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以前「エンジンスライダー、フレームスライダーのウソ・ホントと必要・不要?」(←参照リンク)という記事を書きました。
そこでは出典を直接的にあまり書かなかったので、半信半疑と受け取られたかな?と思い、今回補足の記事を書くことにしました。
********** 目次 **********
1.種々レースのルール、レギュレーション
1-1 ジムカーナ
1-2 海外ロードレース
1-3 国内ロードレース
2.スライダー装着モーターサイクルクラッシュ実験の論文
3.最初の樹脂製フレームスライダー
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1.種々レースのルール、レギュレーション
以前の記事に書いた、「レースにおけるスライダーの装着はrequired( 要求)ではなく、approval(許可)する程度のレベル」ということについて、以下に幾つかのレースのルール、レギュレーションから原文をそのまま転載し、日本語訳を加えました。
1-1 ジムカーナ
ジムカーナでのスライダーの装着は、推奨されます。
出典:” Motogymkhana SA Rules and Regulations “
「d) Crash bars or frame sliders are highly recommended.」
d) クラッシュバーまたはフレームスライダーの装着を強く推奨する。
1-2 海外ロードレース
ロードレースにおいては、スライダー装着が認められないものや許可されるものがあります。
“DAYTONA200 2016 Race Rules And Regulations “
「The following motorcycles must have case guards installed on both sides of the engine.(中略) Frame sliders are not acceptable as engine case guards.」
以下のオートバイはエンジンの両側にケースガードを設置しなければなりません。(中略)フレームスライダーはエンジンケースガードとしては認められません。

” The Motorcycle Sportsmen of Qld “
「Formula 3
Permitted Additions.The following may be added:
2.Frame protective sliders」
フォーミュラ3
許可された追加項目。以下を追加することができます:
2.フレーム保護スライダー
” Clubman Class Supplementary Regulations “
「The following may be added:
7. Frame protective sliders, and engine case covers or protectors」
以下を追加することができます:
フレーム保護スライダー、エンジンケースカバーまたはプロテクター
” 2016 MRA Rulebook “
「2.10 Production Cup Class
Only the following modifications from showroom stock are permitted:
Relieving bodywork for clearance of hand and foot controls, exhaust and frame sliders is permitted.」
2.10 プロダクションカップクラス
市販車のままの状態から許可される改造は、以下のものに限られます:
操作系(手・足)、排気装置、フレームスライダーとのクリアランス確保のために行うボディワークの部分的な切削・逃がし加工は許可される。
” AUSTRALIAN SUPERBIKE CHAMPIONSHIP 2015 CLASS TECHNICAL REGULATIONS: SUPERBIKE “
「13.18.7 Permitted Additions
13.18.7.1 The following may be added:
g) Frame protective sliders」
13.18.7 追加許可
13.18.7.1 以下を追加可能:
g) フレーム保護用スライダー
” AMA motorcycle regulations “
「3.10 Frame
c. Crash bars/frame sliders may be installed.」
3.10 フレーム
c.クラッシュバーまたはフレームスライダーを取り付けることができます。

どのレースでもスライダーは許可レベルで、装着は義務付けられていないことが分かります。
1-3 国内ロードレース
プロテクティブコーンまたは二次カバーの装着が義務付けられたものがあります。
” 2017 鈴鹿サーキットロードレース統一特別規則書 “
「鈴鹿サーキットロードレース車両既定
第1章 鈴鹿ロードレース基本仕様
第1条 以下に規定する基本仕様はロードレース競技を行う上で必要とされる基本規則であり、鈴鹿サーキットにて開催される特別規則により指定されたクラスの全ての車両に適用される。カテゴリー別に必要とされる詳細な仕様にかんしては、各カテゴリー別仕様が適用される(以下省略)
~1)カテゴリー 1-1レーサークラス 1-2スポーツプロダクション
4-12-18 全ての4ストローク車両はプロテクティブコーンの装着、もしくは2次カバーのいずれかの装着を義務付ける。」

” 2017 鈴鹿サーキットロードレース統一特別規則書 “
「第3章 FUN&RUN! 2-Wheels 車両既定
第4条 ST250車両既定
7-3-1-4 転倒時に車両のダメージを最小限に抑えるためフレームにプロテクティブコーンの取り付けは可。
7-3-1-5 プロテクティブコーンを取り付けた場合、プロテクティブコーンの突き出し量はフェアリングの表面から20mm以上突き出してはならない。また、プロテクティブコーンのRは10R以上とする。」
” 2017 もてぎオープン11時間耐久ロードレース”もて耐”特別規則書 “
「第3章 車両・装備規定
24-5 ボディーワーク
⑳転倒時の車両のタメージを最小限に抑えるためフレームにプロテクティブコーンの取り付けを認める。プロテクティブコーンはフェアリング表面より突き出し量を20mmまでとし、先端は半径10mm以上の曲面で面取りされていなくてはならない。また、プロテクティブコーンにエンジン保護以外の機能をもたせることは禁じられる。」

プロテクティブコーンは、サイズが規定され、車両を保護するためのものであって、コース外に滑らすためのものではないことが明確です。
2.スライダー装着モーターサイクルクラッシュ実験の論文
フレームスライダーを装着していると、転倒したときに、装着していないバイクよりも長い距離を滑って行くのでしょうか?
その答えは「ノー」という論文を見付けたので紹介します。
タイトルは ” Motorcycle Sliding Friction for Accident Investigation “
著者は、Louis R. Peck, Bill Focha, Toby L. Gloekler
イントロダクションでは、「フレームスライダーを装備したオートバイの滑り挙動に関する情報はほとんどありません。」と述べられています。
そして、実際にクラッシュしたときの滑り摩擦係数をGPSテクノロジーを使用して測定し、フェアリングあり(フルカウル)のバイクに樹脂製のフレームスライダーを装着した場合と、次の表のバイクでスライダーを装着していない場合を比較しています。

出典:Motorcycle Sliding Friction for Accident Investigation
結果では、「スライダーありの15回のクラッシュテストでの平均抗力係数は-0.45g、上表のバイクのフレームスライダーなしの平均効力係数は-0.48g。」(下記【注】参照)
「重要なのは、フレームスライダーがスポーツバイクの抗力係数を低下させずに、実際には効力係数が増加すること。」
「効力係数が増加した結果は、フレームスライダー装着によってフェアリングとの接触を防ぎ、フェアリング非装着の一般的なバイクと同じような挙動を示したため。」と述べています。
つまり、わかりやすく言えば、滑りやすいフルカウルのバイクにスライダーを付けると、ネイキッドのバイク程度に滑りにくくなる、と言うことです。
【注】マイナスの符号は抗力が逆方向に働くことを示し、抵抗の大きさを評価する際には符号を無視して絶対値を比較します。
日本国内では、感覚的に滑る滑らないが論じられているようですが、上記のとおり、海外ではきちんとそれを数値で示す研究がなされ報告されています。
3.最初の樹脂製フレームスライダー
1990年代に評判だったクラッシュ時のプロテクション製品「bungs(バング)」というのが始まりのようです。
しかし、それはフレームにダメージを与えるという欠点がありました。
1999年に、R&Gレーシングがクラッシュバングを改良した製品を開発。
スズキGSX-R750用に高密度ポリエチレン(HDPE)製の丸型プロテクターを作ったのが最初の製品でした。
R&Gについて(←参照リンク)
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知りたい内容でした。
ありがとうございます。
コメントくださる方がいて嬉しく思います。