ミネラルウォーターの選び方 成分・硬度・pHを一覧表とグラフで比較

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少し前置きが長いですが・・・
イタリアで食べるパスタは、日本のようにそれほどアルデンテでもないし、パスタ自身がかなり塩味が濃いという話を聞きました。

それで、イタリアの水は日本の水と硬度が違うから、イタリアの水を使って今までと同じ量(1L当たり大さじ1=食塩のゆるみ比重が1.29なので、19.35g )の塩を入れてパスタを茹でたら、また違う味になるのかな?と思い購入してみました。
※参照 塩百科(財団法人 塩事業センターHP)

Amazonから、サンベネデット(SANBENEDETTO)500mL入り24本パックを購入。
1本当たり70円。
ボトルの色が青色で綺麗で、素材も ” いろはす ” に似たやわらかい感じです。

国産(採水地:北海道)のミネラルウォーターと飲み比べた感じでは、サンベネディットは意外にも飲みやすくて、味もほとんどありません。
パスタを茹でて水道水と比較した感じでは、他のサイトで書かれているコシが強くなるなどの、はっきりとした違いは分かりませんでした。

SANBENEDETTO 500mL 6pack
SANBENEDETTO 500mL bottle
SANBENEDETTO 500mL 栄養成分


それで、じつのところ水の事をあまりよく知らずに適当に購入しただけだったので、後から色々と調べることにしました。

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目 次
1. ミネラルウォーターの硬度
2. ミネラルウォーター比較一覧表
3. 原水の種類
4. 硬度比較グラフ
5. pH比較グラフとpH区分による液性分類
6. pHは弱アリカリ性がいいの?
7. マグネシウム含有量の比較グラフと下痢
8. ミルクを作ってもよい硬度は?
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1. ミネラルウォーターの硬度

まず、 ミネラルウォーター(Mineral water)とは、「容器入り飲料水のうち、地下水を原水とするものを言う。」です。
※参照 ミネラルウォーター(Wikipedia)

水の「硬度」とは何か?
水に含まれるカルシウム及びマグネシウムイオンの量を、これに対応する炭酸カルシウムの mg/L に換算して表したものです。
【硬度=カルシウム(mg/L)×2.5+マグネシウム(mg/L)×4】

そして、その硬度の区分によって「軟水」と「硬水」に分類されます。

[ Taylorの分類 ]

硬度 50 mg/L未満・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・軟水
硬度 50 mg/L以上 ~ 100 mg/L未満・・・・・中程度の軟水
硬度 100 mg/L以上 ~ 150 mg/L未満・・・・軽度の硬水
硬度 150 mg/L以上 ~ 250 mg/L未満・・・・中程度の硬水
硬度 250 mg/L以上 ~ 350 mg/L未満・・・・硬水
硬度 350 mg/L以上・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・高度の硬水

関東の8浄水場の水道水の平均値が硬度71.4mg/Lで、中程度の軟水らしいです。
サンベネディットは、水道水の3倍強の硬度237mg/Lで、中程度の硬水の分類になります。

この他にWHO(世界保健機関)の分類や、EVIANのサイトの分類とか、やや異なる区分による分類もあります。
※参照 日本ミネラルウォーター協会Q&A

[ WHOの分類 ]

硬度 0 mg/L ~ 60 mg/L・・・・・・・軟水
硬度 61 mg/L ~ 120 mg/L・・・・・中程度の硬水
硬度 121 mg/L ~ 180 mg/L・・・・硬水
硬度 181 mg/L 以上・・・・・・・・・・・極めて硬水
※参照 Background document for development ofWHO Guidelines for Drinking-water Quality(PDF)

[ EVIANのサイトの分類 ]

EVIANのサイトでは、日本で一般的に使われている基準であると主張していますが、おそらく厚生労働省通達の水道水質基準の硬度が300mg/L以下であることと、その水質管理目標設定項目が10~100mg/Lであることから、100mgと300mgを境にして、軟水、中硬水、硬水に分けただけです。
※参照 東京都水道局「水の硬度」

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日本の水はほとんどが軟水で、海外の水は硬水が多いということです。
それは何故か?

水のミネラル成分は大地の成分が溶け込んだものなので、広大な大陸では、地下水の滞留時間が長く、海に流れ込むまでに時間がかかるのでミネラル成分が多く溶けた硬水になります。
一方、日本のような島国では、雨も多く土地が狭いために地下水の滞留時間が短く、あっという間に海に流れ込んでしまうので、ミネラル分が少ない軟水になるとのことです。

※参照 SUNTORYの水大辞典

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2. ミネラルウォーター比較一覧表

次に、ミネラルウォーターは数え切れないほど種類があるので、そのうち2013年8月現在のAmazonで購入可能なものを主として、57種類の商品がどのように成分が違うのか分かりやすく、その会社の公式のサイトその他からデータを拾ってきて一覧表にまとめました。
※スパークリング(炭酸水)については、除外しています。

注意事項 : 成分、硬度、pHなどは多少変動し、メーカー公式サイト記載の数値が時期によって変更されていたり、ボトルの成分表示が変更されたりしているようです。 本サイトに示した一覧表の数値と実際に購入した商品ラベルの数値とが異なることもあるでしょう。 また、メーカー公式サイトには数値が見つけられなくて、他のサイトから拾ってきたものもあり、さらに、転記ミスもあるかも知れませんので、本データーの正しさを保障することは出来ません。 本サイトのデータにより何か不都合等が生じても一切責任を負いませんということをご了解下さい。

以下の図表はクリックすると別ウィンドウで拡大表示できます。

No.1~24 : ミネラルウォーターの採水地他、成分、硬度、pHなど

No.25~43 : ミネラルウォーターの採水地他、成分、硬度、pHなど

No.44~57 : ミネラルウォーターの採水地他、成分、硬度、pHなど

※ 表中のVはバナジウム、SULはサルフェート、HCO3-は炭酸水素イオンを示しています。

3. 原水の種類

一覧表の原材料のところに書いてある、鉱水とか深井戸水とかは、原水の種類の区分があって、下表のようになっています。

原水の種類

※参照 ミネラルウォーター類の品質表示ガイドライン(H2.3.30農林水産省局長通達 食流第1071号)(PDFファイル)

全部が全部そうではないのですが、湧水や鉱泉水の商品ではその事をホームページでアピールしているものが多いです。
深井戸水や鉱水の商品では水源近くの大地をアピールし、ホームページの分かりにくいところに深井戸水と書いてあったり書いてなかったりします。
”天然”とか”自然”をイメージしている商品名ですが、実際にはポンプで汲み上げている人工的な商品のためと思われます。

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次に、一覧表のデータを比較しやすくするために図(棒グラフ)を作成しました。

4. 硬度比較グラフ

硬度の違いをグラフでは、数値に幅があるものについては中間値を採用し、例えば、マグネシウム0.6 ~ 1.1mg/100mLの場合は、0.85mg/100mLとしました。
コントレックス(48)、クールマイヨール(52)、ゲロルシュタイン(53)が硬度が極めて高く突出しています。

No.1~No.57 ミネラルウォーターの硬度

上の図を拡大したのが下の図です。
国産(1~46)のうち8,9,10が軽硬水。
この3つは商品名と販売会社は違うのですが、メーカーも採水地も全く同じOEM商品なので成分は同じです。
他にもOEM商品で採水地が同じという商品がいくつかありそうです。
外国産(47~57)でも軟水のものがあるのがわかります。

No.1~No.57 ミネラルウォーターの硬度(拡大)

ちなみに、「いろはす」は採水地が7箇所あるので、硬度の違うものが7種類あります。
なので、7種類のうち硬度の一番低いものを19に、硬度の一番高いものを20に示しました。

実は、「いろはす」は、13~18の6種類の「森の水だより」に一箇所採水地を増やしただけの商品なので、「森の水だより」=「いろはす」と考えて良いかも知れません。

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5. pH比較グラフとpH区分による液性分類

いろいろなサイトでミネラルウォーターのpHについて述べられているので、その違いをグラフにしました。

No.1~No.57 ミネラルウォーターのpH (43 はデータなし)

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家庭用品品質表示法 施行令・規則 雑貨工業品品質表示規程(消費者庁HP参照)では、pH区分による次のような液性の分類があります。

pH3.0未満・・・・・・・・・・・・・酸性
pH3.0以上~6.0未満・・・・弱酸性
pH6.0以上~8.0未満・・・・中性
pH8.0以上~11.0未満・・・弱アルカリ性
pH11.0以上・・・・・・・・・・・・アルカリ性

ただしこれは、せっけんや合成洗剤等の工業製品への表示を明確にするための区分であって、ミネラルウォーターにおける液性の分類とは直接には関係しません。

それから、温泉法関連の鉱泉分析法指針(平成14年3月) 鉱泉の定義と分類(環境省HP参照)では、液性の分類は次のようになっています。

pH3.0未満・・・・・・・・・・・・・酸性
pH3.0以上~6.0未満・・・・弱酸性
pH6.0以上~7.5未満・・・・中性
pH7.5以上~8.5未満・・・・弱アルカリ性
pH8.5以上・・・・・・・・・・・・・アルカリ性

また、土壌改良及び施肥改善指針関連の化学性の改善(1) 酸性の改良(pH)では、pH(H2O)による土壌酸性の程度の区分(農林水産省HP参照)は次のようになっています。


pH4.4以下・・・・・極強酸性
pH4.5 ~ 4.9 ・・・強酸性
pH5.0 ~ 5.4 ・・・明酸性
pH5.5 ~ 5.9 ・・・弱酸性
pH6.0 ~ 6.5 ・・・微酸性
pH6.6 ~ 7.2・・・中性
pH7.3 ~ 7.5・・・微アルカリ性
pH7.6 ~ 7.9 ・・・弱アルカリ性
pH8.0以上・・・・・強アルカリ性

省庁・法律の違いで、液性の分類のpH区分が異なっています。

ちなみに、水道法(厚生労働省)の水質基準では、pH5.8~8.6という基準が定められています。

※参照 水質基準に関する省令(平成15年5月30日厚生労働省令101号〔最終改正 平成23年1月28日厚生労働省令第11号〕)

水道水の水質基準値は、水道施設の腐食等を防止する観点から、中性付近の値にあることが望ましいとして決められていて、化学的根拠に基づく基準ではなく、自然水のpHがおおむね5~9であるという結果に基づいています。
この基準値から外れているミネラルウォーターもありますが、だからといって健康に害を及ぼすというものではないということです。

※参照 東京都水道局 pHとは?

さて、化学の世界では、pH7.0が中性で、それより下が酸性、それより上がアルカリ性です。
そして、先に示した法律上の液性の定義・分類以外に明確に定義されたものは見つけられませんでした。
海外のサイトも探しましたが、弱酸性とか弱アリカリ性といったような定義はほとんど見当たりません。

Strong Acid pH>2, Weak Acid pH2-6, Neutral pH7, Weak Alkali pH8-12, Strong Alkali pH>12 というのはありました。

ミネラルウォーター関連HPをいろいろと見てみると、pH7.1~7.5を弱アルカリ性としているものや、pH7.1~8.0やpH7.1~8.5やpH8.0~9.0を弱アルカリ性と言っているものまで様々で、独自に都合よく定義されていて統一性がありません。
恐らく、弱いアルカリ性という意味で ” 弱アルカリ性 ” という言葉を使用しているのだと思います。
KenUの見解では、温泉もミネラルウォーターなので、鉱泉分析法指針の分類に従うのが適当ではないかと考えています。

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6. pHは弱アリカリ性がいいの?

弱アリカリ性の水を選びましょうなどと書いているサイトがあります。
ですが、「ヒトの血液がpH7.35~7.45の弱アルカリ性に調節されているから」というこじつけで、根拠・論理が希薄で、特に学術的データに基づいたものではないので、無視して良いと考えられます。

また、弱アリカリ性の水は、体内への水分吸収性が良いなど書いているサイトもありますが、これも何ら学術的データが示されていないので、無視して良いと考えられます。

さらにまた、弱アリカリ性の水は疲労回復に良いなどと書いているサイトもありますが、これも何ら学術的データに基づくものではないので、無視して良いと考えられます。

ここで、正しい見解を示します。

ヒトが1日に摂取する水分は、飲み物や食物から 3L と、唾液など消化管から分泌される液体から 6L で、合計 9L にもなります。
そのうちの 80% にもなる 7L の水分が小腸から吸収され、残りは大腸で吸収されるか体外に排泄されます。
つまり、飲んだミネラルウォーターは、体に吸収されるまでに、口、食道、胃、十二指腸を通って、小腸に到達してそこで吸収されます。
その過程を次に説明します。

口腔内(唾液)は pH6.8~7.0 で、飲んだ水はそこから食道を通って胃に入りますが、胃は強い酸性で、空腹時の胃内は pH1.5~2 になっています。
飲食をすると pH4~5 に上昇しますが、食物が消化される2時間後には再び pH1.5~2 まで戻ります。
※参照 胃内pH モニタリングによる胃酸分泌抑制効果の比較検討(PDFファイル)

そして、酸性の消化物が胃から十二指腸に送られて、膵液(pH8.0)と胆汁(pH8.0~8.6)によって中和されます。 胃からの流入と中和作用とで、十二指腸では pH4からpH7 の間を経時で変動します。
※参照 ヒト胃十二指腸運動と十二指腸内 ph との関連に関する研究(PDFファイル)

次に、十二指腸から小腸へ送られますが、腸液(pH7.0~8.5)によって、小腸では pH6.0~8.0(上部~下部) になります。 こうして、小腸から水分が吸収されます。

これらを分かりやすく図にして見ました。

つまり、弱アルカリ性のミネラルウォーターも弱酸性のミネラルウォーターも、結局は人体の消化液等の分泌液でpHが変動して小腸に届き、それから吸収されるので、弱アルカリ性のミネラルウォーターが他のpHのミネラルウォーターに比べて体に良いという生理学的根拠はありません。
また、吸収性や疲労回復に対する効果についても説明がつきません。

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ちなみに、硬度100mg/L 、pH8.0 (温泉法の弱アリカリ性)の水を、 コップ一杯分200mL を一気飲みした場合、初期の胃液によって水のpHにどのように影響するか計算してみました。

pH1.5の胃液の、塩酸 ( HCl ) のモル濃度は、
1×10^(-1.5) = 0.032 mol/L

空腹時の胃液量は、文献 1) より、
30 ~ 50 mL ( 中間値 40mL )

よって、胃液中の塩酸は、
0.032/1000x(30~50)=0.00095~0.00158mol ( 中間値 0.00126mol )
※以後、中間値を使って計算します。

炭酸カルシウム( CaCO3 ) のモル質量は 100.087 g/mol なので、硬度 100 mg/L ( = 0.1g/L ) の水の炭酸カルシウムのモル濃度は、
0.1/100 = 0.001 mol/L

よって、200ml 中の炭酸カルシウムは、
0.001/1000×200=0.00020mol

それから、pH8.0 の水の水素イオン濃度と水酸イオン濃度は、
[H+]・[OH-]=[1×10^(-14)]=[1×10^(-8)]・[1×10^(-6)]
なので、

200ml中の水酸イオンは、
1×10^(-6)/1000×200 = 0.0000002 mol
であり、極めて少ないので計算上無視できる。

したがって、塩酸と炭酸カルシウムを混合すると( 2HCl+CaCO3→CaCl2+CO2+H2O )となり、炭酸カルシウム1モルに対して2モルの塩酸が反応するので、胃液40mLと水200mLが合わさった時の水素イオン濃度は、
(0.00126-0.0002×2)/(40+200)x1000=0.00361 mol/L

換算すると、log 0.00361= -2.44 すなわち、pH2.4

となり、弱アリカリ性の水が胃に入った時点で弱アルカリ性ではなくなります

今回購入した水、「サンベネディット(SANBENEDETTO 硬度236mg/L、pH7.42 )」について同様に計算すると、pH2.9になります。

No.11の「アルカリイオンの水(硬度59mg/L、pH9.4)」についても同様に計算すると、pH2.4になり、ほとんど胃酸の中和能はありません。
アルカリイオンの水で胃酸を中和しようと思ったら1000mlを一気飲みが必要です。
だたし、20 ~ 30分程度で胃のpHはもとに戻るでしょう。

文献:1) 渭原博(著), 医療関連職種のための臨床検査概論, ヘルス・システム研究所, 2007年4月

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それから、大腸では食事成分や腸内細菌の影響を受けて、便のpHは5.5~8.0の範囲だそうです。
※参照 カルピス よくあるご質問 pH関連

また、母乳はpH6.8~7.0であり、弱アリカリ性ではありません。
※参照 treatobacco.net

そう考えると、弱アリカリ性推奨メーカーに対抗して、「ミネラルウォーターは、母乳や一日中飲み込んでいる唾液pH6.8~7.0と同じ中性付近のpHのものが、体への負担が少なくて良いっ!」と言う中性推奨メーカーがあっても良いと思います。

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7. マグネシウム含有量の比較グラフと下痢

硬水を飲むと下痢をしやすくなり、その原因がマグネシウム(Mg)だというのを見たので、マグネシウム量の違いをグラフにしました。

No.1~No.57 ミネラルウォーターのマグネシウム

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確かに、独立行政法人 国立健康・栄養研究所の ” 話題の食品成分化学情報 ” の「マグネシウム解説」によると、過剰摂取したときに下痢が起こる可能性があることが示されています。

では、過剰摂取とはどのくらいなのでしょうか?
マグネシウムの食事摂取基準 (日本人の食事摂取基準2010年版)では、18~29歳の女性の場合で270mg/日となっています。
一番マグネシウム含有量が多いコントレックス(48)を500mL飲んだ場合で計算してみると、37.25mg のマグネシウム量であり、食事摂取基準のおよそ7分の1の量にしかなりません。

過剰摂取にもあたらないこの程度のマグネシウムで下痢をするのでしょうか?
マグネシウムが原因ではなく、空腹状態の胃に冷たい水が入り、胃への刺激によって大腸のぜん動運動が活発になって、便の通過速度が早まることによる下痢では?

なお、通常の食品以外からのマグネシウムの摂取量については上限量 (成人350 mg/日、小児5 mg/kg体重/日) が設けられているので、気になる方は、マグネシウム含有量があまり高くないものを選んだら良いかと思います。
※1歳6ヶ月小児の場合は、平均体重が男児10.9kg、女子10.3kg ( 厚生労働省の調査結果 )なので、マグネシウムの上限値は「52~55mg/日」と計算されます。 1歳未満=乳児、 1歳以上=小児

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8. ミルクを作ってもよい硬度は?

赤ちゃん用コナミルクの” 明治ほほえみ ” を例にして、計算のうえ論理的に考えます。

栄養成分表を見ると、粉ミルク100gあたりには、カルシウム380mg、マグネシウム40mg が含まれています。
そして、200mlのミルクを作るのに27gの粉ミルクを溶かして調製します。
つまり、1Lのミルクには 1000÷200×27=137g の粉ミルクが入ることになり、カルシウム513mg、マグネシウム54mgを含む計算になります。

1項で説明した式で、硬度0mg/Lの水でミルクを調製したとして、そのミルクの硬度計算をしてみると、
513(mg/L)x2.5+54(mg/L)x4+0mg/L=1499mg/L
となります。

水道水(硬度100mg/L)でミルクをつくると?・・・硬度約1600mg/L

中硬水(硬度250mg/L未満)で作ると?・・・硬度約1750mg/L・・・ミネラル量、水道水での調整時とそれほど変わりません。
水道水の10%アップに過ぎません。

では、メーカーの見解は?
” 明治ほほえみクラブ ”のサイトの説明をみると、
pH及び無機塩類(ミネラル)の推奨値
pH6~8
Mg(マグネシウム)30mg/L以下
Na(ナトリウム)42mg/L以下
Ca(カルシウム)285mg/L以下
K(カリウム)367mg/L以下
※無機塩類(ミネラル)が分からない場合については、以下の目安を参考にお選びください。
硬度 (目安)120以下(できれば60以下)
と書いてあります。

*

推奨のカルシウムとマグネシウムの上限値から硬度を計算すると、硬度832mg/Lになり、乖離が生じます。
それから、ミネラルが分からない場合の硬度の目安については、WHOの硬度分類の数値を書いているだけのようです。

水道水で作ったときに母乳に近い成分になるように作られている、というのも事実ではなさそうです。
全国の水道水の硬度は様々ですが、どの地方・地域の水道水で作ったときに母乳に近くなるのでしょうか?
母乳のミネラル含有量は、カルシウム280mg/L、マグネシウム30mg/Lですが、硬度0mg/Lの水を使用したとしても、粉ミルク調製乳には母乳の1.8倍のカルシウム、1.3倍のマグネシウムが含まれる計算になります。

そこで、様々な水で調製した時の粉ミルクの硬度と母乳の比較をグラフにしました。

粉ミルクの硬度と水

それから、母乳はpH6.8~7.0なのですが、ミルクを作る水の推奨pHは6~8が必ずしも最適ではなさそうです。

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まあ、東日本大震災後に急な回答を迫られ、実験も、検証も、何もなしで、やむを得ず急場しのぎで、責任問題とならないように、なるべくリスクの低いと思われる回答をしたのではないかと、推察します。

ちなみに、震災当時の森永さんの見解(PDF)は、
「① ミネラル含量(硬度)が極端に高いミネラルウォーターはおすすめしません・・・・」 でした。

公益社団法人 日本小児科学会(PDF)は、硬度の定義がはっきりしませんが硬水を使用するよりも、放射能汚染された水道水のほうが安全だと言っていました。

責任は取れませんが、個人的な見解では、他に水が全くなくて最悪どうしようもない場合、pH6.5~7.5、硬度250mg/L以下のミネラルウォーターなら使用するでしょう。
とすると、輸入物では、No.50 とNo.54 以外は全部ダメ、国産も半分くらいはダメという結論です。

それから、水を煮沸すると二酸化炭素が抜けてpHが若干アルカリ側に傾きますが、ミルクを溶かして、振り混ぜながら人肌(37℃)に冷ます動作によって、飽和溶存二酸化炭素濃度は表示pH測定温度(20℃)の時の63%まで戻るし、成分組成が変化する訳ではないので、影響はないでしょう。

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