一時的ストーマでも身体障害者手帳交付可能。閉鎖後無返還は十万円以下の罰金

さて、以前「身体障害者手帳と映画鑑賞・・・どうして割り引いてくれるの?」(←参照リンク)という記事を書きました。

同じく身体障害者手帳関連ネタということで、医療従事者・ドクター・ナースの方々も読んでくださっているようなので、永久ストーマのKenUには本来関係ないことなのですが、一時的人工肛門(一時的ストーマ、一時ストマ)造設の場合の身体障害者手帳交付について書きたいと思います。

*

日本公益社団法人 日本オストミー協会のサイト ”主な福祉制度”(←参照リンク)に、身体障害者手帳の交付対象は「永久造設のストーマに限ります。」と記載されています。

はいっ、本来はその通りです!!

しかし、実際には違います。
一時的ストーマでも、障害者手帳が交付されているという事実・現実があります。
もちろん、交付の認定を受けられなかった方もいます。

なぜ、そのようなことになっているのか?
一時ストマで交付を受けられていない人にとっては、不公平ですよね?
どうして、不公平が生じているのか?

ということで、KenUが法的事実を確認しながら、想像し、考察します。

KenUのブログにはまったく社会への影響力はありませんが、いろいろ是正され、一時的ストーマ造設者のすべてが身体障害者手帳の交付を受けられるようなったら「いいね!」と思います。

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まず、法律から正しい理解を得ます。
————–
身体障害者福祉法(最終改正:平成二八年六月三日法律第六五号)
第2章 更生援護
第1節 総則
(身体障害者手帳)
第15条
1項 身体に障害のある者は、都道府県知事の定める医師の診断書を添えて、その居住地(居住地を有しないときは、その現在地)の都道府県知事に身体障害者手帳の交付を申請することができる。
3項  第1項に規定する医師が、その身体に障害のある者に診断書を交付するときは、その者の障害が別表に掲げる障害に該当するか否かについて意見書をつけなければならない。
————–
上記のとおり、障害者手帳申請のための診断書の作成は、「都道府県知事の定める医師」に依頼する必要があります。

ストーマ手術をした病院に「身体障害者福祉法第15条第1項に規定する指定医師」がいるかどうか、各市町村窓口、各医療機関で確認しましょう。

指定医師がいない場合は?
う~ん・・・各市町村窓口に相談する?

一時的ストーマになられた方で、医師から申請用診断書の作成を拒否された方もいらっしゃるようですが、もしかしたら指定医ではなかったのかなぁ?

*

次に「別表に掲げる障害」とは何か?
————–
身体障害者福祉法別表(昭和24年法律第283号)
別表(第4条、第15条、第16条関係)
5項 心臓、じん臓又は呼吸器の機能の障害その他政令で定める障害で、永続し、かつ、日常生活が著しい制限をうける程度であるとみとめられるもの

身体障害者障害程度等級表(身体障害者福祉法施行規則別表第5号)
ぼうこう又は直腸の機能障害
————–
ストーマは、その他政令で定める障害の直腸機能障害にあたります。

ここで、重要なのは「永続し」の記載があることです。
つまり、一時的な人工肛門は「障害には該当しない」ことになります。

じゃあ、なんで一時ストマなのに身体障害者手帳の交付を受けている人がいるの?

さあ?(笑
医師の裁量?考え方次第?なのかな?

別に通知「身体障害者障害程度等級表の解説(身体障害認定基準)について」の中に、
————–
「法別表に規定する『永続する』障害とは、その障害が将来とも回復する可能性が極めて少ないものであれば足りるという趣旨であって、将来にわたって障害程度が不変のものに限られるものではないこと。」
————–
といった記載があります。

つまり「障害の程度が不変でなくてもよい」ということです。
でも、「回復する可能性が極めて少ないもの」ということからすれば・・・。
微妙ですね。

また、東京度福祉保健局 東京都心身障害者福祉センターのサイト ”身体障害者手帳について”(←参照リンク)に、
————–
「注)身体障害者手帳は、その障害が永続することを前提とした制度ですので、障害の原因となる疾病を発病して間もない時期や乳幼児期、障害が永続しないと考えられる場合(例えば疾病の治療に伴う一時的な人工肛門の造設)等については、認定の対象とならないことがあります。」
————–
という記載があります。

「認定の対象にはなりません。」とは記載されていないところが非常にあいまいです(笑

*

ところで、一時的ストーマで身体障害者認定された患者の指定医師は、「身体障害者手帳診断書・意見書」をどのように書いたのでしょうか?

ここが、非常に興味深いところです。

身体障害者認定要領(ガイドライン)というのがあり、診断書の様式・記載項目が決まっています。

そのうち、総合所見を記入する欄があり、東京都の様式では、
————–
⑤ 総合所見(再認定の欄も記入)

〔将来再認定  要 (軽度化・重度化)・ 不要 〕
〔再認定の時期 1年後・3年後・5年後 〕
————–
となっています。

身体障害者手帳には基本的に更新(有効期限)がありませんから、一時的ストーマの場合、再認定を設定しないと、ストーマ閉鎖後も障害者手帳の継続使用が可能なままなので問題になります。

宮城県のサイト ”身体障害者手帳について”(←参照リンク)を引用すると、
————–
身体障害者手帳には基本的に更新がありません。
身体障害者手帳を交付する際に,以下のような場合,1~5年の再認定期限日を設けて認定する場合があります。障害の程度は,手術の経過,発育の状況,リハビリテーションの実施等によって変化する場合があるためです。
【再認定の対象】
発育、発達によって障害程度が変化する可能性があると予想される場合
手術後の容態の確認が必要な場合
機能回復訓練(リハビリテーション)によって障害程度が変化する可能性がある場合
その他
————–
とあります。

*

意見書を記入する欄の東京都様式では、
————–
身体障害者福祉法第15条第3項の意見
障害の程度は、身体障害者福祉法別表に掲げる障害に・該当する・該当しない
障害程度等級についての参考意見  級相当
————–
となっています。

一時ストマに対して、医師はどのように記入するのでしょうか?
「該当しない、(だけど)4級相当」と書くんですかねぇ?

さすがに、永久的ストーマの人と同じ「再認定・不要」「障害に・該当する」「4級または3級」とすることはないでしょうし、
————–
刑法
第2編 罪
第17章
(虚偽診断書等作成)
第160条 医師が公務所に提出すべき診断書、検案書又は死亡証書に虚偽の記載をしたときは、3年以下の禁錮又は30万円以下の罰金に処する。
————–
という法があるので、医師も迂闊には、いい加減なことは書かないはずです。

*

「身体障害者手帳診断書・意見書」を作成してもらえたら、とりあえず申請してみて、認定する・認定しないはお役所(自治体)の判断になります。

自治体によって判断基準は異なると思うので、不公平はここで生じるのかも知れませんね。

ちなみに、例として・・・
身体障害者手帳による自動車税・自動車取得税の減免制度は、自治体によって基準が異なっていて、東京都では直腸機能障害1級・3級・4級が対象なのに、KenUが居住の宮城県では、4級は対象外なんです。

*

もし、一時的ストーマ造設によって身体障害者手帳の交付が受けられたとしましょう。
そして、しばらくしてストーマを閉鎖する手術をしたとしましょう。

その場合、身体障害者手帳はどうなるのか?
どうしたらよいのか?
どうすべきなのか?

はい、これも身体障害者福祉法に規定されています。
————–
身体障害者福祉法(最終改正:平成二八年六月三日法律第六五号)
(身体障害者手帳の返還)
第16条
1項 身体障害者手帳の交付を受けた者又はその者の親族若しくは同居の縁故者でその身体障害者手帳を所持するものは、本人が別表に掲げる障害を有しなくなつたとき、又は死亡したときは、すみやかに身体障害者手帳を都道府県知事に返還しなければならない
————–

再認定が設定されていれば、その時期がくれば必然的に返還することになりますが、再認定が設定されておらず、そのまま障害者手帳を使い続けていたら?
————–
第5章 雑則
(罰則)
第46条
1項 次の各号の一に該当する者は、十万円以下の罰金に処する。
2号 第16条第1項の規定に違反した者
————–
とあります。

まあ、黙っていればわからないし・・・とも思いますが、
————–
刑法
第2編 罪
第37章 詐欺及び恐喝の罪
(詐欺)
第246条
1項 人を欺いて財物を交付させた者は、十年以下の懲役に処する。
2号 前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。
————–
という法律もあるので、ストーマを閉鎖したら、すみやかに身体障害者手帳を都道府県知事に返還するのが、大人の対応として好ましいと思います。

*

以上、一時的人工肛門の身体障害者手帳に関して書きました。

一時的ストーマ造設の場合、法的に身体障害者手帳交付の対象外だからドクターは診断書を書かない、申請するだけ無駄だから患者は申請しない、というのがデフォルトだと思いますが、認定・交付の実例も存在することから、考え直してみても良いのではないでしょうか。

また、いろいろと調べてみて思ったことは、医師・自治体ごとのばらつきをなくし、一時的ストーマの方にも確実に障害者手帳が交付されるようにオーソライズされた明確な基準ができ、再認定期間の適切運用による不正使用防止の仕組みさえあれば良いだけなのに、と思いました。

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一時的ストーマでも身体障害者手帳交付可能。閉鎖後無返還は十万円以下の罰金」への3件のフィードバック

  1. KenU さん、こんにちは。

    そうなんです、私は一時ストマでしたが障害者内部障害4級の手帳が交付されて、閉鎖後も所有しています。当然返還の対象になるでしょうから、福祉事務所に問い合わせたところ、再発の可能性は?と聞かれ、大腸に憩室があるのでゼロではないです、と返答すると、しばらく待たされて、担当の医師から見解を聞いて下さいと言われました。

    医師の見解も再発のリスクはゼロではない、と言っています。となると、どうしたものか?

    認定もあいまいですが、返還についても同様な印象です。病院によってもそうですし、都道府県によっても違います。また障害の部位によっても様々です。

    知り合いが人工関節になりましたが、手術を受けた病院の県では障害者認定外でしたが、住んでいる県では対象になり、障害者手帳が交付されました。

    行政の限界なのでしょうか。医療機器や器具の進歩に評価基準が追い付いてないように感じます。

    1. kazuさん、コメントありがとうございます。
      実例のある方から、直接このように書き込んでいただけると、記事の信憑性が増すと思います。
      これまで何もしなかったドクターも患者さんも、ダメ元で申請に動きだすかもしれません。

      それにしても、返還も曖昧なんですね(笑

  2. yuihana

    KenUさん、はじめまして。
    今頃?!のコメントで申し訳ありません^^;

    主人は一時ストマから抗がん剤治療の後永久ストマになりました。
    一時ストマ造設の時点で永久ストマになることは分かっていたので、申請用診断書の記入をお願いしましたが、永久ストマでないと書けないと返されました。
    神奈川県立がんセンターです。

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