” 寝落ち ”の用法・意味が変わった?!言葉は生き物だからそれでいい

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「寝落ち」という言葉。
どうやら、今の使い方は、私KenUの認識とは異なるようです。


最近、妻が、一人でTVを見ているうちに、うたた寝しただけなのに、「寝落ちしちゃった」と言う言葉を使います。
KenUは心の中で「その使い方、間違ってるから」と思いながら、いつもスルーしていました。
ですが、今はそのような使い方であってるんですね。
知りませんでした。
言葉は生き物なので、変化するのは全然問題ありませんが、一応、昔はどのような使い方だったのか紹介したいと思います。


KenUの知る限り、「寝落ち」という言葉は、199X年~200X年に全盛期であった、チャットサービスを利用する会員の間で頻繁に使われていました。
当時、パソコン(PC)は今より処理能力が低く、通信回線もやっと電話回線に変わってADSLが一般的になりだした頃で、その後に普及した光回線ほど高速ではありませんでした。
それが起因してか、チャット(chat:雑談、おしゃべり)が途切れたり、通信不能になったりして、チャットの場から離れざるを得なくなるケースが、わりと頻繁に起きていました。
具体的には、回線が切断されてエラーメッセージが出たり、チャットソフトがバグってフリーズしたり、PC本体自体のエラーでフリーズするなど、再接続、再起動が必要になるいくつかのパターンがありました。
このようなときに、「落ちた」といいます。
おそらく、システムダウンやPCシャットダウンのダウン(down)からきているのでしょう。
「寝落ち」といえば、PCに向き合っていて、チャットシステムにログインはしているけれど、チャット中に眠ってしまってチャットに参加していない状態です。

上記の例を示すと、次のような使い方です。

(例1)
A:<突然チャットサービスからログアウト>
B:「あっ、Aがいなくなった。」
C:「うん、落ちたね」
A:<しばらくしてから再ログイン>
A:「なんかバグってフリーズしたからリブート(PC再起動)してきた」

(例2)
A:「あれ? Bがずーっと静かだな。おーい」
B:「・・・・・・」
C:「ログインしてるね」
B:「・・・・・・」
B:「寝落ちしてました ((´Д`;))スマソ…」

(例3)
A:「もう、こんな時間だね。」
B:「うん。眠たくなってきたから、そろそろ落ちるね。」 
C:「ヽ(´∀`)ノ おやすみぃ~♪」
B:「オチノシ」


というように、「落ちる」は「離脱する」のニュアンスが強く、よって「寝落ち」は、寝ちゃって何かから離脱してしまうイメージの意味として、KenUは捉えていました。
なので、一人で何かをしていて、いつの間にか寝入ってしまったことを「寝落ち」と言うのには、違和感があります。

ちなみに、チャットでは、同時にマルチウインドウでゲームなど別のことをしていて、寝てないけどチャット画面を見ていない、おしゃべりに加わっていない場合にも、「寝落ちした」という人も多かったように思います。


さて、現在、 ” 寝落ちとは ” でGoogle検索とBing検索をしてみると、どちらもWikipedia(ウィキペディア フリー百科事典)ー寝落ちー が検索ランク一位に表示され、次のように書かれています。

寝落ち(ねおち)は、睡眠欲に抗えず何かの行為の最中に睡眠に入ること。特にオンラインゲームやSNS、電話などの最中に寝てしまうことについて言われる。

引用:Wikipedia 寝落ち, より

つまり、現在の「寝落ち」は、英語で ” fall asleep ” と訳され、単に眠りに落ちてしまうことを言うようです。

にしても、電話の最中に寝てしまうというのは、どういうことなんでしょうか?
ちょっと理解に苦しみます。


以下、余談です。
有名になった無料チャットサービスはいくつかありましたが、現在はどれも終了しています。

” World Chat Japan ” という、3D仮想空間とアバターを使用したチャットサービスがありました。
今でいうメタバースみたいなものです。
1996年3月に、凸版印刷株式会社は、日商岩井株式会社およびWorlds Inc.(株式会社ワールズ)と提携し、Worlds Inc.のWorldsChatソースコード作成の権利を取得しました。
凸版印刷株式会社のマルチメディア事業部に Globe Warp(グローブワープ) という会社が設立され、Worlds Chat / J3(WC/J3) がリリースされ、1996 年 5 月に米国 Worlds Inc. の運営によってサービスが開始されました。
3D仮想空間では、あらかじめ用意されたアバターの他に、写真やイラストなどをコンパイラでオリジナルのアバター(オリアバ)に変換して使用することができました。
例えば、↓ こんな感じ。

WC/J3 chachara アバター


WC/J3は、2001年時点で登録ユーザー数が12万人を超え、この時の1日あたりの平均ログイン数は約100件でしたが、2003年1月31日にサービスを終了しています。

WC/J3と同様の3Dアバターチャットには、KDDIが1999年3月10日~2006年1月31日の間にサービスを提供していた ” chachara(チャチャラ) ” がありました。
KDDIのインターネット接続サービス“DION”に契約している会員のみ参加可能なので完全無料とは言えませんが、 “chachara” 自体の利用料金は無料で、WC/J3のオリアバも流用できて、WC/J3よりも多くのユーザーで賑わっていた印象があります。

その他のチャットには、Yahoo! JAPANが2000年9月13日に公開し、2007年4月3日に終了した ” Yahoo!チャット ” もありました。
タイムライン上を文字がスクロールしていくタイプのチャットで、あらかじめ用意されたさまざまな種類のカテゴリのチャットルームを選択して参加することで、自分と同じ趣味や志向を持った人たちと情報交換できるのが特徴です。
また、ユーザーが独自に「公開ルーム」、「プライベート・ルーム」、「セキュア・ルーム」などを設定できました。

今はたくさんの種類のSNSがあるので、チャットサービスは必要ないのかもしれませんね。

それから、「寝落ち」の語源について、「アマチュア無線と考えられている」という記載をネット上で見つけましたが、恐らく「がせ」と考えられます。
というのは、KenUが中学生当時アマチュア無線をやっていた友人から「寝落ち」という用語を一度も聞いたことがありませんし、アマチュア無線は国家試験を受験して免許を取得する必要があり、公共の電波を世界中の人と共有するもので、交信終了時はファイナルをだして、さようならの代わりにSeventy Three(73)、Thirty Three(33)などを使うのがマナーのようです。

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