肉眼に近い遠近感の再現は、焦点距離とイメージセンサーのサイズとトリミングで決まる

この冬シーズンは、雪が多く、道路にも残っていて、ずーっとMT-09に乗れていません。
したがって、バイクのある宮城の風景写真も撮れないので、カメラ関係の記事でも書こうかと思います。

かなり以前に”人間の眼の遠近感に近いレンズは焦点距離100mm”(←参照リンク)という記事を書きましたが、改めて、別の観点から人の目に近いレンズの焦点距離(FL:Focal Length)について考えました。

なお”人の目に近いレンズ”とは、「遠近感(perspective)・奥行感(depth perception)が肉眼で見たときの比率とほぼ同じ」と定義しています。

*

まず、Nikonレンズのカタログから焦点距離とDXフォーマット(APS-Cサイズ)画角の数値を拾ってきます。
また、カメラの画角の計算 – 高精度計算サイト(←参照リンク)で、APS-Cイメージセンサーの場合の、焦点距離と画角(垂直、対角、水平)を計算します。

そして、これらの関係をOpenOfficeのCalc(またはExcel)を使ってグラフにし、水平画角を代表として累乗近似曲線を求めます。

焦点距離とDXフォーマット画角の関係図

つぎに、あるものを後方に移動させて見たときの縮小率(奥行の漸減比)と画角との関係を計算してグラフにし、線形回帰直線を求めます。

例えば、下図のように、2本の赤丸棒と同じ幅、同じ距離だけ後方に移動させた青丸棒が、画角(°)によって見える大きさが変わるので、その比率を数値化するわけです。

画角と漸減率

DXフォーマット画角と縮小率の関係図

そして、実際に左右1m幅でポール2本を立てて、さらにその1m後方にも同じように2本のポールを立てます。

これをKenUが、定規(スケール)を目の前にかざして、片目で見ながら手前2本のポールの幅と奥2本のポールの幅をそれぞれ測定し、縮小率を計算したところ約0.8でした。

この数値を、KenUの肉眼の遠近感に相当する画角に換算します。
グラフの回帰直線の数式[y=-0.0152x+0.9885]で計算すると、12.4°(水平画角)。

次にDXフォーマットの焦点距離に換算します。
グラフの累乗近似曲線の数式[y=1016.6x^-0.941]で計算すると、FL 108mm。

ということで、DXフォーマット(APS-Cサイズ)の一眼レフカメラでポートレート撮影する場合には、FL 105mmレンズを使用すると人が見た感じに近い写真が撮れてよいのかなと思いました。

*

せっかくなので、FXフォーマット(35mmフルサイズ)の場合のFLにも換算してみます。

DXフォーマットのときと同じようにして、カタログ値と計算値からグラフ化して、累乗近似曲線を求めます。

焦点距離とFXフォーマット画角の関係図

KenUの肉眼の遠近感に相当する画角12.4°(水平画角)をFXフォーマットの累乗近似曲線の数式[y=1213.518x^-0.891]から焦点距離に換算すると・・・

な、なんと、FL 171mmでした。

フルサイズカメラでは、FL 160mm~FL 180mmのレンズを使うと遠近感が自然になるのですね。

また、DXフォーマットとFXフォーマットのシミュレーション結果から、肉眼の遠近感を再現して構図を決められるレンズの焦点距離(FL)は、イメージセンサーのサイズによって変わることがわかりました。

*

「望遠レンズだろうが、広角レンズだろうが、同じ位置から撮影して、被写体を同じ大きさにトリミングすれば同じ遠近感になるのだから、レンズの焦点距離の違いと遠近感の違いという考え方は間違っている、肉眼に近いレンズというものを考える意味がない」と言われる人もいるかも知れませんが・・・

そういうことではなくて・・・

トリミングすることを前提にした構図を決めながら撮影はしない。

撮影中に、「今使っているレンズはFL 50mmだけど、FL 100mmのレンズで撮影した風の写真にしたいから、後でこれくらいトリミングするとして、構図はこんな感じにしよう!」ということを頭の中で考えたり、トリミング比率を計算したりしない。

最初に使用するレンズを決めて、それに応じて構図を決める。

ということから、自分の目に近い遠近感で構図を決められる撮影機材の組み合わせを知っておくことは有利だと思います。

こうした理解は、顔の印象が変わらないように、見た目に近い証明書用の写真撮影をするのにも使えると思います。

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ちょっと、実験。

FL 18-300mmズームレンズを使い、FL 105mm位置にして、DXフォーマット(APS-Cサイズ)のカメラNikon D5300で、いろはすを並べて撮影しました。

DXフォーマット105mmで撮影いろはす

うん、やっぱりこれが肉眼に近い遠近感です。

カメラを移動せずに、ズームリングをFL 105mmからFL 18mm位置に変えて撮影したのが次の写真。
(※フォトレタッチソフトでぼかし入れてます)

DXフォーマット105mm位置のまま18mmで撮影いろはす.jpg

肉眼よりも遠近感があって、実際の部屋よりも広く見えます。

でも、この写真をトリミングしてみると・・・

DXフォーマット18mmで撮影して105mm相当にトリミングしたいろはす

FL 105mmで撮った写真の遠近感とほぼ同じになりました。
トリミング=画角を狭くすること、だからですね。

でも、わざわざトリミングすることを前提にして構図を決めないので、FL 18mmのレンズで構図を決めて撮ったら、普通は↓こうでしょ。

DXフォーマット18mmで撮影いろはす

肉眼よりもかなり遠近感が増しました。

上写真の撮影イメージ図は、↓こんな感じです。

いろはすとFLと画角とトリミング

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↓このように書かれた論文があります。
人間の視野角は水平約200度,垂直約125度(下75度,上50 度)。
情報受容能力に優れる有効視野は水平30度,垂直20度程度。
注視点が迅速に安定して見える安定注視野は水平に60~90度,垂直に45度~70度程度
出典:エレクトロニクスシリーズ”プロジェクターの技術と応用”、監修:西田信夫、CMC出版(2010)

それに対して、「FL 50mmのレンズが標準レンズと言われている理由の一つに、『画角(対角線46°・水平40°)が注視していない時に肉眼で視認できる視野に一番近いから』という説がある」なんて書いてあるサイトがあります。
上記論文によれば、それは間違いだということが分かります。
なぜならば、目の有効視野(水平30°)で考えるとFL 70mm(FXフォーマット)、安定注視野(水平60°~90°)で考えるとFL28mm~FL 18mm(FXフォーマット)になりますから。

また、、誰が言っているのか不明ですが、「28mmの画角というのは肉眼の視野にもっとも近いと言われています。」なんて書いているサイトもあります。
これは、目の安定注視野角で考えると、あながち間違いとは言えないかも知れませんね。

KenUのFL100mm説では、人の目は中望遠ということになりますが、それなのにどうして水平200°もの視野角があるのか?という疑問が生じてきます。
それは、網膜が球体になっていて面積が広く(つまり、イメージセンサーサイズが大きい)、画角の狭い範囲でセンシングした映像を網膜全体でスキャニング合成して広い視野を作り出しているからではないでしょうか。

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お隣さんの許可をもらい撮影しました。もちろん、FL105mmで。

ゴッチ20171231

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