日本の最低賃金の世界的水準はどれくらい?

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OECDとは?

OECDは、主に先進国が加盟し、経済や社会の課題について情報交換をする国際組織です。
加盟国の統計データを集めて分析し、政策づくりの参考となる指標やレポートを作成しています。
これらは国際比較の信頼できる基準としてよく使われており、OECDの活動は日本の政策にも影響を与えています。

最低賃金の国際比較(実質額とPPP換算)

OECD加盟国のうち、最低賃金を法的に定めている30か国の2023年のデータをグラフにまとめました。
2024のデータでは日本の数値がまだ出ていなかったので、今回は2023年の数値を採用しました。

OECDのデータでは、最低賃金は年額で示され、通貨基準は米ドル換算です。
なお、グラフ作成にあたり筆者が日本円に換算しました。

OECD 2023年の最低賃金のデータを基にKenUがグラフ化

グラフでは、赤の縦棒が実質賃金、青の縦棒がPPP換算の最低賃金を示しており、PPP換算の大きい順に国名を並べています。

ところで、PPPとは何でしょうか?

PPPは「Purchasing Power Parity(購買力平価)」の略称で、国ごとの物価の違いを考慮し、通貨の価値を比較する方法です。
例えば、同じ商品が国によって値段が違うため、単純に為替レートだけで比べると実際の価値がわかりにくくなります。
PPPは、「同じものを買うのに必要なお金」で通貨の価値を調整し、国ごとの給料や生活水準の違いをより正確に比べられるようにしています。


上のグラフのPPP最低賃金を比べると、日本は30か国中の15番目に位置しています。
米国よりは高いですが、韓国や欧州諸国に比べると低い水準です。
物価を考慮しても、日本の最低賃金は世界的に高いとは言えないことがわかります。

平均年収の国際比較(PPP換算)

次に、OECD加盟38か国のPPP換算による平均年収をグラフにしました(2023年データを日本円に換算)。

OECD 2023年の平均年収のデータを基にKenUがグラフ化

日本のPPP平均年収は、38か国中の25番目で、世界的に低い水準です。
一方、欧米諸国は高い水準にあることがわかります。

収入中央値に対する最低賃金比率

2024年のフルタイム労働者賃金の平均値及び中央値に対する最低賃金の比率をグラフにしました。

OECD 2024年のフルタイム労働者の平均賃金に対する最低賃金のデータを基にKenUがグラフ化

橙の縦棒は平均値との比率、青の縦棒は中央値との比率を示しており、中央値との比率の大きい順に国名を並べました。

この指標は、比率が高いほど平均的な労働者と最低賃金労働者の収入の差が小さいことを示し、国民の経済格差を示しています。
ただし、この比率から生活水準の比較はできません。

米国は最も低い比率であり、賃金格差が非常に大きいことがわかります。
日本も30か国中5番目に低く、格差が大きい状況にあることが示唆されます。

まとめ

日本の国際的な水準について、次の3つの課題が明らかになりました。

  • 最低賃金は先進国としては低め
  • 平均年収はかなり低い水準
  • 賃金格差も大きい

最低賃金の引き上げは、賃金格差を縮めると同時に平均年収の水準を押し上げる効果が期待できます。
一方で、収入の中央値が大きく変わるかどうかは別の問題であり、全体の生活水準を向上させるには、他の政策との組み合わせが必要になるでしょう。

国際比較を通じて浮かび上がるのは、減税論だけでは解決できない課題があるということ。
上記課題を解決するには、日本の経済をどのようにして活性化させていくのか?
そんな視点が、最大公約数として求められているのではないでしょうか。

余談(ビッグマック指数とPPP相関)

「ビッグマック指数(Big Mac index)」という、各国の経済力を測るための指数が公開されています。(出典:Wikipedia ビッグマック指数)

それで、ビッグマック指数とは別の視点で、実質最低賃金でマクドナルドのビッグマックが何個買えるかをグラフ化してみました。

実質最低賃金(年額)で購入可能な McDonald’s Big Mac の個数

青の縦棒はPPP最低賃金、橙の縦棒は実質最低賃金(2023年OECDデータ)、紺の折れ線は各国の2025年価格のビッグマックが購入可能な個数を示しています。
グラフは購入可能数の多い順に国名を並べました。

実質最低賃金とビッグマック購入可能数は、おおよそ相関があるように見えます。
ですが、日本の場合、実質最低賃金が30か国中の16番目に対して、ビッグマック購入数は9番目で上位に位置しています。

橙の縦棒と折れ線の間隔が広いほど、賃金に対してたくさんビッグマックが食べられるということになります。
日本のほか、オーストラリア、ニュージーランド、韓国、イスラエルも同様の傾向です。


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