オストメイトという言葉はない!

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YouTubeには、字幕の設定があります。
そこで、KenU Ostomy VLOG チャンネル(←参照リンク)の一部の動画タイトルと説明を多国語対応にするために翻訳しました。
その際に困ったのは、日本で使用されているオストメイトという用語。
実は外国では、そのような言葉は一般的に用いられていないということが分かりました。

日本語は特殊で、主語がなくても通じます。また、英語っぽい日本人造語もたくさんあります。
外国語に翻訳する上で、これらには気を付けないといけません。

ostomate(オストメイト)

一応、ostomateという単語は、米国のサイトで見つけることはできます。
それでも、どうやらそれほど一般化されていないようです。
僕が昔よく参考にしていた、LetsTalkIBDチャンネル(←参照リンク)のマギーさん(※クローン病によりストーマ造設)からも、ostomateという言葉を聞いたことがありません。

そもそも、英単語のルールからしてもostomateというのはへんです。
ostomateは、ostomy(オストミー) に -ate という接尾辞がついたものとの説明があります。
しかし、この-ateというのは、ラテン語 -are が由来で、英単語の末尾に付いて動詞にするはたらきがあるので、オストメイトというのは人工肛門保有者という名詞を示す言葉ではないことになります。

余談ですが、オストメイトのアナグラムはtomatoes(トマト)です。

翻訳

まず、日本語のタイトルや説明文を、翻訳しやすい日本語に直します。
例えば、「XXXXXXをやってみた」というタイトルは、主語を入れて「私は、XXXXXXをしました」と書き直してGoogle翻訳で英語にします。
英語を日本語に逆翻訳して、訳文を確認し、必要であれば修正します。
そして英語を基本にして、さらに他の国の言葉にGoogle翻訳します。
それをさらに英語に逆翻訳して、さらに日本語にも翻訳して、訳文がおかしくないかどうか確認します。

さて、問題はオストメイト(ostomate)。
中国語(繁体)に翻訳すると「滲透性」。
逆翻訳すると英語「Permeability」となり、日本語「透過性」という意味。
他の国語でも・・・
フランス「stomise」→英「stoma」→日「気孔」
イタリア「stomizzati」→英「stoma」→日「気孔」

オストメイトは使えない

というわけで、オストメイトから他に置き換える英語を考えなければならなくなりました。

日本では「ストーマ装具」、「ストーマパウチ」など、「ストーマ」という言葉をよく使いますが、外国ではそのようには言いません。
以前「ストーマ用品に関する用語のJIS規格があるんです。」という記事を書きましたが、ストーマではなくオストミー(ostomy)といいます。
ストーマ装具はostomy appliance、ストーマパウチはostomy bag。

オストミー(ostomy)は名詞で、《外科》造孔術、造孔そのもの、日本人が一般的に人工肛門と呼んでいるものを言います。
そこで、人工肛門保有者というように英語にしようと思いましたが、保有者はcarrier(キャリアー)やholder(ホルダー)なので、「全然違うなっ!」となりました。

で、海外のサイトで一般的に使われているのが、ostomy patient(オストミーペイシェント)だったので、ostomateをostomy patientsに置き換えました。
そうすると、ちゃんと中国語に翻訳(造口術患者)できました。

ちなみに、stomaとostomyの語源は違うという話を「ストーマを人工肛門と称するけど、本質はちょっと違う。」に書いているので、興味のある方は読んでみてください。


海外サイトのブログに、このIKINARI LARCブログのリンクURLを貼ってくれている香港のオストミーペイシェントの女性がいるんです。
それで、YouTube動画に中国語(繁体)のタイトルをつけてみようかなぁと思った訳です(笑
まあ、人工肛門関係のブログや動画は、誰かのためということではなく、自分のQOL向上、自分が好きだからやっているだけなんですが。

ついでに言おうかな・・・
ときどき目にするのが、障害者を障碍者に変えようという話。
障害者であるKenU自身は、

「碍」はいや。むしろ「害」がいい。

変えようって言ってるのって、健常者でしょ?
なんかね、中途半端なんだよなぁ。
害を碍に変えるだけで何か意味ある?
小さい。
「どうせ変えるなら、障害者という言葉自体を変えようよ」とかって、もっと革新的な発想が欲しいよね。

例えば、常に差があって、利益を損なうから、「常差者」とか「恒差者」とか「利損者」とか「不利得者」とか。
いっそのこと、健常者の反対で「不健常者」とか。
たとえばですが。

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