人工肛門の人は重い物を持ったり腹筋運動してはいけないの?

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またストーマ関連ネタですみません。
なかなか尽きません(笑

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で、結論から先にいえば、してもよい場合と、してはいけない場合に分かれるようです。

まず、してはいけない場合のその理由は、腹圧(腹腔内圧)が上昇すると、傍(ぼう)ストーマヘルニアやストーマ脱出を生じる可能性があり、重いものを持ったり腹筋運動をすると腹圧がかかるから、ということらしいです。

KenUの場合は、主治医に確認して、手術後6か月には普通に運動してよいと言われて水泳を始めていますし、ガレージの重たいシャッターを一人で“ガラガラガラァ~”と持ち上げていますし、手術後8か月には腹筋運動20回3セットとかしていますし、手術後10か月には240kgの重量がある倒れた大型自動二輪教習車を起こしていますし、何ら問題はありません。

KenUガレージシャッターリフトアップ
KenUガレージシャッターリフトアップ

でも、腹筋運動をしても大丈夫になるであろう人でも、さすがに手術後すぐには体力的にも無理だし、腹壁と腸管に傷もあるし、生分解性縫合糸も溶解吸収しきらずに体内に残っているであろうし、術後しばらくの間は、腹圧がかからないようにしたほうが良いのかな?

KenUは責任とれませんから、そのあたりのことや、腹圧をかけても良いかどうかについては主治医に確認してくださいね。

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さて、では、傍ストーマヘルニアやストーマ脱出が生じる原因はなんでしょう?
調べてみました。

文献1)では、
(1)ストーマが腹直筋外縁に造設された場合
(2)筋膜切開が大きい場合
(3)肥満や加齢、ステロイド剤の長期使用による腹壁(腹直筋)の脆弱化
(4)気管支拡張症などによる咳嗽や、便秘などによる腹圧の上昇などにより、腹直筋腱膜の欠損孔が徐々に拡大

アルケアが運営しているサイト2)では
・ストーマ造設時に腹直筋腱膜に開けた孔が大きすぎる。
・体重増加、肥満、加齢による腹壁の脆弱化。
・慢性的な咳嗽、前立腺肥大などによる腹腔内圧の上昇
・腹直筋外でのストーマ造設

文献3)では、
「傍ストーマヘルニア予防のためには導管が腹直筋を貫くことが重要である。」

と書かれています。

つまり、腹圧がかかることが主原因ではなく、ストーマ造設のしかたの問題と腹筋が弱ったところに腹圧が上昇することが影響するということが分かります。
裏を返せば、腹筋に上手にストーマが造設されていて、腹筋も強靭であれば、腹圧がかかっても大丈夫ということです。

KenUは肥満ではなく、腹筋もそこそこ丈夫、緊急オペではなかったので術前のストーマサイトマーキングが適切になされて、適切な位置にストーマが造設されて、恐らく腹直筋腱膜の穴も大きすぎではなかった? ので腹筋運動をするのも重い物を持つのも問題ないのでしょうね。

KenUのストーマサイトマーキング
KenUのストーマサイトマーキング

ということで今後、
・高齢化して腹筋が衰えてくるのを予防するために、腹筋を鍛えていかねば
・肥満は内臓脂肪のために腹圧を上昇させる4)ので、太らないようにせねば
・高齢化して寝たきりになると自分でストーマの処理ができなくなる、家族に苦労をかけたくないので、いつまでも自力で歩けるように足腰を鍛えていかねば
とKenUは考えています。

自分のQOLを低下させないためにこんなことも考えて実行しないといけない、なにも考えずにぼんやりとしていられないなんて、やっぱり普通には生きられない。
このからだで長生きしたくないので、元気なうちにポックリ逝けたら幸せと思っています。
もっと辛い人・大変な人がいるのはわかっていますが、人それぞれ考え方も違うし、環境も状況も違うので、こんなこと書いちゃったけど怒らないでね。

最後に・・・
大事なことなのでもう一度書きますが、KenUは責任とれませんから、腹圧をかけても良いかどうかについては主治医に確認してください。

なお、腹圧は通常はどれくらいで、どんなときにどれくらいまで上昇するか、また、胸腔圧と腹腔圧のバランス関係など、文献は色々あります。
勉強している医師なら知っていると思うので、細かく指導してもらえるかも知れません。
本ブログ最下部の ” 関連記事 ” に論文を紹介しておきますから、興味のある方はご覧ください。

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YouTubeで、ストーマパウチをつけているボディービルダーの映像を見付けました。

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参考文献:
1) 消化器疾患看護の専門性を追求する, 消化器外科ナーシング 第16巻2号147-150(2011), メディカ出版
2) これで解決!医療者のためのストーマケア・ナーシング, ストーマ合併症への対応, 旁ストーマヘルニア
3) 回腸導管造設術, 泌尿器外科 第24巻 臨時増刊号439-440(April 2011), 医学図書出版
4) 患者さんと家族のための胃食堂逆流症(GERD)ガイドブック, 財団法人 日本消化器病学会(2010年12月1日発行)

************** 関連記事 **************

腹筋運動では腹圧は上昇しない!という論文
かかる腹圧の変化・持ち上げかたと重さの違いによる影響

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