オストメイトがグライダーで飛行体験してみると

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先日の2017年4月16日、グライダーに搭乗させていただく機会に恵まれまして、ソアリングしてきました。
※「グライダー」とは、発動機のない航空機。滑空機。
※「ソアリング」とは、 上昇気流を利用して長時間滞空すること。

若い人向けに、エウレカセブンに例えていうと・・・
トラパーでリフをするマシュー機の後方座席に乗り込んで写真を撮るストナーになった、といったところかな?

その結果、KenUがストーマになる以前には味わったことがないくらい、夢のような一日になりました。

今回は、第一部「素晴らしきソアリングと美しすぎるグライダー」、第二部「オストメイトでもソアリングは問題なし」という2部構成の内容で記事を書きたいと思います。

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———- 第一部「素晴らしきソアリングと美しすぎるグライダー」———-

今回ソアリングに誘って頂いたカズさんは東京グライダークラブ(Tokyo Glider Club)に所属しており、ポーランド製の訓練用複座機(二人乗り)グライダー PW-6Uに搭乗させて頂きました。

グライダーPW-6Uと筑波山

かっこいいでしょっ!
翼幅は15mもあるそうです。
しかも、小用トイレ付。

後方に見えるのは筑波山。
そうです、KenUは宮城県在住ですが、ワクワク、そしてちょっとドキドキしながら、関東の滑空場を訪れました。

なお、東京グライダークラブのホームページ(←参照リンク)がありますので、興味ある方はリンクをクリックしてご覧ください。

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事前の連絡で、服装は普段着でOK、上空は日差しが強いので帽子+サングラス+日焼け止めがあったほうがよい、エチケット袋は必須、ということで、すべて準備していきました。

その他、現地に到着すると、グライダーど素人のKenUは「え?そんな想像もしていなかった」ということが色々とありました。

まず、パラシュートを背中に装着。
え?

そのまま後部座席に乗り込み、4点シートベルトを装着し、緊急脱出時のシートベルトを外す→キャノピーを開放→パラシュートを開く操作説明を受けました。

まじですか?
「いやいや、絶対にそんな操作は出来ませんから(笑」といいながらも、不安や心配はなく、興味深かったです。


グレーのベルトがパラシュート、赤いベルトがシートベルトです。
自作のストーマプロテクターも装着しました。

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お昼過ぎに、曳航機(エンジンのあるプロペラ機)に牽引されてテイクオフ。

初体験、狭いコックピット、操縦の邪魔にならないように、などなど緊張しました。

上昇気流で旋回中のグライダーPW-6U
↑旋回上昇中で、丸山の風力発電所が見えます。

↓これは飛行ログで、操縦航路や高度などを表しています。

高度1300mまで上昇したことがわかります。緑色はグランド高です。

カズさんのブログにも、”稀有な出逢いのソアリング”(←参照リンク)という記事が掲載されていますから、ぜひ参照してみてください。

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それから、KenUはパッセンジャーのつもりで搭乗したのに、後部座席の操縦桿を握る流れになって、しかもパイロットのカズさんに前席の操縦桿から両手離しをされてしまい、KenUがパイロットになった瞬間、一機に心臓がバクバクに(笑
操縦したのは、上ログ経路のピンク色線の部分だそうです。

「もう無理です!」と叫んで、操縦桿をお返ししました。
今まで生きてきた中で一番緊張しました(笑。

その後、気分が悪くなってしまったので着陸していただきました。
う~残念という気持と、自分が情けない気持ちと・・・。


橋の向こうの河川敷の緑の部分が滑空場で、着陸前のバンクです。

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動画も撮ったので、YouTubeにアップしました(再生時間25秒)。

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足がガクガクしていて着陸後しばらくの間立ち上がれず、やっとのことで機体から離れ、滑走路に仰向けに大の字に寝転んでしまいました。笑いながら。
だって、想像もしなかった・できなかったことがあり過ぎて・・・。

1時間とちょっと飛んだだけで、ど素人のKenUがグライダーの素晴らしさを語る資格なんてありませんが、自分がまったく知らなかったグライダーの世界を少し味わうことができて、この上ない喜びを感じました。
たった一日で、のんびりとした気分、心地好さから始まり、緊張感、興奮、解放感、感動、笑い、涙(いい)・・・人が一生のうちに感じる様々な感情・感覚が濃縮された最高の一日でした。

始終KenUにいろいろと気を配ってくださったパイロットのカズさん、そしてKenUを暖かく滑空場にお迎えくださったグライダークラブの皆様、ありがとうございました。

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ここからは、美しすぎるグライダーの写真紹介です。

機体をぐるりと撮影!


ウィングレットのない翼端。

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グライダーの格納も見学させていただきました。


主翼と水平尾翼を取り外したところです。


トレーラーに格納します。

このときは数人で作業していますが、基本的には組み立ても一人でもできるそうです。

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次に、他のパイロットさんのグライダーを紹介!

こちらは、曳航機の牽引不要で離陸可能なプロペラエンジン装備セルフランチグライダーの離陸シーン。
この機体は、ん千万円するそうです。
プロペラエンジンは上空で機体内に収納されます。

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こちらは、単座ピュアグライダーの着陸シーン。

美しい着陸。かっこよかったです。

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———- 第二部「オストメイトでもソアリングは問題なし」———-

旅客機の場合、機内の気圧を調節する装置(与圧装置)で、機内の気圧は約0.8atmに調節されています。※与圧装置がなければ、飛行高度10,000mの気圧は0.28atm、酸素濃度は地上の28%なので、生きていられません。
それに対して、グライダーには与圧装置はなく、機内はほぼ上空の環境になります。着陸前の写真のキャノピーの丸い窓を開けているのわかりますか?
今回1300mまで上昇したので、気圧は0.86atmで、酸素濃度は地上の86%になります。

さて、ソアリング中のストーマパウチの状況ですが、まったく便は出ませんでした。
というのは、前日の夕食後に結構便が出たのと、さらに就寝中にも柔らかい便がパウチ半分くらい出ていたので。

そうなったら、たくさん食べさえしなければ、しばらく便が出ないパターンだということは経験的にわかっています。

そして、朝食をバターロールパン2個とコーヒーだけで済ませました。

結局、朝から晩まで便は出ず。
排便周期的、体調的にラッキーが重なりました。

ソアリング中は、ストマからガスが3回ほど出ました。

でも、ストマ装具のパウチが膨らむこともなく、消臭フィルターから無臭でガスが抜けるので、グライダーから降りたときにはパウチはぺったんこでした。

ストーマは、まったく問題ありません。

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話は変わって・・・

もし、KenUが直腸がんでストマになっていなければ、カズさんと出会うことはなかったでしょうし、グライダーを体験することも絶対になかったと思います。

永久ストーマになってでも絶対に生きたいと願う人、永久ストーマになるくらいなら死にたいと思う人、様々です。
考えは人それぞれですから、どちらが良いとか悪いとか言う気はまったくありません。

さらに、「生きていれば、必ず良いことがあるから、生きるべき」なんて適当なことは言いません。

でも、ストーマになったとしても、良いことが起こる可能性があるということは言えると思います。

ちなみに手術前のKenUは、生への執着が強いわけでもなく、死への願望があったわけでもなく、ニュートラルでした。

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一方、KenUは、何か上手くいかなかったり、失敗したり、何かを避けたかったり、逃げたいときには、オストメイトであることを言い訳にしたくなることもありますし、自分に言い訳することもあります。

ストマが不安になって、なにか行動することを避けたいと思うこともありますし、実際に避けることもあります。

人間そんなに強いわけでもないし、決してそれがいけないことだとは思っていません。

でも実際、ストマでもかなりいろいろなことができるんです。

実は、カズさんは一時ストマの経験者であり、そのときにもグライダーで大空を舞っていたそうです。

オストメイトはめんどくさいし、神経も使いますが、楽しみたいという気持ち次第で、本当にいろいろなことができます。

この記事が、これからオストメイトになるかも知れない方々の参考になり、また、心のケアに少しでもお役にたてればと願っています。

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