夾雑物のない純粋な大腸粘液のpHを測定してみた。

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ストーマ周囲皮膚炎の原因を研究していくうちに、大腸粘膜のpHが知りたいと思い実験しました。

というのは、研究者や専門家でさえ、健常者から糞便や細菌や消化液などの混じり気のないピュアな大腸粘液を採取するのは不可能だということに気が付いたからです。
そして閃いたのが、私KenU自身の下行・S状結腸ストーマ(人工肛門)から純粋なピュアな粘液を採って測ればいいじゃんって。
ストーマは大腸そのものなんだから。
ということで、pHを測定してみたので記事にしたいと思います。

もしかしたら、この実験結果は世界初かも?

[実験方法]
pH測定には、アズワンのスティックタイプのpH試験紙(測定レンジpH5.5~9.0)を使用しました。

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まず、弱酸性の泡タイプ清拭料(ハビナース)でストーマとその周囲皮膚を綺麗になるまでよく洗浄しました。

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洗い方は、以前書いた記事「人工肛門ストーマ装具交換の動画をアップしてみた。」の埋め込み動画を見てください。

なお、清拭料のpH測定結果は、家庭用品品質表示法 施行令・規則 雑貨工業品品質表示規程(消費者庁HPより←参照リンク)の区分の弱酸性に当てはまり、pH5.5以下(写真1:左から2番目のスティック)を示しました。
pH3.0未満・・・・・・・・・・・・・酸性
pH3.0以上~6.0未満・・・・弱酸性
pH6.0以上~8.0未満・・・・中性
pH8.0以上~11.0未満・・・弱アルカリ性
pH11.0以上・・・・・・・・・・・・アルカリ性

写真1 清拭料及び水道水pH測定結果(左から、ブランク、清拭料、水道水)
写真1 清拭料及び水道水pH測定結果(左から、ブランク、清拭料、水道水)

また、水道水(通常pH7.0前後)のpH測定結果では、pH7.0を示したことから(写真1:左から3番目のスティック)、このpH試験紙による測定結果の確からしさが確認されました。
洗浄後のストーマは、シャワーのお湯で十分に洗い流しました。
少しの時間放置してから、ストーマに不織布ガーゼ(メディコム、15cmX15cm)を被せました(写真2)。

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写真2 ストーマ粘液のサンプリング
写真2 ストーマ粘液のサンプリング

不織布ガーゼをゆっくりと引き剥がすと、無色透明な粘液が付着しました(写真3)。

写真3 大腸のピュア粘液
写真3 大腸のピュア粘液

[実験結果]
上記のようにして採取した夾雑物のない純粋な大腸粘液のpH測定結果は、pH8.5~9.0でした(写真4:右のスティック)。

写真4 ストーマピュア粘液pH測定結果(左:ブランク、右:粘液)
写真4 ストーマピュア粘液pH測定結果(左:ブランク、右:粘液)

ということで、大腸粘液の液性は、先述のpH区分の基準でいうと、弱アルカリ性ということになります。
ほかの基準にあてはめれば、アルカリ性とも言えます。
その点については、過去記事「ミネラルウォーターの選び方。成分・硬度・pHを一覧表とグラフで比較。」を見てください。

また、この結果は、腸内通過速度が速い下痢便が酸性なのに対して、腸内通過速度の遅い便のpHが高くなることと関連がありそうだということがわかりました。

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余談ですが・・・
下痢便は、海外の専門サイトや論文では、酸性と言われていて、それが常識のようです。
また、KenUも自分の下痢便や硬い便のpHを測定してデータを収集しているところですが、確かに下痢便は酸性でした。
後日、論文のソース、KenUの便の測定結果なども含めて、「ストーマ周囲皮膚炎の原因研究結果」に関する記事を書きたいと思いますので、お楽しみに。

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[2016/05/28 追加]
今日は、ストーマ装具の交換日だったので、大腸粘液pH測定の再現性実験を行いました。
その結果、前回と同じpH8.5~pH9.0であり、再現性が認められました。
また、尿のpH測定も行ってみました。
その結果、pH6.5を示しました。

写真5 尿のpH測定結果(左:ブランク、右:中間尿)
写真5 尿のpH測定結果(左:ブランク、右:中間尿)

2016年3月版の臨床検査基準値一覧では、尿定性試験pH基準範囲(正常値)は、pH4.6~pH7.5、そして、「健常者の尿はほとんどが6.5くらいの弱酸性」(←**********医療センターより)なので、KenUの尿のpHは全く問題ないという結果になりました。

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