昔(1990年代)、ディーゼルエンジンのTOYOTAタウンエース4WDに乗っていたことがあります。
当時はガソリンエンジン車もありましたが、燃料代を抑えたくて、軽油を使うディーゼル車を選びました。
数年前に燃料タンクの結露神話に関するブログ(記事リンク)を書きましたが、その後、軽油には性質の違う種類があることを知りました。
その内容は、ディーゼル車を所有するうえで知っておいたほうがいい情報だと思い、今回あらためて記事にすることにしました。
軽油にはJIS規格で5種類ある
日本産業規格(JIS)のなかに、JIS K2204「軽油」という規格があります。
そこには次のように書かれています。
軽油は、流動点によって、特1号、1号、2号、3号及び特3号の5種類に分類する。
なお、軽油は、季節及び地域によって種類が異なることがあるため、この規格に規定している全ての種類を常に入手することは不可能である。
では、流動点とは何でしょうか?
簡単に言うと、「凍結温度の目安」です。
5種類の規格と流動点の関係を次の表にまとめました。
| 軽油(JIS規格燃料) | 流動点(凍結温度の目安) |
|---|---|
| 特1号軽油 | +5℃以下 |
| 1号軽油 | -2.5℃以下 |
| 2号軽油 | -7.5℃以下 |
| 3号軽油 | -20℃以下 |
| 特3号軽油 | -30℃以下 |
ガソリンスタンドでは規格が分からない
ガソリンスタンドにいくと、給油は「軽油(ディーゼル)」「ハイオク(ガソリン)」「レギュラー(ガソリン)」の3種類だけです。
そのため、給油した軽油がどの規格なのかは分かりませんし、普通は規格など気にもせず給油しますよね?
九州地方などの温暖な地域と北海道などの厳寒な地域とでは、ガソリンスタンドで流通している軽油の規格は異なります。
そして、流動点の高い軽油を入れたまま寒冷地に行くと、燃料が凍結してエンジンがかからなくなることが実例としてあります。
そのようなことから、トラックメーカーの日野自動車は、ディーゼルエンジン搭載車の使用燃料に関するテクニカル・メッセージを出しています。
- 一般地から山間地や寒冷地へ行く場合、出来るだけ早い段階で現地のガソリンスタンドにて給油していただき、燃料タンク内の燃料を3号または特3号軽油に替えるようにしてください。
- 燃料タンク内に特1号・1号・2号軽油が多く残っている状態で、3号・特3号軽油を給油しても上記表の凍結目安温度より高い温度で凍結に至ることがあります。
- フェリー等を使用して寒冷地に行く場合も、乗船前に燃料残量を最低限に調整していただき、現地到着後に3号または特3号軽油を給油してください。
【引用】日野自動車、テクニカル・メッセージ「燃料系フィルタの定期メンテナンスと使用燃料についてのお願い」より
なお、石油連盟において、地域ごと、季節ごとに使用する軽油の号数の参考となる「軽油使用ガイドライン」が出されています。
関連記事リンク⇒『軽油使用ガイドラインの妥当性を確認・検討してみた』
実際の経験
タウンエース購入時には、ディーラーからの軽油に関する説明は一切ありませんでした。
当時の私は、スキーが趣味だったので、車で岩手県、宮城県、山形県のスキー場へよく出かけていました。
外気温が-20℃に達する日もありましたが、幸いにも燃料が凍結してエンジンがかからなくなったことは一度もありませんでした。
当時、軽油が凍結することなど知らなかったので、今思えばドキドキですよね。
私が在住する宮城県は降雪地方なので、2号か3号かわかりませんが冬場は流動点の低い軽油が流通していたのかもしれません。
最後に
それにしても、長距離トラックドライバーさんは、燃料の調整にまで気を使わないといけないので、大変だと思います。
寒冷地に行く際には、満タンにせず、現地で燃料が尽きる程度に調整し、到着後に燃料を入れ直さなければならないなんて。
また、ディーゼル車でフェリーを使って北海道旅行に行く場合も、燃料の種類には注意が必要だということを、今さらながら理解しました。
それから、ディーゼル車を販売するディーラーは、こうした軽油の特性について、もう少し説明してくれても良いのではないか、とも感じました。
余談
現在私が所有するメルセデス・ベンツはガソリン車ですが、メルセデス・ベンツではディーゼルエンジン車も多種販売しています。
そして、英語サイトでは「Information on fuel quality for vehicles with a diesel engine」という情報を発信しており、冬の初めには冬季用ディーゼル燃料に切り替えるように案内しています。
欧州連合や他のいくつかの ヨーロッパ諸国での自動車用軽油(ディーゼル燃料)の販売において満たす必要がある、『EN590 standard』という規格があります。
そこには「温帯気候帯」と「北極圏気候帯」の2つのグループがあり、前者ではCFPP valueが異なるクラスA~Fの6種類、後者ではクラス0~4の5種類に、軽油の規格が分かれています。
なお、CFPP valueとは、Cold Filter Plugging Point(標準フィルターを通過しなくなる温度)であり、日本の規格の流動点(流れを失う温度)よりも厳しい値です。
【temperate climatic zones】
| Class A | Class B | Class C | Class D | Class E | Class F | |
| CFPP value | +5℃ | 0℃ | -5℃ | -10℃ | -15℃ | -20℃ |
【arctic climatic zones】
| Class 0 | Class 1 | Class 2 | Class 3 | Class 4 | |
| CFPP value | -20℃ | -26℃ | -32℃ | -38℃ | -44℃ |
冬季用ディーゼル(Winterdiesel)は、中央および西ヨーロッパでは、少なくとも12月初めから2月末までクラスFの条件を満たす必要があり、スカンジナビア諸国では、クラス2の条件を満たす必要があります(出典:Wikipedia EN590)。
日本に比べると北欧は非常に寒冷な地域であるため、よりエンジン停止を防ぐための規格があることが分かります。
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