以前、がん保険に加入するかどうかの参考として、私KenUのがん医療費や給付金の実例を記事にして紹介しました。
参照リンク⇒『直腸がん治療の医療費と保険金・給付金の実例|高額療養費制度で自己負担はいくら?』
現在、「日本人が一生のうちにがんと診断される確率は2人に1人」と言われています。
「え?そんなに?うそでしょ?」と思っている方もたくさんいるのではないでしょうか?
そして、その確率はどのような計算で求めるのでしょうか?
今回、Excelを使って確かめてみました。
基礎データには、現時点で最新の2021年10月の日本国内総人口を使用しました。
また、がん(全部位の悪性新生物)罹患数も2021年のデータを使用しました。
いずれも、「政府統計の総合窓口 e-Stat」からダウンロード可能です。
年齢階級区間ごとの累積罹患率の計算
まずは男性から計算していきます。

B列に年齢階級別(5歳階級)のがん罹患数を入力します。
C列にそれぞれの総人口(単位=千人)を入力します。
D列で罹患率を求める計算式を入力します。[=B列/(C列×1000)*100]
E列からZ列に累積罹患率を入力します。
縦と横の年齢階級が一致するセルに、罹患率×5の式を入力します。5歳階級なので5を掛け算するわけです。
たとえば、セルE2には[=D2*5]、次の階級セルF3にも同様に[=D3*5]のように入力します。
なお、生涯罹患率は、85歳以上の罹患数合計と人口合計から計算したので、セルZ23には、20歳階級として20を掛け算します。
こうすると、階段状にセルの数字が埋まります。
ここからが面倒です。
階段の上に、累積罹患率を計算していきます。ただ足し算するだけですけど。
例えばセルF2には、[=E2+F3]、セルG2には、[=F2+G4]。
年齢区分ごとの累積罹患率の計算
次に、0-4歳、5-9歳のように、年齢区間ごとになっているのを、5歳年齢ごと(5、10、15、20・・・・・・)に変換します。

セルE25~Y25まで、年齢階級の中央値を入力します。
例えば、セルE1に文字列で[1-4歳]と入力している場合、セルE25に[=(VALUE(LEFT(E1,FIND(“-“,E1)-1))+VALUE(MID(E1,FIND(“-“,E1)+1,FIND(“歳”,E1)-FIND(“-“,E1)-1))+1)/2]を入力し、他のセルにもコピペすればOK。
セルE26~Y26まで、5歳ごとの年齢を入力します。
図では「〇〇歳」となっていますが文字列ではなく数値に表示形式で「歳」を設定しています。
そして、A1~Z23の表の累積罹患率を変換します。
セルE27~X46のセルに計算式[=FORECAST.LINEAR(年齢階級のセル, 累積罹患率のセルの範囲, 年齢階級中央値のセルの範囲)]を入力します。
例えば、セルE27には[=FORECAST.LINEAR(E$26, E2:F2, E$25:F$25)]を入力して、$を付けているので、他のセルにもコピペすればOK。
なお、生涯のセルY27~Y43には、セルZ2~Z18の数字をそのまま入力します。
各年齢および生涯における累積がん罹患リスクの計算
次に、がんの累積罹患率から、累積がん罹患リスクを計算します。
これが、それぞれの年齢時点における ” その後の生涯にわたってがんになる確率 ” を示します。
A25~Y46の表の累積罹患率を罹患リスクに変換します。
難しい手間はほとんどかかりません。
セルE50に[=(1-EXP(-E27/100))*100]を入力して、他のセルにコピペするだけです。

A列が現在年齢で、各行がある年齢においてがんと診断される確率です。
たとえば、現在20~24歳の男性が定年の60歳までにがんになる確率は9.71%(10人に1人)。
0~4歳から一生のうちにがんになる確率は76.83%(4人に3人)です。
エクセルのワークシート全体 はこんな感じ ↓

女性の累積がん罹患リスク
次に、女性の累積がん罹患リスクを求めます。
上記、男性のエクセル計算ワークシートをコピーして、がん罹患数と総人口のデータを女性のデータに入れ替えるだけです。



男女の累積がん罹患リスク
次に、男性と女性を合わせた累積がん罹患リスクを求めます。
上記、男性のエクセル計算ワークシートをコピーして、がん罹患数と総人口のデータを男性と女性を合計したデータに入れ替えるだけです。
たとえば、セルB2に[=’男性のワークシート’!B2+’女性のワークシート’!B2]のように串刺し演算すると簡単です。



累積がん罹患リスクのまとめ
さて、国立がん研究センター(がん研)では、がん統計を公表しています。
そこで、今回KenUが計算した結果と比較してみました。
(出典:国立がん研究センターがん情報サービス)

すこしずつ数値に食い違いが見られます。
KenUは、総人口ではなく日本人人口でも計算してみましたが、やはりがん研の数値とは合致しませんでした。
また、がん研が生涯をどのように取り扱っているのかわからなかったので、KenUの取り扱いとずれがあるかもしれません。
一方、厚労省の「全国がん登録 罹患数・率報告 CANCER INCIDENCE OF JAPAN 2021」では、ICD 10 の悪性新生物(C00-C96)の全部位における0-74歳の累積罹患率(※累積がん罹患リスクではない)を、男性35.7、女性28.3としており、KenUの計算値と合致しています。
ちなみに、がん研の累積がん罹患リスクから累積罹患率を逆算[=-100*LN(1-累積がん罹患リスク/100)]しても、厚労省やKenUの計算値にはなりません。
がん研がどのような計算式で累積がん罹患リスクを計算しているのかが分かりませんでした。
ここで、傾向の差をより明確にするために、がん研公表値とKenU計算値の累積がん罹患リスクをグラフにしてみました。
いずれにしろ、若い頃は比較的リスクは低く、高齢になるにしたがって指数関数的にリスクが増加することが分かります。
そして、「一生涯で2人に1人ががんになる」というのは、あながち間違いでもないようです。
余談
生命保険会社は、「2人に1人ががんになる時代」として、がん保険の必要性を強調しています。
しかし、ステージI・IIなどの早期がんでは、手術のみで治療が終わるケースが多く、その費用は公的な高額療養費制度や、民間の入院医療保険・手術給付金などで十分に賄うことができます。
そのため、生活への影響は比較的小さく、がん保険の必要性は小さくなります。
一方、実際に医療費や生活への影響が大きく、がん保険の必要性が大きくなるのは、ステージIII・IVなどの進行がんで、手術後も高額な抗がん剤による継続的な治療が必要となるケースです。
「累積がん罹患リスク」は、すべてのステージを含んだ医学統計上の値であり、大きな経済的負担をともなうステージのがん発生リスク(=がん保険リスク)とは別ものです。
したがって、「ステージ別累積がん罹患リスク」を計算することで、より実生活に即した分析が可能になると考えます。
それにより、次のような効果が期待できます。
- 「治療負担に応じたリスク」を可視化できる
- 「がん保険の必要性」の根拠を科学的に示せる
- 「早期発見の経済的メリット」も定量化できる
ただし、現時点では「年齢階級別のステージ別がん罹患数」を一般資料として入手することはできず、KenUは計算することができません。
今後、ステージ別がん罹患率を用いた「ステージ別累積がん罹患リスク」のような新たな指標が作られると、より実態に即した評価ができるのではないでしょうか。
という考えに、KenUは至りました。
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