英国の障害者用トイレは、鍵がかかっている

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以前、英国(イギリス)のストーマ装具、 Salts Healthcare社 Confidence BE(←参照リンク)を紹介しました。
今回は、英国の障害者用トイレ事情について紹介します。
この記事は、私KenUが読んだいくつかの英文の記事をかんたんにまとめ直したものです。

レーダーキーって何?

英国では、1981年に、身体障害者用の公共トイレが清潔に保たれるようにするために、National Key Scheme(ナショナルキースキーム:NKS)が設立され、トイレに鍵がかけられました。
通称「RADAR Lock Toilet(レーダーロックトイレ)」と呼ばれます。

現在までに、400を超える地方自治体と数千の企業がこのスキームに参加し、ショッピングセンター、パブ、カフェ、デパート、バスや鉄道の駅など、英国内のほとんどの地域の多くの場所にレーダーロックトイレが設置されました。

レーダーロックトイレを開けるためのユニバーサールキー(共通の鍵)は、「RADAR Key(レーダーキー)」と呼ばれます。
障害者は、レーダーキーを購入すれば、英国全土の9,000を超えるレーダーロックトイレを自分で開錠して利用できるようになります。

なぜ鍵をかける必要があるの?

身体障害者用トイレは、広くて、プライベートで、通常のトイレよりも使用中になっている可能性が低いです。
その結果、一般の人々による誤用にさらされています。
麻薬を使用する者やセックスをする者もいます。

一部の障害のない人々は、通常のトイレの待ち行列を避けるために障害者用トイレを使用します。
すると、膀胱や腸の問題を抱えている多くの障害者は、トイレをすぐに利用することが出来ず、失禁といった悲惨な結果をもたらす可能性があります。
また、公衆便所と同様に一般の人が頻繁に利用すると、清掃状態が悪くなります。
トイレが汚れていても、障害のない者はしゃがむことができますが、座らなければ処理できない障害者もいます。
さらに、トイレの床が尿で汚れていると、滑ってバランスを崩し、障害のない人よりも重傷を負うリスクがはるかに高くなります。

トイレに鍵をかけることによって、誤用、いたずら、器物損壊から保護し、清潔に保つことが可能になります。

3DCG レーダーキーRADAR KEYのイラストillust

レーダーキーはいくら?

キーのアイデアは、王立障害者リハビリテーション協会(Royal Association of Disability and Rehabilitation)、別名RADAR(レーダー)から来ました。
レーダーキーは、登録された障害者ユーザーが携帯することができます。
公式レーダーキーの価格は、送料と梱包を含めて約5ポンドです。

長さ4インチ(約10cm)といった大きなサイズのキー、人間工学に基づいたターニングヘッド、分厚いリングは、身体に障害のある人がバッグから取り出して鍵穴に入れやすいように設計されています。

disabled ostomateとRADAR Keyのイラストillust

以上、レーダーロックトイレについて書きました。
NKSは興味深かったです。日本は真似できないのでしょうか?
日本国内では、令和3年(2021年)に改正バリアフリー法が施行され、障害者等の本当に必要な人が障害者用トイレを利用できるように、「だれでも・みんなの・多目的」といった表示をしないようにすること、トイレ機能の分散化を図ることなどが、定められました。
とはいえ、精神論に頼るソフト対策では限界があり、レーダーロックのようなハード対策は有効であろうと思われます。

私の経験では、日本国内のバイクツーリングのときに、夜間、早朝、休日に鍵をかけている公共(公園、施設の屋外)のトイレがたくさんあり、使用できなかったことが多々ありました。
そうしたことからも、レーダーロックのような仕組みがあると障害者は助かると思います。

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法改正されて、みんなの・だれでも・多目的などのトイレ表示はガイドライン違反。多機能からオストメイト専用に。

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