身体障害者手帳と映画鑑賞・・・どうして割り引いてくれるの?

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今回の記事では、「 障害者割引 なぜ? 」について、法令、ガイドライン、論文等を調べ、根拠に基づき明確に結論づけました。

筆者の身体障害者手帳

本日5・23、私KenUが直腸がんにより永久人工肛門(ストーマ)になって、まる2年が経ちました。
身体障害者手帳(直腸機能障害 4級)を交付してもらい、これまで、いろいろなシーンでの障害者割引サービースを利用させてもらっています。
おかげさまで、今ではちょくちょく映画鑑賞に出かけるようになりました。
一般料金1,800円のところ、障害者手帳提示で1,000円で観られます。
付き添い者も2名まで、一人1000円。
とっても、有難いです。
でも、腑に落ちないというか、しっくりこなかったんです。

今回、障害者割引制度を利用する上で自分自身が納得するために調べたことを第一部に書きます。
第二部は、KenUの映画とのかかわりについて書きます。

****** 第一部 ******

障害者になった当初、映画鑑賞に支障がある障害でもないのに割引いてもらえる理由がわかりませんでした。
東京モーターサイクルショーへ行ったときも無料で、なぜなのか疑問でした。
映画を観に行くのは、ただ単に好きだからであって、健常者と同様に不自由なく鑑賞できるし、べつに割引いてくれなくてもいいのに、と思っていました。

そんな気持ちから、割引を利用することに罪悪感を感じていました。

KenUが障害者割引を利用するときに、「妻は付き添いじゃなくて、ただ一緒についてきているだけだから、妻の分は通常料金でいいよ。」と言ったことがあります。
なぜなら、妻は単なる同伴者、付き添い(介助)してもらってるわけではないので。
結局、チケット窓口で「いえ、付き添い料金で大丈夫ですから。」と言われて了解しました。
それ以来、あまり深く考えずに、素直に同伴者割引も利用するようにしています。

以前”ストーマ装具などの価格から自己負担額を計算してみた。”という記事のなかで、「KenUの場合は、補助金だけでは足りず30年で260万円必要」と書いています。
なので、いろいろな場所で障害者割引きサービスを利用できると、経済的に助かります。

割引サービスを提供して下さっている事業主様に感謝申し上げます。
という訳で、割引してもらえる理由について、法令・ガイドライン・論文等を調べました。


障害者関係の法令等がたくさんあるなかで、”身体障害者福祉法”(←参照リンク)の第一条~第三条に割引理由のヒントや興味深い事が書いてあります。

(法の目的)
第一条  この法律は、・・・・・・中略・・・・・・、身体障害者の自立と社会経済活動への参加を促進するため、身体障害者を援助し、及び必要に応じて保護し、もつて身体障害者の福祉の増進を図ることを目的とする。

(自立への努力及び機会の確保)
第二条  すべての身体障害者は、自ら進んでその障害を克服し、その有する能力を活用することにより、社会経済活動に参加することができるように努めなければならない。

2  すべて身体障害者は、社会を構成する一員として社会、経済、文化その他あらゆる分野の活動に参加する機会を与えられるものとする。

(国、地方公共団体及び国民の責務)
第三条  国及び地方公共団体は、・・・中略・・・、身体障害者の自立と社会経済活動への参加を促進するための援助と必要な保護を総合的に実施するように努めなければならない。

2  国民は、社会連帯の理念に基づき、身体障害者がその障害を克服し、社会経済活動に参加しようとする努力に対し、協力するように努めなければならない。

上記を簡単にまとめ、ワンピースのルフィー風に言うと、

「障害があっても頑張れ!!! みんなで協力・援助するからよ!!! お前は俺たちの仲間だ!!!」

これが、事業者が割引サービスを提供してくれる理由です。


それから、“障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律”(←参照リンク)というのもあります。

(国民の責務)
第三条 すべての国民は、その障害の有無にかかわらず、障害者等が自立した日常生活又は社会生活を営めるような地域社会の実現に協力するよう努めなければならない。

これも、民間事業者が割引サービスを提供してくれる理由の一つ。

第五節 補装具費の支給
第七十六条 市町村は、・・・中略・・・、当該障害者又は障害児の保護者に対し、当該補装具の購入又は修理に要した費用について、補装具費を支給する

ストーマ装具の助成が、規定されています。

他には、事業者に割引サービスを設けるように直接的に規定している内容は見つかりませんでした。


さらに、「障害者の権利に関する条約」というのもあり、国際的に歩調を合わせる必要があります。
内容については、ここでは省略します。
興味のある方は、外務省のホームページ(←参照リンク)をご覧ください。


その他、論文をいろいろ調べていると、専門家の学会での発表を見付けました。
”2015年11月8日 障害学会12回大会 「日本の鉄道・バスにおける障害者割引の現状と課題」(大阪府立大学 人間社会学研究科)”。

・報告要旨はこちら→リンク
・プレゼン(パワーポイントファイル・ダウンロード)はこちら→リンク

この発表は、交通機関に限らず、その他の業種における障害者割引に関する理解も助けられると思います。

パワーポイント発表資料スライドから内容をピックアップして要約すると・・・
「障害者割引に法律上の定めはなく、事業者の内部規則で行われている。」
割引の強制や行政指導はできず、事業者にお願いするしかない。」
ということで、あくまでも割引は、事業者の考えに基づくサービスとして実施されています。

割引の拡大についての事業者の意見は、
「本来は福祉政策として、国や地方公共団体によって国等の負担でやるべきもの。」
「新たな割引は運賃収入への圧迫になり、割引の拡大は他の利用客への負担にもつながる。」という考えがある一方、
割引しても、なるべく多くの人に乗ってもらうほうが路線の維持にプラスになる。」
といった、前向きな考えもあります。

映画の場合は、映画離れを防ぐためにも、割引して多くの人に見てもらったほうが収益的にプラスになるのではないかと思います。

そして、学会発表のまとめの考察として、
「交通機関の障害者割引は何のためにあるのか」 ⇒ 「理論的な根拠については、あいまいである。」
「もともとは身体障害者に介護者が同行して乗る時に、運賃が余分にかかることを重視し、障害者に低所得者が多いことも考慮して、制度が設けられたとみられる。」
と述べています。


以上のことから、民間事業者による身体障害者割引サービスの提供は、パイレーツオブカリビアンのジャック・スパロー風に言うと、

「障害者割引は、『掟』というより、どちらかというと『心得』だ。」

と結論づけました。

そして、事業者の経営努力によって障害者割引サービスが成り立っていることを謙虚に受けとめないといけない、と思いました。
身体障害者だからといって何でもかんでも、やみくもに割引を求めるのは身勝手ですが、現時点で提供されている割引サービスは大いに利用してもよいし、社会経済活動に参加するために積極的に障害者手帳を活用するべきである、ということがわかり、すっきりしました。
これからも遠慮せずに、身体障害者手帳を活用させてもうらおうと思います。

****** 第二部 ******

思い出というか、KenUの映画とのかかわりを振り返ってみます。

(幼稚園・・・たぶん)
KenUが生まれてはじめて映画館で見たのが、おやじに連れていかれた「妖怪大戦争」。
内容はあまりよく覚えていない。

(小学生)
唯一見たのが、これもおやじに連れていかれた「ガメラ対バイラス」。
どこの映画館か覚えていない。

(中学生)
唯一3年生のときに見たのが、同級生と行った「スターウォーズ」。
有楽町の映画館だったと思う。
銀座のソニープラザによく遊びに行ってたから。

(高校生)
お小遣いも増えたし、アルバイトもしたので、洋画、邦画、アニメ、なんでも、たくさん見ました。
一人でよく行ったのが、ニュー蕨映劇。
埼玉県川口市に住んでいたのでチャリンコで行ってました。
この映画館の何が良かったかというと、いついってもガラガラで、そして、安い。
新作封切映画を上映せず、2か月遅れくらいで2本立て600円で上映してたんです。

友達と行くときは、大宮、池袋、新宿が多かったかな。
ジャッキー・チェンが流行り始めた頃。
つまんないB級の邦画も暇があれば結構見てたなぁ。
新宿で、オールナイト上映、旧作邦画5本立て1,000円というのを見て、始発電車で朝帰りなんてのもありましたね。
上野に行くと、日活ロマンポルノを見たり。 高校生なのに(笑
原悦子が人気だった頃で。 原節子じゃないですよ。 せつこじゃなくて、えつこ。
上野は、洋物ポルノが3本立て300円っていうのもありました。 高校生なのに(笑

(大学生)
いろいろと他にすることも増えて、高校のときほど映画に行かなくなって。
何を見たかあまり思い出せない。
「郵便配達は二度ベルを鳴らす」を見たと思うけど、まったく内容を覚えていない。
スピルバーグの映画が流行ってたころかな?

(社会人)
ビデオデッキが普及しちゃってたから、独身の頃はビデオばかり見てました。
トップガンはビデオで、数えきれないくらい何度も見たなぁ。
映画館に行ったのは、ほとんどデートのときだけだったかも。

(結婚後)
大阪に住んでいたので、万博公園外周のドライブインシアターに、週末の夜になると行ってました。
ドライブインシアターって知ってます?
夜に車で出かけて行って、野外の大きなスクリーンの前に駐車して、車の中からフロントガラス越しに映画を見るんです。
音声は・・・FMラジオで受信するんだったかな? 音声受信機を借りるんだったかな? 忘れちゃった。
途中、雨が降ってきて、ワイパーを動かしながら見るということもありました。

そして、身体障害者になった今は、禁酒デーを兼ねて、週末の夜にレイトショーを見に行ってます。
いやぁ~、映画って、本当にいいもんですねっ。
それじゃぁまた、ご一緒に楽しんでまいりましょう。

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