくことができます。


サンプルを1/3の大きさに切り取ります。


次にきしめんのように伸ばします。
このときに、10cmくらいに伸ばしても、すぐに縮んでくるので、ちょっとイライラしました。
なので、少し長めに伸ばして、ストーマ周囲に貼るときにも少し伸ばしながら貼る必要があります。
慣れればどうってことないのかも知れませんが、他社製品よりやや使いにくいと感じました。
また、指に少しべとべと感が残るのも気になりました。


試用1回目、ストーマ周囲皮膚にスキンバリア(コンバテック シレッセ)をスプレーしてからブラバを貼ってみました。
とくにブラバの付きが悪くなるということはありません。


通常KenUは、ツーピース装具のホリスター ニューイメージFWFテープ付き面板を使用し、ストーマと面板の隙間を結構あけています。
ブラバの貼付感は、全く違和感なく良好でした。


試用2回目、3回目は、スキンバリアなしでストーマ周囲にブラバを貼りました。
ただし試用3回目は、ワンピース装具(ダンサック ノバ1 ホールドアップ)を装着してみました。


なお、ストーマ装具の装着は、ホリスターニューイメージ(装着目安3~5日)では4日間、ダンサック ノバ1 ホールドアップ(装着目安1~3日)では3日間でした。
期間中には、下痢便、軟便、固めの便、様々な性状の便をストーマから排泄しました。

いずれの試用において、便の漏れ、面板下への便の潜り込み、便汁の染み出しなどはありませんでした。


日常生活面においても、ストーマ周囲および面板下の痛み、かゆみ、違和感はなく、使用感は良好でした。
ストーマ周囲皮膚の状態は、試用期間中に異常は認められませんでした。


ストーマ装具交換時の剥離には、イーキン リリースリムーバスプレーまたは3Mキャビロンを使用しましたが、いずれの場合もブラバが皮膚に残ることはなかったです。


上記のことから、ブラバ プロテクティブシールは、オストメイトのストーマケアアクセサリーとして、選択肢の一つとなり得ることが確認できました。

なお、今後KenUがこの製品を購入して使用するかどうかについては、明言を控えます。


以下、補足です。

KenUは過去に次の記事で、シール製品の膨潤実験をしています。
 ” ストーマ外来からの夏休みの宿題!?TREシール試用レポート
 ” 夏休み宿題番外編 ストーマシールを精製水に浸けると?

そこで、今回もやってみました。

精製水を買ってなかったので水道水、そして、過去実験と同じく浸透圧が体液に近いポカリスエット(等張液)に浸漬しました。
その結果、意外にも他社品より膨潤しにくかったです。
24時間後のブラバの膨潤率は、水道水で約5倍(0.7g→3.6g)、ポカリスエットで約3倍(0.7g→2.2g)でした。


ブラバの組成は、カルボキシビニルポリマー、HEC、PIB、EVA、ポリブテンおよび脂肪族炭化水素(流動パラフィン)混合物。

カルボキシビニルポリマーは、カルボマーとも呼ばれる水溶性の架橋型ポリアクリル酸で、化粧品の増粘剤などにも使われます。
HEC(ヒドロキシエチルセルロース)は、CMC(カルボキシメチルセルロース)と同様のセルロースを変性した水溶性高分子です。
PIB(ポリイソブチレン)は、 粘稠で透明な疎水性の半固体ポリマーで、医療用粘着剤やチューインガムにも使われます。
EVA(エチレン酢酸ビニル)は、疎水性のエラストマーで、ゴム様製品に使われます。
ポリブテンと脂肪族炭化水素(流動パラフィン)は、可塑剤として使われます。

ブラバはポリブテンと流動パラフィンで可塑化したPIB+EVAの疎水性混合基材に水溶性のカルボマーとHECをハイドロコロイド分散化した製品のようです。
よって、伸長時の収縮や膨潤性の低さは理解できます。

この配合組成での便汁の緩衝性については、KenUは知見がなく推測しかねます。

*

値段については、外径48mmのブラバを分割して使用する場合、他社製品の中間的な価格になります。


単位体積当たりの価格に換算すると、比較的安価な製品と言えます。
ただし、他社にある外径98mm、内径18mmのラインナップがブラバにはないので、その場合の価格比較ができません。


以下、余談です。

KenUが医療関連製品メーカーの研究開発者だった頃に、色々なメーカーのハイドロコロイドドレッシング製品の吸液性能を比較したことがあります。
というのは、ハイドロコロイドドレッシングが創傷皮膚の滲出液の適度な湿潤環境を保持する目的の製品なのに、メーカーが吸液性能をアピールする技術資料には、生理食塩水で実験したデータが示されていたからです。

KenUは血漿(ウシ)で実験をやり直しました。
すると、メーカーが公表するデータと全く異なる結果になりました。
血漿で実験すれば実際を反映するのか?と言われれば、血餅の影響などは排除された実験系なので不明です。

そんな経験から、ストーマ装具の面板についても、実使用を再現するような膨潤性を比較する実験はできないであろうと、KenUは考えています。
水や湿気で実験して膨潤タイプだとか溶解タイプだとか判断するのは不適切で、ストーマケアにおける膨潤タイプ・溶解タイプといった概念自体にも意味はありません。

最後に・・・
これまで、いろいろなストーマ関連製品のレビュー記事を書いていますが、「企業案件」は全くありません。

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