ストーマパウダーの違いは?どれを買えばいい?成分・効果・安全性を解説

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※本記事は、医薬品・医療材料の製品開発および品質保証に長年携わってきた KenU が執筆しています。記事末尾にプロフィールを掲載しています。

1. 成分一覧

各メーカーの製品の成分を下表に示しました。

メーカー製品名成分
コンバテックバリケア パウダーCMC、ゼラチン、ペクチン
ホリスターアダプト ストーマパウダーCMC、ゼラチン、ペクチン
コロプラストブラバ パウダーCMC、グァーガム、キサンタンガム
アルケアプロケアー パウダーカラヤガム、ペクチン、アルギン酸Na

2. 各成分の作用

次に各成分とその作用を示します。

2.1 CMC(カルボキシメチルセルロース)

CMCは、天然のセルロースにカルボキシメチル基を導入して得られる合成高分子で、水に溶ける性質を持ったセルロース誘導体。

冷水、温水に溶けて透明で粘調な液体をつくる。
保護コロイド、乳化分散、固体分散性、吸水性・保水性に優れる。
創傷治癒促進効果について、多くの研究報告がある。
水分保持により再上皮化を促進、バリア効果があり感染予防にも関与。

2.2 ゼラチン・ペクチン

ゼラチンは、動物の皮や骨に存在する不溶性タンパク質を可溶化したもの。
ペクチンはリンゴや柑橘類の果皮から抽出される増粘多糖類。

粘性と保湿性があり、皮膚にやさしい素材。
単体では創傷治癒の積極的な効果は弱いが、CMCとの相乗効果で可溶性複合体を形成し湿潤環境を維持する役割を果たす。

2.3 グァーガム、キサンタンガム

グァーガムは、マメ科植物の種子の胚乳から得られるマンノースとガラクトースが結合したユニットから構成される多糖類。
キサンタンガムは、微生物 Xanthomonas campestris (キサントモナス・カンペストリス) の発酵により得られる増粘多糖類。

水と混合すると粘性が出る。
増粘剤、安定剤、ゲル化剤として広く食品に添加されている。
安全性は高いが、創傷治癒や皮膚保護に関する医療的根拠は明確ではない。

2.4 カラヤガム

カラヤガムは、インドに分布するアオギリ科カラヤ(Sterculia urens)の樹脂から得られる多糖類。

吸水すると非常に高い粘着性を示す。
肌への刺激性が極めて低い。
その一方で、ごく稀に皮膚トラブル(かゆみ・かぶれ・接触性皮膚炎)の報告もある。

2.5 アルギン酸ナトリウム(Na)

海藻(褐藻)に含まれる多糖類の一種で、食物繊維のひとつ。

水和性が高く、冷水にも温水~熱水にも良く溶ける。
滲出液の多い創傷において吸収力や止血作用があり、創傷被覆材に用いられている。
ただし、上皮化などの創傷治癒促進効果については、明確なエビデンスはない。


なお、上記成分は、ゲル化・増粘安定素材として、食品、医薬品、化粧品など多岐にわたる分野で使用されています。

3. 実際の使用感と印象

CMCはストーマパウダーの成分としては非常に優れており、創傷治療分野においても数々の製品に使用され、エビデンスも豊富です。

私が常備しているバリケア パウダーはCMCを含みます。
この製品は、創傷被覆材やストーマ装具面板のハイドロコロイド成分と同じ組み合わせ成分からなり、効果や安全性は充分に確立されています。
なので、ストーマパウダーの第1選択肢としても差し支えないと思います。

また、アダプト ストーマパウダーについては、私自身の使用経験はありませんが、バリケア パウダーと同じ成分であり同様の効果が期待されます。

一方、私はブラバ パウダーの使用経験もあります。
CMCを含んでいる点で期待できますが、他のガム成分の皮膚保護・治癒効果についての知見がありません。
ただし、使用実績からは、ストーマパウダーとしての機能は果たしてると感じました。


プロケアー パウダーについては、CMCを含まない点でお奨めしにくく、接触性皮膚炎等アレルギーについても気になるところです。
ただし、アルケア社の面板にカラヤガムを含むストーマ装具を使用している人には、相性は良いかもしれません。

4. CMCが創傷治癒に効果がある理由

4.1 湿潤環境(moist wound healing)を維持する

CMCは吸水性・保水性が高く、創面に湿潤環境を保つことができます。
湿潤環境は傷口の自然治癒を促進し、かさぶたの形成を防いで再上皮化を早めることがわかっています。
乾燥を防ぐことで、皮膚がひび割れたりするのを防ぎ、痛みや二次損傷を減少させます。

4.2 滲出液(創傷からの液体)の吸収とゲル化

滲出液をCMCが吸収するとゲル化し、創面に密着したやわらかい被膜を形成。
外部刺激(細菌や摩擦など)を遮断し、創傷面を保護します。

4.3 pHの安定化と細菌バリア

ゲル化したCMCは、弱酸性環境(pH 5〜6)を維持し、細菌の繁殖を抑える効果があると考えられています。

5. 結論とおすすめ

総合的に見ると、以下のような評価になります。

製品名CMC含有皮膚保護効果使用経験価格推奨度
バリケア パウダー高い1,419円/28.3g
(50.1円/g)
アダプト ストーマパウダー高い×1,210円/28.3g
(42.8円/g)
ブラバ パウダー不明確1,100円/25g
(44.0円/g)
プロケアー パウダー×やや疑問×1,815円/50g
(36.3円/g)
△〜×

第一選択:バリケア パウダー
CMCを中心とした信頼性が高く、エビデンスが豊富な処方。
これを選んでおけばほぼ間違いなし。
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代替選択:アダプト ストーマパウダー
バリケア パウダーと使用成分が同じで安心感。
入手性や価格で選ぶのもあり。

検討して選択:ブラバ パウダー
CMCは含むが、他成分の有効性不明。
試用してみて選ぶのもあり。

注意して選択:プロケアー パウダー
接触性皮膚炎報告のあるカラヤガム含有およびアルギン酸Naの有効性にも疑問符。
積極的に選ぶ理由がない。

価格については、1gあたりの低い順に並べると、プロケアー<アダプト<ブラバ<バリケア、になります。
しかし、私の経験上、有効期限内にボトル1本はなかなか使い切れないです。

最後に

ストーマパウダーは、皮膚状態に合わせて適切に選ぶことが重要です。皮膚トラブルが起きやすい方は、成分とエビデンスの確かな製品を選ぶことで、快適な日常生活につながると思います。

なお、皮膚トラブルが続く場合は、ストーマ外来や皮膚・排泄ケア認定看護師(WOC)に相談することをおすすめします。

***** 関連動画 *****
ストーマパウダーの使い方については、YouTube ”人工肛門生活実態チャンネル” の次の動画で紹介しています。
ストーマ周囲皮膚ケアの仕方とバリエーション
リンク⇒ https://youtu.be/hz1sg_dmYow
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筆者プロフィール

KenU (ケンユー)

◆業務経歴
研究開発 (R&D) 業務:医薬品、医療材料・関連製品、機能性食品、バイオテクノロジー関連製品などの開発に携わる
品質保証業務:医薬品・医療機器分野で、GMP責任者として品質保証システム構築やPMDA (独立行政法人 医薬品医療機器総合機構) の査察対応などを経験

◆現在の状況
2022年10月末に会社を定年退職し、現在は無職。


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