先日、古いデジカメの写真を保存していたHDDを整理していたところ、高麗人参(オタネニンジン, Panax ginseng c.a. Meyer)の写真が出てきました。
じつは、15年以上前に自宅で高麗人参を栽培したことがあります。
そのころ、茨城県筑西市の滋養農園の園主(故 谷中市夫 氏)にお会いして、栽培ノウハウを直接ご教示いただきました。
今となっては、この貴重なノウハウが途絶えてしまうのは惜しいと思い、今回、記憶をたどって公開することにしました。
なお、写真は2009年に編集した低解像度のものだけしか残ってませんでした。
オタネニンジンは直射日光が当たらない場所やプランターで栽培します。
下写真は、自宅の北側の生垣に囲まれた場所です。
西日は生垣が防いでくれます。


「オタネニンジンの発芽は難しい」と言われていますが、いえいえ、じつはとっても簡単なんです。
一般的に言われている「催芽処理・芽割り」のような特別な操作を、手間暇かけてわざわざする必要は一切ありません。
もちろん、装置(恒温恒湿槽)や薬品(ジベレリン等のホルモン剤)なども不要です。
高麗人参を発芽させるのは、本当に簡単なんです。
以下、それを証明・説明していきます。
オタネニンジンの茎の先端に赤い実がたくさんなります。
果実の果肉を取り除くと、種子が2つ入っています。



←大きな種子が2つ入っている
ここからがノウハウ。
オタネニンジンの種子は、種皮がないので、そのまま放置しておくと、すぐに乾燥してしまいます。
そうなってしまうと、発芽率が極めて低下します。
なので、通販でオタネニンジンの乾燥種子を購入しても、ほとんど発芽をさせることはできません。


” 種子が乾かないようにして種まきを済ませる ” のがポイントです。
そうすることで、ほぼ100%発芽させることが可能になります。
果実から種子を取り出す際、水道水に浸しながら果肉を手で剥いて取り除きます。(2009年8月1日)。
取り出した種子は、乾燥しないように水に浸けておき、その日に種まきをします。



←水に浸けた種子
栽培は、小さなプランターや鉢植えでも可能です(※ただし、成長に合わせて植え替えが必要)。
土壌に深さ2cm程度の穴をあけ、割りばしで種子をつまんで穴に落として土を被せます。
下写真は、2009年8月1日のたね蒔きの様子です。


それから、日光が当たらない日陰に置くこと、土が乾かないようにときどき水やりすること、に気を付けます。
たったこれだけ。
7月~8月に種まきをして、越冬すると翌年の初春には芽がでてきます。
下写真はガレージ内で栽培した様子です。
ミニプランターにたねを8個植えて8本発芽 (100%) しているのがわかると思います。




3年根の芽が出て大きくなっていく様子。



花から種ができるまでの様子。






3年根だったかな?

← 堀り出した高麗人参
じつは、別の方法もあります。
果実を剥いた種子が乾かないうちに、湿らせたガーゼの上に置き、冷蔵庫(5℃)に入れておきます。
数か月すると、芽割りして冷蔵庫の中なのに芽が出てきます。
オタネニンジンは、寒さに強いんですね。
谷中氏は、そうやってかいわれ大根のようなオタネニンジンのスプラウトをたくさん作って食べていました。
ただし、この方法では、冷蔵庫の中でも種子にカビが生える場合があるので、容器(ガラスシャーレなど)、ガーゼ、水はオートクレーブ処理をするとよいかもしれません。

←芽割りさせたオタネニンジンのたね
谷中氏の言葉で衝撃的だったのが「高麗人参の栽培なんて簡単なんだよ」ということ。
そして、「中国では、オタネニンジンの種を広大な山林にヘリコプターから蒔いて栽培している。 だから日本で栽培しても値段で勝てないよ。」が今でも強く印象に残ってます。
当時はオタネニンジンを培養タンクで組織培養している企業もありましたが、生産コストが見合うはずもありません。
(過去記事参照リンク⇒『植物組織培養は簡単だけど家庭での実験は難しいと思う』 ※記事では植物組織培養のやり方も解説しています。)
さて、乾いていない種子をどうやって手に入れるか?
私の場合、谷中氏から、果実がなっている3年根の鉢植えをいただきました。
そこから種子を得て、栽培して増やしました。
もしオタネニンジンを栽培してみたいという方がいらしたら、果実付きで鉢植えにして販売してもらえる栽培農家をあたると良いと思います。
プランター栽培なら冬場に冷え込む、日の当たらない北向きの玄関なんかが好適かも知れません。
上手く発芽させることが出来たら、もつ焼きで一杯おごってくださいね(笑
最後に、私が高麗人参の栽培方法を学ぶことができたのは、谷中氏のご指導のおかげです。
谷中氏は、植物の栽培に対する深い知識と数多くの経験を持ち、そのノウハウを飛び込みの私に惜しみなく伝えてくださいました。
改めて心より感謝を申し上げますとともにご冥福をお祈りいたします。
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