先月、配達されたストーマ装具と一緒に、アルケアさんのオストミー向け冊子「向日葵」が同梱されていました。
誌面にストーマパウチに入れる潤滑消臭剤 ” デオファイン ” の広告が掲載され、サンプル請求はがきが付いていたので、申し込んでみました。
そして、到着したサンプルをさっそく試用し、ハイコストパフォーマンスでおすすめできる製品だと感じたので、専門的知識に基づいてレビューします。
【注意】企業案件ではありません。謝礼など一切いただいておりません。




いただいたサンプルは、ハンディータイプの10mL入り製品です。
この他に、250mLボトル、500mL詰め替えパックなどの製品ラインナップがあります。



通常KenUは、排便毎にコロプラストのデオール消臭潤滑剤を使用しています。
排便後のストーマパウチ(以下、「パウチ」という。)に消臭潤滑剤を入れる量は目分量ですが、ストーマ装具交換後の初回だけは計量カップを使って5mL入れています。
なので、デオファインも5mLで試用しました。



デオファインは、デオールと比較して、ほんのわずかにとろみがあります。






パウチをクシャクシャにしごいてみましたが、デオファインはそれほど泡立ちません。試しにやってみただけなので、パウチをあまり痛めないようにした方がよいでしょう。
そもそも、デオファインは泡立てる必要がなく、パウチを軽くもんで馴染ませれば十分です。



デオファイン5mLずつを4回試用した結果、便の排出性はデオールと同等、消臭機能はデオールよりも高いと感じました。
面白いと思ったのが、便排出時の臭いが、ホリスターのアダプト消臭潤滑剤を使用していたときの独特なにおいに似ていたこと。似ているけれども、アダプト使用時よりも臭いはマイルドです。
なので、アダプトを使っている人にも、デオールを使っている人にも、一度デオファインを使ってみることをおすすめしたいです。



以下、デオファイン(Deofine)とデオール(Deol)の比較です。



デオールの製造元はセーレン株式会社。
そして、セーレン株式会社と日油株式会社の共同出願特許があります。
特許第5901990号
【登録日】2016年3月18日
【発明の名称】オストミーパウチ用潤滑剤組成物
請求項は、「a)柿渋タンニン0.05質量%〜2質量%、b)非イオン性セルロース系水溶性ポリマーおよび陰イオン性セルロース系水溶性ポリマーからなる群より選択される1種または2種以上0.1質量%〜3質量%、ならびにc)炭酸塩および炭酸水素塩からなる群より選択される1種または2種以上0.05質量%〜0.5質量%を、d)水94.5質量%〜99.8質量%に含有させてなる、オストミーパウチ用潤滑剤組成物。」です。
デオファインの成分表示もデオールの成分表示も、特許の内容とほぼ同じ。
という訳で、デオファインもデオールと同じくセーレンのOEM製品である、ということが推測できます。
販売元 | アルケア | コロプラスト |
品名 | デオファイン潤滑消臭剤 | デオール消臭潤滑剤 |
成分 | 精製水 柿抽出物 プロピレングリコール カルボキシメチルセルロース さとうきび抽出物 ミント香料 青色1号 エチルパラベン ブチルパラベン フェノキシエタノール | 精製水 植物性消臭成分(柿渋エキス) 潤滑成分 フェノキシエタノール メチルパラベン 緑色3号 |
デオールには配合されておらず、デオファインに配合された成分に、” さとうきび抽出物 ” があります。
これは三井製糖が開発したもので、さとうきび由来の成分が悪臭を不揮発性化・中和・分解する効果と、さとうきび由来の香気成分で悪臭を目立たなくする効果があります。(出典:三井製糖株式会社ホームページより)
これがデオファインを試用してみて、デオールよりも便臭の消臭機能が高いと感じた理由のようです。
製品の色を比べると、青色1号が配合されたデオファインの方が緑色っぽく(下写真左)、緑色3号が配合されたデオールの方が青色っぽいです(下写真右)。



においは、デオールがほぼ無臭なのに対して、デオファインはほんのわずかに水性絵の具のようなにおいがします。
pHは、デオファインもデオールも大腸粘液のpHと同じpH8.5~pH9.0を示しました。



以上のことから、デオファインは、デオール同等品の消臭機能を強化した製品と言えるかも知れません。
パナソニック ニオフのサンプルを試用したときには、銅イオンの腸粘膜に対する影響への疑問、生体使用経験のない成分の不安、実際の試用効果からおすすめできませんでしたが、デオファインは、成分的にも使用実績的にも不安がなく、安心して使用切り替えができると思いました。
デオファインとデオールには、お得な詰め替え製品があります。
そして、デオファインは10mL、デオールは8mLという、メーカー記載の使用量の目安があり、それにしたがって使用した場合には、両製品でほぼ同じ出費になります。
しかし、KenUの場合には、消臭潤滑剤の使用量は1回5mLを目安にしているので、さらにコストを抑えることができます。
すると計算上は、デオファインのほうがデオールよりも低コストになります。
販売元 | アルケア | コロプラスト |
品名 | デオファイン潤滑消臭剤 [詰め替え] | デオール消臭潤滑剤 [詰め替え] |
内容量 | 500mL | 200mL |
小売価格 | 4,400円(税込み) | 2,178円(税込み) |
1回使用量の目安 | 約10mL | 約8mL |
1回使用コスト | 88円/回 | 87円/回 |
5mL使用時単回コスト | 44円/回 | 54円/回 |
1日2回排便×30日 =60回の場合(5mL使用) | 2,640円/1か月 | 3,267円/1か月 |
以上、デオファインは、機能面からも価格面からもパフォーマンスが良いことが分かりました。
KenUは、今後デオファインを購入してみようと思っています。
なお、外出時用のミニパックのデオールが余っているのですが、成分の比較結果からデオファインと混ざって使用しても問題ないだろうと考えています。



[2020/10/31追加]
予告どおり、デオファイン購入し詰め替えました。