ストーマ装具などの価格から自己負担額を計算してみた。

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以前、「ストーマ装具の選定と便排出処理するのにこんなのが欲しい!」という記事の中で、私KenUが使用したストーマ装具を紹介しました。

今回、どれくらいコストがかかるのか計算してみました。

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現在使用している装具は、ホリスターの2ピースタイプのニューイメージです。

メーカー推奨の装着期間が3日~5日で、KenUの場合は、便の性状や面板下への便の潜り込み具合、パウチの汚れ・匂いの状態で装具の使用パターンがいろいろとあるので、それぞれ一月にどれくらいコストがかかるのかを計算しました。

ホリスターニューイメージ使用コスト(クリックすると別タブで拡大表示します)
ホリスターニューイメージ使用コスト(クリックすると別タブで拡大表示します)

だいたい、3日または4日に一回交換しています(表中のパターンAまたはB)。
排便状況によっては、軟便を多量に排便したときなどは、2日でパウチが黄色くなり、ストマ周囲のフランジのくぼみ部分に便が残ったりもして、なんだか汚らしくて気持ち的に萎えることがあるので、面板はそのままでパウチのみ交換することもあります(表中のパターンE)。
面板下への便の潜りこみもなさそうで5日目使用できそうだなと思うときもありますが、推奨MAXの5日間使用したことはありません。
匂いについても、消臭潤滑剤も入れているし、自作の消臭パウチカバーを装着しているので5日間使用は全く問題なさそうですけど・・・。

なので、一月あたりパターンA、B、Eの平均コスト(9,950円)がかかっている感じです。

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それから、消臭潤滑剤を使用しているので、その分のコスト加算も必要です。
そのメーカーにはホリスターとコロプラストがありますが、価格も性能もたいして変わらないです。基本的にはアダプトを使用していますが、たまにコロプラストからセール特価品のお知らせがあるので、その時にデオールを購入しています。

消臭潤滑剤はメーカー指定の使用量が1回あたり5~8mLで、パウチからの便排出毎に使用するので、1日の排便回数によってコストが変わることになります。

消臭潤滑剤使用コスト(クリックすると別タブで拡大表示します)
消臭潤滑剤使用コスト(クリックすると別タブで拡大表示します)

それから、便排出時に使用する材料費もかかります。これらの購入価格はかなり変動するのでおおよその値段です。

便排出時使用材料コスト(クリックすると別タブで拡大表示します)
便排出時使用材料コスト(クリックすると別タブで拡大表示します)

KenUの場合は、ストーマからの排便が少ないときで1日まったくないこともありますし、排便がたくさんあって1日に3回パウチから便を排出することもあります。
平均すると、1日あたり2回排出かな?

さて、それで一ヶ月あたりのストーマ装具と消臭潤滑剤と便排出時使用材料のコスト合計から公的補助金※を差し引いた自己負担額を算出すると・・・
補助金だけでは不足で、補助金と同じくらいの自己負担が必要です。

ストーマ装具等の自己負担額(クリックすると別タブで拡大表示します)
ストーマ装具等の自己負担額(クリックすると別タブで拡大表示します)

※日常生活用具給付、ストマ用装具助成、人工肛門・人工膀胱用装具購入費助成、など自治体によって呼び名が違うようです。

それから、今後30年生きた場合も計算してみたら、うわ~200万円以上も自己負担が必要なのね(笑

KenUは手術するかなり以前からタバコをやめていますが、ストーマ装具の1日のコストはタバコ1箱よりも安い計算なるので、タバコを吸っていたときを思えばどうってことないでしょう。

※装具交換のときに面板をはがすのにスリーエム ヘルスケアの”キャビロン皮膚用リムーバー”を使用しているのですが、一本で6か月以上もつので計算からは除外しました。
リムーバーの使用をお奨めします。
ストーマ装具剥離時の痛み・皮膚障害について ←参照リンクPDF
3M キャビロン 皮膚用リムーバー使い方 ←参照リンク

3M キャビロン 皮膚用リムーバー 30ml TP1
←Amazonで見てみる

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参考までに、入院時に使用していたダンサックのワンピースタイプの装具とコロプラストの製品も計算してみました。

ダンサックノバ1使用コスト(クリックすると別タブで拡大表示します)
ダンサックノバ1使用コスト(クリックすると別タブで拡大表示します)
コロプラストセンシュラミオ1使用コスト(クリックすると別タブで拡大表示します)
コロプラストセンシュラミオ1使用コスト(クリックすると別タブで拡大表示します)

KenUの場合は、ガスの抜きやすさを考慮してツーピースタイプを選んでいるので、ワンピースタイプの装具のコストの低さにはそれほど魅力を感じていません。

それから、推奨の装着期間の最長期間の使用は不安でMAX使用することはないと思うので、そう考えるとあまりコストは変わらないのかな?とも思います。

この記事の計算に使用したエクセルファイルを添付しましたのでご自由にお使い下さい。なお、セルの太枠罫線の部分は、計算式が入力してあります。

2014年12月KenUストーマ装具等のコスト←右クリックし対象をファイルに保存をクリック

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ついでに・・・

装具のコストダウン方法として「ツーピースタイプの装具のパウチの中にポリ袋を入れて使用する」というのをネット上のどこかで見たことがあります。

まあ、「やりたい人はやればよい」としか言いようがないのですが、科学的見地とマナーの観点から言えば、やめたほうが良いように思います。
少し説明しましょう。

まず、ポリ袋というのはポリエチレンという材質でできており、これらプラスティックの性能評価の物性値の一つにガス透過度があります。
ポリエチレンはガス透過度が高く、つまりガスバリア性が低い材料なので、排便すればその臭気をすかすか通します。

ストーマ装具のパウチは、気体透過度の低い、つまりガスバリア性の高い材料が使用され、その他材料と組合わせた4層とか5層のフィルムが使用され、便のにおいが透過しにくい構造になっているのと、活性炭で悪臭を除去したガスが自然に抜ける機構を設けています。
ガスバリア性の高い材料には、エチレン-ビニルアルコール共重合体(EVOH)とかポリアクリロニトリル(PAN)とかポリ塩化ビニリデン(PVDC)などがあり、二酸化炭素透過性でいうとポチエチレンの数千分の一以下です。
なので、ストーマパウチの中にポリ袋を入れたとしても、ポリ袋自身に便の匂いを遮断する効果はほとんどなく、ストーマパウチに匂いが移って消臭機能はこれまでと同様に劣化するので、パウチ交換をしないと”くさいにおい”を放つことになります。
なので、パウチ節約、コストダウンにはならないのではないでしょうか?

また、ポリ袋をパウチの中に入れてしまうと消臭ガス抜き機構が死んでしまいますから、おならをするたびに装具のフランジをはずして、くさいガスを放出する必要が生じます。

ちなみに、KenU宅の近所にストーマの男性が住んでいますが、パウチを洗って再使用しているらしく、「そこの奥さんが『家の中が臭い』と言っている。」と妻が申しておりました(笑。
妻曰くKenUは全く匂わないそうです。 だって、ちゃんと防臭に気を使って対処してるもん^^。

それから、ストーマパウチの中に入れたポリ袋の排便後の処理はどうするのでしょうか?
ストーマパウチからポリ袋ごと便を取り出すのでパウチは汚れずに綺麗なままでしょうが、ポリ袋から便を出してトイレに流す必要があるので、二度手間では?と思います。
しかも、その後の内側に便が付着したポリ袋はどうするのでしょうか?
まさかそんなものを自宅以外のゴミ箱に捨てるような不道徳なことしませんよね?

外出先のやたらなゴミ箱に捨てるわけにはいきませんから、家に帰るまで持ち歩くことになります。
ガスバリア製の高いポリブチレンテレフタレート製のポリ袋が販売されていますから、それに便のついたポリ袋を入れて防臭したとしても、それを鞄に入れて持ち歩くのはちょっと抵抗ありますよね?

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ちなみに、防臭を完璧にしようと思ったら、さらにサランラップで包んで、さらにアルミホイルで包む方法もありますが。

ということで、外出しない、一人暮らし、家の中が臭くなっても良い人向きの方法だと思いました。

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最後に・・・

ストーマ装具を長持ちさせる方法は、下痢をしないことと軟便にならないように注意することと思っています。
今は食べ物と便の性状との関係を調べようとしています。
まだ、軟便との関係性ははっきりとしていませんが、とりあえずKenUが食べ物で注意していることは、「生もの、きのこ、わかめ、こんにゃく、すいかを食べない」「アルコールを飲みすぎない」といことを実行しています。
大好きなお寿司も食べてないし、ビールも炭酸でガスが出るので飲んでません。

これまでいろいろとストマ関係の記事を書いて、「KenUさんは前向きだなー」と思われるかも知れませんが、まったくそんなことはありません。
自分のQOL向上のために、考えたり実験したりしているに過ぎません。
やっぱり、こんな体になって生きていくのは不便だし、制約もあるし、辛くても明るく振舞う演技もしてるし、年をとって皮膚の状態が悪くなったときのことや、体の動きに不自由が生じたりした時のことなども考えると、将来不安でたまりません。
それらの反動で、いまだに隠れてこっそりと一人で大泣きしたりしますよ。

ちょっと愚痴ってみました^^;

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