地震対策の盲点?! LPガスボンベの転倒防止を見直しましょう。

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平成23年3月11日の東日本大震災(3.11震災)のとき、自宅のLPガスボンベの転倒防止チェーンを取り付けている固定金具が脱落し、LPガスボンベが転倒しました。
その後、令和4年3月16日23時36分頃の宮城県及び福島県で最大震度6強を観測した地震でも、激しく揺れるボンベの重さに耐えきれず、固定金具のビス2本のうちの1本が外れ、LPガスボンベが傾きました。
そこで今回、高圧ガスに関する法令・基準・ガイドライン等を調べ、LPガスボンベの転倒防止を見直したので記事にします。

一般家庭のLPガスボンベ(以下「ボンベ」という。)の転倒防止対策については、ガスの販売業者が措置を行う義務があります。
よって、消費者自身が何かする必要はありません。
ボンベの設置状況に不具合やボンベの転倒に不安があるとき、対策や改善が必要なときには、ガス販売店へ連絡・相談し、販売業者の責任において無料で対応が行われなければなりません。

しかし今回、私KenU自身で、自腹を切ってボンベの転倒防止対策を強化することにしました。
それは、後述するように、契約しているガス屋さんには任せておけないと判断したからです。


まずは、対策の内容を説明する前に、法令等について述べます。

“ 高圧ガス保安法 ” により、販売業者は「技術上の基準」に従って高圧ガスを販売しなければなりません。

(販売の方法)第26条の6
販売業者等は、経済産業省令で定める技術上の基準に従って高圧ガスの販売をしなければならない。

昭和二十六年法律第二百四号 高圧ガス保安法

法にある「技術上の基準」については、“ 液化石油ガス保安規則 ” にあり、その中に転倒防止に関する内容も含まれています。

(販売業者等に係る技術上の基準)第41条
法第26条の6第1項の経済産業省令で定める技術上の基準は、次の各号に掲げるものとする。
2 充填容器等(内容積が5リットル以下のものを除く。)には、転落、転倒等による衝撃を防止する措置を講ずること。

昭和四十一年通商産業省令第五十二号 液化石油ガス保安規則

規則にある「転倒等による衝撃を防止する措置」の仕方については、“ 液化石油ガス保安規則関係例示基準 ” にあり、鉄鎖、ロープ等で家屋に固定します。

44.消費設備設置基準3.4 充塡量20㎏以上の容器については、鉄鎖、ロープ等により容器を家屋その他の構築物に固定する等により、地震に際して転倒しないようにすること。

液化石油ガス保安規則関係例示基準

そこで知りたいのが、「ボンベのどこを鉄鎖等で固定したら良いの?」ということです。

“ 液化石油ガスの保安の確保及び取引の適正化に関する法律施行規則の機能性基準 ” には、地震の際の転倒防止浸水による流され防止に関する事項の記載があります。
そのうち、流され防止については、鉄鎖等2本をボンベ高さの3/4と1/4の位置に取り付け固定することが規定されていますが、転倒防止については、具体的な規定はありません。

9.充てん容器等の転落、転倒等による衝撃及びバルブ等の損傷を防止する措置並びに充てん容器等の流出を防止する措置

(2) 供給設備又は消費設備に接続されて置く場合

② 充てん量10kg以上の容器については、ベルト、鉄鎖等により容器を家屋その他の構築物に固定する等により、地震に際して転倒しないようにすること。

浸水のおそれのある地域においては、(2)②に加え、次に掲げる(i)又は(ii)のいずれかの基準により、充てん容器等が浸水によって流されることを防止する措置を講ずること。浸水のおそれのある地域は、洪水浸水想定区域(想定最大規模)等において、1m以上の浸水が想定されている地域とする。令和3年11月30日まではなお従前の例による。令和3年12月1日現に設置されている供給設備及び消費設備においては、令和6年6月1日までは、なお従前の例によることができる。

(i) ベルト又は鉄鎖が外れにくい固定金具を使用すること。充てん量20kgを超える容器にあっては1本目のベルト又は鉄鎖を当該容器の底部から容器の高さの3/4程度の位置に、2本目のベルト又は鉄鎖を容器底部から1/4程度の位置にそれぞれゆるみなく取り付け固定すること。ただし、プロテクターのある容器の場合は、2本のベルト又は鉄鎖のうちいずれか1本について、プロテクターの開口部にベルト又は鉄鎖を通して取り付けることができる。充てん量20kg以下の容器にあっては当該容器のプロテクターの開口部にベルト又は鉄鎖を通して取り付け、ゆるみなく容器を固定すること。ただし、積雪時において、容器交換作業に支障を来す可能性のある場合であって冬の期間等にあってはこの限りでない。

液化石油ガスの保安の確保及び取引の適正化に関する法律施行規則の機能性基準

では、自宅の状況です。

これまでは、50Kgボンベのネックに鉄鎖1本が取り付けられているだけでした。

3.11震災前までは、特に法令等の基準からの逸脱はなかったと考えられます。
しかし、3.11震災でボンベが転倒した事実を考えると、「技術上の基準」を満たしていなかったことになり、高圧ガス保安法の逸脱になるので改善が必要です。

ガス屋さんに連絡したところ、地震で金具がひん曲がって外れていても、新しい金具に交換することもなく、外壁の破損部分を補修することもなく、金具の位置をずらしてビスを無理くりねじ込むだけで、法知らずの雑な仕事っぷりです。
ちなみに、サイディングの破損は、ホームセンターで外壁穴埋め材を買ってきて、自分自身で補修しました。

ご近所を見回りガスボンベの設置状況を確認してみたところ、鉄鎖の他に2本目のベルトを取り付けている家や、ベルト2本をボンベ高さの3/4と1/4の位置に取り付けている家もありました。
鉄鎖固定金具が外れた形跡も見られたことから推測して、3.11震災後に対策強化のためにベルトを後付けしたようです。
つまり、よそのガス屋さんは、法を理解し遵守し、きちんと対応していたという訳です。

なので「うちのガス屋さんには任せておけない!!」ということで、自分でボンベの転倒防止対策強化をする決断に至った訳です。


LPガス容器の転落、転倒等を防止するための専用のベルトを楽天市場で探して購入しました。
(※)桂精機製作所 LPガス容器ベルト KYB26-18、長さ:950~1800mm(調節式)、ベルト幅/厚み:26mm/1.2mm、材質:ポリエステル(ベルト)、ステンレス(金具、ビス)


問題は、ベルトの取り付け位置をどうするか?、既にネックに鉄鎖があるので2本目をどうするか?
応力分散シミュレーションを行い、外壁にかかる力が適度に鉄鎖とベルトに分散されると思われるボンベの3/5の高さに設置することにしました。

実は、最近インパクトドライバーを購入していたことも、自分でボンベベルトを取り付けようと思った動機の一つでもあります。

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ボンベベルトに付属のネジが” ドリルねじ ” だったので、下穴なしでしっかりとベルト固定用金具を外壁に取り付けることができました。

いつ何時、大きな地震に見舞われるかも知れません。
 鉄鎖に、錆び、亀裂、破損はないか?
 ボンベベルトに、破れ、劣化はないか?
 ベルトの耐用年数の10年を超えていないか?
 固定金具の取付け位置や取付け具合は適切か?
今後も気を付けて見て行こうと思います。
50Kgボンベの場合、鉄鎖1本による固定では耐えきれないことは間違いないので、ボンベの設置状況を再確認し、ガス屋さんに相談して転倒防止を強化してもらうことをお勧めします。


以下、余談です。
インパクトドライバーを購入した理由は、これからの夏に向け、今年からいっしょに暮らし始めた猫ちゃん達の転落・脱走を心配するあまり、窓を開けないというわけにはいかないので、安心して窓が開けられるように格子をDIYで作るためです。
既に、一部の窓に木製の柵を製作・設置済みなので、後日ブログで紹介したいと思います。

にしても、もっと早くインパクトドライバーを購入しておけばよかったと思いました。
ちなみに、ハイコーキ(旧日立工機)か同じ価格帯のマキタM695DSのインパクトドライバーのどちらを購入するか迷いましたが、バッテリー2個付きのハイコーキを選んで良かったです。

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